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マンション建て替え成功事例は半世紀でわずか183棟のみ

2015年05月07日

平賀功一

マンション建て替え成功事例は半世紀でわずか183棟のみ

平賀 功一の最旬コラムNo.33

マンション建て替え成功事例は半世紀でわずか183棟のみ

写真:アフロ

今、そこにある危機!それがマンション建て替え問題

日本に分譲マンションが誕生して、すでに半世紀。今ではマンションストック数は全国で約600万戸に達し、およそ1480万人が暮らすほど身近な居住形態として定着しています。

しかし、その一方で約600万戸のうちの100万戸超が築30年を超える高経年時代に突入しており、「今後30年の間に約70%の確率で発生する」(政府の中央防災会議)とされる首都直下地震の切迫性が高まるなか、特に耐震性の面で不安視される高経年マンションは喫緊の対策に迫られています。

事態を重く見た政府は「マンション建て替え円滑化法」を2014年12月に改正。一定条件のもと、再建マンションにおける容積率の緩和制度を導入したり、また、建て替えるのではなく、建物と敷地を第三者に売却して区分所有権を解消する制度を創設するなど、倒壊危険性の高い分譲マンションの除去に向けた実効性のある施策を打ち出しました。

とはいえ、建て替えが急進するほど話は簡単ではありません。必要となる5分の4以上の賛成を得るのは容易ではないのです。居住者の複雑な利害が絡むなか、合意形成の実現には様々な障壁を越えなければなりません。8割以上の賛成を得るには、各人の利害調整が欠かせないのです。

そこで、本稿では「今、そこにある危機」との認識のもと、どうして建て替えが円滑に促進されないのか?―― その阻害要因について考察してみることにします。

2人に1人が建て替えに伴う「費用負担」を懸念 阻害要因の第1位 

やや古いデータになりますが、2008年、内閣府・法務省・国土交通省が「分譲マンションの建て替えなどの検討状況に関するアンケート調査」を共同で実施しており、具体的な建て替えの反対意見として以下の理由が挙げられています。

■建て替えを検討した際、建て替えに反対した人の理由(複数回答)
・費用負担の問題……………………………………………55.9%
・引っ越しを伴うことや仮移転先に対する不満…………35.3%
・修繕や改修で十分だから…………………………………27.9%
・建て替えで住環境が変化することへの不安……………19.1%
・建て替え工事が成功するかどうかといった心配………17.6%
・建て替え計画に対する不満………………………………11.8%
想像通り、「費用負担の問題」が最上位に挙がっています。余剰容積率を活用して再建マンションでは増床により分譲できる部屋数を増やし、これによって従前居住者の追加負担を最小化することで合意形成を得る方法が建て替えの基本スキームとして、これまでは成り立っていました。

しかし、都心部の狭小敷地に建設された築後マンションでは容積率の確保は困難を極め、年金暮らしの高齢者や子育て真っ最中のファミリーなど、費用負担増に耐えられない区分所有者は安易に賛成との決断を下せません。

加えて、2番目の「仮住まい問題」も深刻で、費用負担はもとより、2回も引っ越さなければならないといった労力面が精神的負担を居住者に強います。特に要介護者にとっては、高いハードルとなって建て替えの実現を後退させます。かつては“高嶺の花”とされた分譲マンションも、半世紀が過ぎた今、その末期問題(マンションの行く末)が座礁に乗り上げています。

分譲マンションの建替え成功事例は、半世紀でわずか183棟のみ

アンケート調査では、建て替えを具体的に進めるにあたっての事業上の問題も質問しており、マンションデベロッパーにとっては採算の取れる事業にならないと、プロジェクトに参加しにくい現実(本音)が透けて見えます。

■建て替えを具体的に進めるにあたっての事業上の問題(複数回答)
・容積率オーバーで事業スキームが組み立てられなかった………………23.5%
・建て替えの検討費用の確保が難しかった…………………………………14.7%
・修繕か建て替えか、どちらが適切か分からなかった……………………14.7%
・借住居の確保が難しかった…………………………………………………10.3%
・自分たちで事業資金の調達や工事発注などを行うことが難しかった…10.3%
・マンション市況などの事業環境が変化し、計画が立てられなかった…8.8%
・事業主体となってくれる適当なデベロッパーが見つからなかった……5.9%
・相談できる専門家(コンサルタントなど)が見つからなかった………2.9%
・事業の推進について、近隣の理解を得ることが難しかった……………1.5%
棟数ベースで分譲マンションは全国に約10万7000棟(リゾート型を含む)あるのですが、国交省によると建て替えを成功させたマンションは、わずか183棟(2013年4月時点)しかありません。数字の上からも建て替えの困難さがうかがえます。

分譲マンションの末期問題は空き家問題と並行して、今後、深刻な社会問題に発展していきます。経年マンションを“不良資産”としないためにも、先手による実効性を伴った方策が求められます。

最終更新日:2015年05月08日


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