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住宅購入者が「大手志向」へと傾注する3つの理由

2015年12月06日

平賀功一

住宅購入者が「大手志向」へと傾注する3つの理由

平賀 功一の最旬コラムNo.64

住宅購入者が「大手志向」へと傾注する3つの理由

※イメージ写真です。(写真:アフロ)

引渡し直前の新築マンションに対し、建築確認の取り消しが採決される

今般、何かとお騒がせな分譲マンション市場。そうしたなか、新たに東京・文京区小石川のマンションをめぐり、1つの騒動が持ち上がっています。何と、引き渡しを間近にした新築マンションに対し、建築確認を取り消す裁決が言い渡されたのです。

その分譲マンションは「ル・サンク小石川後楽園」(総戸数107戸)―― NIPPOと神鋼不動産を事業主とする、2016年2月引渡し予定の分譲マンションです。

景観に合わないことや安全基準を満たしてない恐れがあるとして、周辺住民が2004年11月と2012年9月の2回にわたり、東京都の建築審査会へ建築確認の取り消しを求めて審査を請求しました。不運にも事業主の強硬姿勢が後退することはありませんでしたが、今年(2015年)6月に周辺住民が執行停止を申し立て、建築審査会が建築確認の取り消しを採決したことで、完成間近の状態のままマンション工事は中止となりました。

その後、11月29日に開催された契約者への説明会で、事業主からは契約解除の申し出があったと聞いています。宅建業法では一度受領した手付金を返還し、さらに同額の手付解約料を支払う(いわゆる「倍返し」)ことで、一切の理由を問わず売り主側から契約を解除できる仕組みになっています。

業法上、手付解除が成立すると買い主は損害賠償請求できない決まりになっており、賃貸住宅の契約解除や子供の転校を予定していた人々(契約者)は多大な迷惑を被ることになります。最大の被害者は当該マンションの契約者というわけです。突然の通告を受け、既契約者からは悲痛や困惑の声が聞こえてきました。

業界最大手の「三菱」「住友」「三井」で施工不良が相次ぐ

振り返れば2007年、千葉県市川市に建設中の45階建てマンション「ザ・タワーズ・ウエスト・プレミアレジデンス」(総戸数573戸)で、128本の鉄筋不足が判明しました。ゼネコン最大手の清水建設を中心としたJV(企業共同体)が施工受注し、三井不動産レジデンシャルと野村不動産が事業主および販売を担当していたマンションです。

また、2012年には三菱地所レジデンスが販売、鹿島が施工する「ザ・パークハウス グラン南青山高樹町」(総戸数86戸)で、配管やダクトを配置するためのコンクリート壁や梁を貫通させて通す穴(スリーブ)の数が大幅に不足していたり、位置が間違っていた事実が判明しました。こちらは建て替えが決定しており、冒頭の「ル・サンク小石川後楽園」同様に売り主側から契約解除が切り出されています。

そして、昨年・今年と立て続きに発覚したのが「傾きマンション」です。住友不動産が売り主、熊谷組が施工・監理する横浜市西区の「パークスクエア三ツ沢公園」(総戸数86戸)では、廊下の手すりがずれていることに住民が気付き、ボーリング調査をした結果、基礎杭が支持層に到達していない箇所があることが判明しました。

同様に横浜市都筑区の「パークシティLaLa横浜」(総戸数705戸)でも手すりのずれが確認されており、三井不動産レジデンシャルは全棟建て替えを基本とし、転出希望者への買い取りや建て替え後も住み続ける場合は仮住まい期間中の家賃や引っ越し代などの負担を申し出ています。そのうえに一世帯当たり300万円の慰謝料を支払うなど、具体的な補償内容が住民に提示されています。

資産性が重視されるなか、今後も「大手志向」は不変 

テレビなどで被害者(マンション居住者)へのインタビュー報道を見ていると、よく耳にするのが「大手だから安心だと思っていた」というフレーズです。しかし、上述したマンションは「三菱」「住友」「三井」と業界最大手の不動産業者が手掛けたマンションです。いとも簡単に「大手だから安心」という信頼は裏切られたことになります。“大手神話”の崩壊というわけです。

そもそも、なぜ住宅購入者は大手志向へと傾注していったのでしょうか?―― 私の個人的な見解として3つの理由が考えられます。

<理由その1> 姉歯ショックの教訓
2005年11月に発覚した耐震強度偽装事件から今年でちょうど10年。この事件では事業主の「ヒューザー」、施工業者の「木村建設」どちらも倒産してしまい、両社による被害者救済は実現しませんでした。

その点、資金力・経営体力のある大手不動産業者であれば「万が一」の時も手厚い支援が期待できます。建物が傾いた「パークシティLaLa横浜」の居住者に対する手厚い補償内容には目を見張るものがあり、その意味において「大手は安心」という信頼感がさらに増幅される結果となりました。

<理由その2> 知識や経験不足から生じるトラブルの発生を回避したい
一般の人がマイホームを購入するのは人生のうち1・2回程度です。それゆえ失敗したくないという思いはあるものの、知識も経験もありませんので、担当する営業マンを信頼するしかありません。

その際、人間の心理として「大手の会社(営業マン)なら悪事を働かないだろう」という思いが脳裏を駆け巡ります。企業の高い知名度や実績が安心につながるのは自然なことであり、こうした性善説に立脚し、安心感を担保したいという発想が大手志向へと駆り立てます。

<理由その3> 大手ブランド(ネームバリュー)に期待する高い資産性
今般、たとえマイホーム(実需不動産)でも「売りやすい」「貸しやすい」という資産性を求める風潮が広がっており、消費者が資産性を意識した購買行動・物件選択に動き出しています。

長い年月をかけて培われてきたブランドには高い資産性が内在しており、期待される資産性を求めてマイホーム検討者は大手志向へと傾倒します。住宅に限らず、車でも時計でも洋服でもカバンでも、高級ブランド品を欲しがるのと同じ心理です。大手ブランドに期待される高い資産性が、住宅購入者の大手志向を後押しします。

横浜の傾きマンションに端を発した杭基礎工事の偽装問題は、今後、社会問題としてさらなる広がりをみせるのは必至です。全容解明には相当の時間がかかるでしょう。ただ、これにより大手志向が揺らぐとは考えられません。上述した理由から“大手離れ”が起こることはないからです。

大手を過信するのは危険ですが、大手には大手なりの魅力がいくつもある ーー 一連の騒動から感じた私の印象(感想)です。

最終更新日:2015年12月15日


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