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価格上昇する都心マンション その背景に「中国マネー」の影

2015年12月17日

平賀功一

価格上昇する都心マンション その背景に「中国マネー」の影

平賀 功一の最旬コラムNo.65

価格上昇する都心マンション その背景に「中国マネー」の影

首都圏の新築マンション バブル崩壊直後の水準まで上昇

日本銀行が掲げる「2%の物価安定目標」実現には懐疑的な見方が少なくなく、いまだ「脱デフレ宣言」できない日本経済。ついに足元では原油先物価格(WTI)が1バレル=34ドル台まで続落し、物価上昇の足を引っ張っています。

このように思ったほど期待インフレ率が高まらないにもかかわらず、都心のマンション価格は上昇を続けています。不動産経済研究所が公表した11月の新築マンション市場動向によると、首都圏の新築マンション価格は6328万円となり、24年ぶりに6000万円を超えました。バブル崩壊直後(1991年)の水準まで分譲価格が上昇しています。

同じく、中古マンション価格にも上昇圧力が台頭しており、東日本レインズによる11月度の首都圏不動産流通市場の動向によると、1平方メートル当たりの平均成約単価は45万9800円、平均成約価格は2916万円と、どちらも前年同月比35カ月連続で上昇しています。

この勢いはさらなる加速が予想され、都心マンション価格の上昇可能性を多分に連想させます。日銀によると、不動産業の設備投資目的の新規借入金は増加し続けており、資金需要の旺盛さが感じ取れます。長期金利0.3%台という前例のない低金利が不動産業者の良好な資金調達環境を下支えしており、リーマンショック以前の2006年度、07年度の第2四半期と比較しても、期中の新規借入額を4400億円程度、増加させています。各デベロッパーが新規マンション供給に積極姿勢を示している証左と解されます。

ところで、どうして都心部ではマンション価格が上昇しているのでしょうか?―― その背景には「中国マネー」の存在がありました。

リーマンショックから最初に抜け出したのが中国だった

『リーマンショック後の世界経済は、中国および中国との結び付きの強い新興国経済に牽(けん)引されてきた。しかし一転、2015年には中国経済の減速がアジア新興国を中心に景気の下押し要因へと暗転した。世界経済はアメリカおよびヨーロッパ経済の回復に支えられ、全体としては緩やかに回復しているものの、中国をはじめアジア新興国の先行きが世界経済のリスク要因となっている』―― これは内閣府が12月に公表した「世界経済の潮流2015」に記された世界経済の現状です。

2008年の夏には北京オリンピック、そして2010年5月~10月末には上海万博と、自国の繁栄を世界中に印象づける華々しいイベントが続いた中国。これまで「眠れる大国」と揶揄(やゆ)されていた同国は、4兆元(約56兆円)という大胆な財政出動が奏功し、2桁近い目覚しい経済成長を続けました。リーマンショックにより疲弊した世界経済を牽引するまでに、自国の存在感を高めたのです。

その勝因が大幅な金融緩和です。金融当局は金融機関の預金・貸出金利を数度にわたって引き下げ、また、それまで商業銀行に対して設定していた新規貸出額の上限(貸出総量規制)を撤廃して融資枠を拡大し、資金融通に柔軟性を持たせました。

その結果、不動産向け貸し出しは大きく伸び、上海や北京などの大都市を中心に不動産販売が急速に活発化しました。同時に、個人向け住宅ローン金利も引き下げ幅を拡大したことで、住宅価格が高騰。2009年夏ごろから不動産バブルの懸念がくすぶり始めました。

財政出動による不動産投資がマンションの供給過剰を引き起こす

そこで加熱する不動産市場を冷やそうと、一転、今度は金融政策を「緩和」から「規制」へと方向転換しました。

たとえば「個人が住宅を取得する場合に必要となる頭金の割合を、1軒目の購入ではこれまでの2割から3割に、2軒目ではこれまでの4割から5割に引き上げる」「3軒目の住宅購入に対しては、中国政府が融資を中止するよう各銀行に通告する」「納税や社会保険料の納付が証明できない住宅検討者に対する融資も中止するよう銀行に通告」―― といった具合です。

これにより住宅価格の高騰には一定の歯止めが掛かったものの、財政出動に伴う景気刺激策の効果は長続きせず、2012年に入ってからは経済成長がダウントレンドへと突入。逆に、今度は財政出動の副作用が現れ始めました。

未完成のままマンションの新築工事がストップしているニュースをテレビなどで見たことがあると思いますが、財政出動による不動産投資が供給過剰を引き起こした結果です。金融機関の貸し渋り(建設資金の不足)や価格高騰による販売不振が重しとなり、新築マンションは不良債権(不良在庫)へと姿を変えて行きました。

当然、不動産価格の上昇をテコに成長してきた中国経済は失速を避けられず、今では上述した「世界経済の潮流2015」に記されているように、『世界経済のリスク要因』と化しています。これではマンション価格の上昇が見込めるはずもなく、中国の富裕層は国内から海外へと投資先を変更。2020年の開催が決定した東京五輪特需による値上がり期待の後押しもあり、東京へのマンション投資を積極化させています。

中国・上海で不動産投資した場合の利回りが平均2%前後なのに対し、東京では同3.5%程度の利回りが期待できるのです。こうした収益の高さが中国マネーを東京へと呼び寄せています。中国経済の回復材料が見つからないかぎり、「チャイナマネーの還流」=「東京都心のマンション価格上昇」は続くものと個人的には考えています。

最終更新日:2015年12月17日


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