ページトップへ

Yahoo!不動産おうちマガジン は家探しのヒントが満載の情報サイトです!

>
>
金融機関サイドから見た「住宅ローン審査」の注意ポイント

2016年03月18日

平賀功一

金融機関サイドから見た「住宅ローン審査」の注意ポイント

平賀 功一の最旬コラムNo.77

金融機関サイドから見た「住宅ローン審査」の注意ポイント

「借り時」と「貸し時」のタイミングは必ずしも一致しない

全期間固定型金利の代表格となる住宅ローン「フラット35」―― 今年3月の適用金利は日本銀行によるマイナス金利政策の導入を受け、過去最低を更新しました。指標となる長期金利が断続的にマイナス圏に突入するという、異例の低水準に達しているからです。

今般、マスメディアの論調は総じてマイナス金利政策に否定的な印象ですが、こうしたフラット35のニュースは住宅ローンの利用予定者にとって、実に喜ばしい話です。誰だって余分な利息は支払いたくありません。足元では過去に例を見ないほどの住宅ローン「借り時」が到来しています。

しかし、「借り時」との評価は住宅ローンを借りる側の一方的な論理であって、貸し手である金融機関が「貸し時」と考えているかどうかは別問題です。

なぜなら、住宅ローンは返済期間およそ20年~30年という長期での融資となるため、その間、借り手の事情によって返済が遅延したり、最悪は返済不能(競売や自己破産)となるリスクを金融機関は抱えています。そのため、いくら低金利に伴い借入希望者が増大しているからといって、全員に融資していたら各行のリスクは膨れ上がるばかりです。

金融機関の貸出ポートフォリオの中で、たとえ住宅ローンが重要な位置を占める商品であっても、生涯収益(貸出期間を通じてた金融機関の採算性)を無視した融資態度は銀行の適切な収益管理を阻害します。つまり、マイナス金利政策は住宅ローン審査を厳格化させる側面を内包しています。

これから住宅ローンを借りようと考えている人は、下述する審査の仕組みを把握し、ご自身の属性(年齢や収入、勤務先の規模など)を考慮した金融機関選びが欠かせません。

住宅ローンの審査は「事前審査」と「本審査」の2段構え

さて、突然ですが住宅ローンの借入を考えている読者の皆さんは、一体誰が住宅ローンの審査をしているか、ご存じでしょうか?―― 愚問と思われるかもしれませんが、知らない人のほうが多いのが現実です。

住宅ローンにかかわるプレーヤーには「ローンの利用者」「金融機関」「保証会社」の3者が登場します。3番目の保証会社とは、住宅ローンが長期滞納・返済不能となった場合に、貸し手である金融機関のローン債権が焦げ付いて回収不能にならないよう、当該債権に対して債務保証をする会社です。かみ砕いていえば、貸した住宅ローンが未回収にならないよう、金融機関を保証の面でサポートする会社です。

住宅ローンの審査は「事前審査」と「本審査」の2段構成になっており、「事前審査」を金融機関が、そして「本審査」を保証会社が行います。基本は顧客情報をもとに、金融機関が「年齢」「健康状態」「担保評価」「勤続年数」「年収」「返済負担率」などを重視して事前審査を行ないます。

その際、今日では「スコアリング方式」といって、借入希望者の顧客情報(=審査項目)ごとに点数を付け、その合計点によって融資の適否を判定する方式が利用され始めています。たとえば年収が1000万円超だと5点、800万円超だと4点、600万円超だと3点……というように、加点・減点(定量分析)しながら与信判定を行います。

国土交通省の「平成27年度 民間住宅ローンの実態に関する調査」によると、スコアリング方式を活用して審査している金融機関は40.2%ですが、年々、その割合は増加傾向にあります。これにより審査スピードが早まり、審査担当者の独自判断に拠らない機械的かつ客観的な判定処理が可能となります。

住宅ローン審査 影の実力者は「銀行」ではなく「保証会社」

しかし、これで終わりではありません。続いて保証会社による「本審査」が行われます。実は保証会社こそが影の権力者、つまり、住宅ローンの審査業務を実質的に請け負っています。

「事前審査」「本審査」いずれも審査項目に大きな違いはありませんが、後者のほうがより厳格な審査が行われます。なぜなら、たとえ住宅ローンが長期滞納・返済不能になっても、金融機関(事前審査)は保証契約により焦げ付いた住宅ローン債権を保証会社に移管できますが、保証会社(本審査)は移管できません。自ら債務不履行リスクを負わなければならないのです。

そのため否が応にも「本審査」を厳しくせざるを得なく、住宅ローンの借入希望者は「事前審査」をクリアしたからといって安心はできません。「事前審査」と「本審査」には審査のタイミングに時間差があるため、借入希望者は「事前審査」を通過後、「本審査」前に以下の行為を行うと、「本審査」が否認されて最終的に住宅ローンが借りられなくなる危険があります。せっかく「事前審査」をクリアしても、「本審査」の段階で借入希望者の顧客属性にマイナス材料が加わっては困るのです。

【本審査の前に注意したい必須ポイント】
・会社を退職や転職する。
・マイカーローンなどの高額な借金を新たにする。
・借入額や返済期間を大幅に増額・延長する。
・病気や事故など、健康上の問題に直面して団体信用生命保険に加入できなくなる。
(本人がコントロールできる問題ではありませんが……)

前述したように「借り時」と「貸し時」のタイミングは必ずしも一致しません。日本銀行の黒田総裁は16日、現行マイナス0.1%となっているマイナス金利政策の拡大余地について「理論的には相当にある」と述べています。

こうした金融政策の不確実性は各行にとってネガティブ材料であり、融資姿勢の硬化につながりかねません。住宅ローン審査の厳格化を加速させかねないのです。借り時だからといって、誰もが容易に住宅ローンを借りられるわけではありません。今こそ金融機関の目線に立った資金計画の立案が求められるのです。


<参考サイト>

最終更新日:2018年08月31日

キーワードを入力してください

キーワードから探す


本文はここまでです このページの先頭へ

Yahoo!不動産 おうちマガジンとは?

不動産にまつわるマジメな記事からおもしろ記事まで、家さがしが楽しくなる情報をお届け!新しい暮らしのヒントが満載のマガジンです。