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東日本大震災から5年 今夏は国内全域で「節電要請」なし

2016年05月26日

平賀功一

東日本大震災から5年 今夏は国内全域で「節電要請」なし

平賀 功一の最旬コラムNo.81

東日本大震災から5年 今夏は国内全域で「節電要請」なし

ネオンや広告灯が自制され、繁華街は暗闇に包まれた

突然ですが、読者の皆さんは自宅や勤務先で引き続き「節電」に取り組んでいらっしゃいますでしょうか ――。

2011年3月、マグニチュード9.0という未曽有の巨大地震と大津波を引き起こした東日本大震災。これにより福島第一原子力発電所も致命的な被害を受け、放射能物質が放出するという甚大な事故が勃発し、発電機能は完全に停止しました。原発事故を受けて世論では「脱原発」「原発ゼロ」の機運が高まり、福島第一原発ではプラント1~4号機すべての廃炉を決定しました。

そのため供給力は大幅に低下し、電力の安定供給に重大な支障を来たす事態となったため、以後、国を挙げたオールジャパンによる節電行動が遂行されることとなりました。深刻なエネルギー制約による“節電ファシズム”(後述)が現実のものとなったのです。

振り返れば、2007年7月に新潟県中越地方を襲った新潟県中越沖地震(M6.8)でも、柏崎刈羽原子力発電所のプラント7基すべてが停止したため、電力需給の逼迫(ひっぱく)を懸念した東京電力が節電の協力要請を行いました。

ただ、新潟県中越沖地震の場合は東電からの要請(お願い)であり、強制力は内包していませんでした。他方、東日本大震災の節電要請は政府主導による大号令です。「電力使用制限令」の発動、ならびに「計画停電」が実施され、われわれ電力消費者は選択の余地のない強制的な節電努力(=節電ファシズム)を課されました。

大口使用の企業に対し、法律によって最大電力を1年前の夏と比較して15%削減するよう求める強制措置が「電力使用制限令」です。JR東日本が平日正午~午後3時の間、首都圏の各線で間引き運転を実施したのは記憶にある人も少なくないでしょう。大通りではネオンや広告灯の点灯が自制され、繁華街は暗闇に包まれました。デパートでは開店時間を遅らせ、コンビニエンスストアやスーパーでは店内の照明を一部、消灯するなど、各地で節電行動が見受けられました。

計画停電も然(しか)りです。幸い、私の住む地域では実施されませんでしたが、計画停電の実施を指定されたエリアでは、事前予告された時間になると電力供給が完全に停止されました。家の中だけではなく街灯や信号機まで減灯し、交差点では警察官による手信号で交通整理が行われていました。エレベーターの稼動停止により、タワーマンションの高層階に住んでいる人は階段を使って、自力で自室のある階までたどり着かなければなりませんでした。

それから5年余りが経過し、今夏、ようやく「節電要請」の呪縛から解放されることとなりました。2016年の夏は国内全域で節電要請を見送ると、政府から発表がありました。電力需要に対する供給余力に確保の見通しが立ったからです。いまだ被災地の完全復興は途上にありますが、電力安定供給の観点からすると、一歩前進といえます。

自宅の電力使用量を「見える化」し、節電意識を啓発

実は、上述した電力の供給力不足はマンション業界にも影響を与えました。東京電力では2012年9月から家庭向け電気料金を平均8.46%値上げし、契約アンペア40アンペアの一般家庭で年間7000円程度、同60アンペアでは年間1万6000円程度の家庭負担増を強いたのです。

こうした流れを受け、最新鋭のスマートマンションでは専有部分と共用部分に「HEMS」と「MEMS」を導入し、IT技術によってマンション全体の電力使用を自動制御する仕組みを本格的に取り入れ始めました(下記参照)。

HEMSとは、IT技術を活用して専有部分のエネルギー情報を集約・一元管理し、各居住者が我慢せず自発的に節電アクションを起こせることを目標とした、電気の効率利用に関するシステムの総称です。

具体的には、家電(エアコンやキッチン回りなど)や部屋ごとの電力使用量をデータとして蓄積し、どれだけの電気を消費したかをタブレット(端末)に表示。実際の数値を“見える化”することで1人ひとりの節電意識を啓発します。

と同時に、他の住戸との比較をしながら節電のためのアドバイスも行い、ちょっとした使い過ぎを予防する機能も備えています。電力の最大消費時間帯(ピーク)に電力使用量が低減できるよう、節電依頼情報が各戸のタブレットに送られて来るのです。たとえば、真夏であれば「日中は冷房の設定温度を上げてください」といった「ピークカット情報」が居住者宛てに届きます。アドバイスに従うだけで、手間なく節電できる仕組みです。

写真:アフロ

節電の程度に応じてポイントがもらえる仕組みも登場

HEMSが専有部分を範囲としているのに対し、共用部分にまで電気の効率利用に関する適用範囲を拡大したのがMEMSです。太陽光パネルの発電状況、蓄電池の蓄電量、共用部分の照明の使用状況、エレベーターの電力使用量といったデータを見える化し、同時に共用部分のピークカット(電力の最大消費時間帯の節電)を自動制御することで、効率的な電力利用を可能にします。最大消費電力を引き下げることで、無理なく共用部分の電気料金を安くできるのです。

さらに“我慢しない節電”を実現できるよう、スマートマンションには節電の動機付けとなる仕掛けも用意されています。

翌日の電力使用のピーク予想情報に基づいた「ピークカット情報」が送られて来た際、その情報をもとに実際に節電を行なうと、節電した量に応じて報奨金(ポイント)が支払われるのです。貯まったポイントは翌月以降の電気料金として利用が可能。こうしたサービスを「デマンドレスポンスサービス」といい、節電意欲を刺激する効果が期待されます。

【HEMS】
ホーム・エネルギー・マネジメント・システムの略。IT技術を活用して専有部分のエネルギー情報を集約・一元管理し、家庭内エネルギーを自動制御。電力需給の最適化を実現する仕組みの総称。

【MEMS】
マンション・エネルギー・マネジメント・システムの略。HEMSが専有部分のエネルギー管理なのに対し、共用部分にまでマネジメントの適用範囲を広げたのがMEMS。これにより、最終的にマンション全体の効率的な電力利用が可能となる。

今年も6月1日からクールビスがスタート、節電アクションへの第一歩となります。前段で述べたように、今夏から節電要請はなくなりますが、自発的に節電に取り組む姿勢はなくしてはなりません。われわれ1人ひとりの節電意識が、より重要になります。

気象庁によると、ラニーニャ現象の発生から今年の夏は平年より暑くなる可能性が高いそうです。エアコンの冷房温度は高めに設定し、必要な照明以外は使用を控えるなど、私自身も自発的な節電を心掛けたいと思います。

最終更新日:2018年08月30日

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