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負債を抱えて親が死亡 返済義務は相続人が承継

2016年06月08日

平賀功一

負債を抱えて親が死亡 返済義務は相続人が承継

平賀 功一の最旬コラムNo.82

負債を抱えて親が死亡 返済義務は相続人が承継

32年後の2048年 日本の総人口は1億人を割り込む

厚生労働省が今年5月に公表した2015年の人口動態統計によると、合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの数)は1.46と、1994年以来、21年ぶりに1.45を超えました。ここ最近の子育て環境の改善が一因と考えられています。

しかし一方、死亡数も129万428人で戦後最多となりました。総務省が2月に公表した2015年の国勢調査(速報値)でも、日本の総人口(1億2711万人)は前回の調査(2010年)に比べて94万7000人減少しており、1920年(大正9年)の調査開始以来、“初めての人口減”となりました。出生数以上に死亡数が増加しているわけです。

国立社会保障・人口問題研究所の将来推計(2012年1月時点)によると、32年後の2048年に日本の総人口は1億人を割って9913万人になるそうです。同時に65歳以上の人口割合は38.4%となり、およそ2.6人に1人が高齢者の時代となります。人口減少・高齢化の進展が、数字(公表データ)の上からも裏付けられた格好です。

不謹慎と思われるかもしれませんが、こうしたデータは誰もが相続について考える時期に来ていることを意味します。相続は、被相続人の死亡という事実に基づいて、その瞬間に当然に開始するからです。人の死亡は相続の開始要因なのです。

唐突ですが、たとえば父親が家族に内緒で多額の借金をしていたり、誰かの連帯保証人になっていたら、どうしますか?――。得てして、親は子供に自身の財産状況を伝えることはしたがりません。意図的に隠そうとしているわけではないのでしょうが、自ら保有資産について子供に話すのは稀です。

そのため、親の経済状態や財産状況が見えにくくなり、相続が発生(親が死亡)した時点でようやく財産の内容が判明。その際、もしも親が多額の借金を抱えていたら、その返済義務は配偶者や子供が引き継がなければなりません。失礼な表現かもしれませんが、相続人にしてみれば迷惑以外の何物でもありません。

そこで、本稿では相続トラブルを回避できるよう、相続の承継・放棄について解説します。知識武装することで、相続財産の円滑な世代間移転を可能にします。

相続財産の取り扱いには3つの選択肢がある

改めて、相続とは人の死亡によって、その人の財産を遺族に承継させる法制度です。相続人は被相続人の全財産を包括的に承継します。

ここでポイントとなるのが「全財産」という点です。全財産には預貯金や株式・不動産といった「プラスの財産」に加え、消費者金融からの無担保ローンや住宅ローン、また、滞納している税金など「マイナスの財産」も含まれます。さらに、生前に親が保証人を引き受けていた場合、その地位も相続の対象となります。つまり、相続人は被相続人に属する一切の権利(プラス財産)・義務(マイナス財産)を承継するのです。

一般的な相続のイメージというと、莫大な資産を持つ富裕層が我が子に多額の遺産を残すという光景が頭に浮かびますが、現実的には義務(返済債務)を負うケースもあり、突然に借金を背負う可能性があります。これは気の毒といわざるを得ません。

そこで、民法では相続財産の取り扱いについて相続人に3つの選択肢を用意しており(下記参照)、その中から各人が制度にもとづき1つを選ぶことができます。マイナスの財産を相続しないで済む方法があるのです。


【相続財産の取り扱い方法 3つの選択肢】

(1)単純承認
無条件で全財産を承継すること。相続の効果が無制限・無条件に相続人に帰属するため、場合によっては多額の相続債務を負う危険があり、十分な注意が必要となる。

(2)限定承認
相続財産を合計して、プラスの財産のほうが多い場合のみ相続するという条件を付した承認方法。プラスの財産が多いかマイナスの財産が多いか分からない場合に有効で、調査の結果、たとえ負債が資産を上回っていても、資産の範囲内で負債を支払えばよく、上回った負債部分は支払う必要がない。

(3)相続放棄
プラスの財産もマイナスの財産も一切相続しない選択方法。相続の放棄をした場合、最初から相続人でなかったとして扱われ、一度、選択した後にその放棄を撤回することはできない。

上述した選択権の行使は「相続の開始を知ったときから3カ月以内」にしなければならず、この期間に何も行動を起こさないと単純承認を選択したとみなされます。限定承認や相続放棄はできなくなります。

手続きが煩雑で、手間が掛かるのが限定承認

私、筆者が懸念する「被相続人にマイナスの財産がある可能性」を心配する場合、2番目の限定承認が有効と考えられますが、限定承認するには2つの高いハードルを越える必要があり、煩雑な手続きを経なければなりません。

まず初めに、相続人が複数(共同相続人という)いる場合には、共同相続人が全員、限定承認を選択しなければなりません。共同相続人のうちの1人でも単純承認してしまうと、その段階で限定承認は選択できなくなるのです。相続人同士の利害調整が不可欠となります。

さらに、相続人全員で家庭裁判所に限定承認する旨の申述をし、裁判所に認めてもらわなければなりません。そのためには前もって相続財産の財産目録を作成・裁判所に提出する必要があり、3カ月という短い期間で被相続人の財産内容をすべて精査・把握しなければなりません。かなり手間の掛かる作業といえます。

それでも限定承認が認められれば、プラスの財産のみを相続でき、プラスよりマイナスの財産が多かったとしても、マイナス財産の相続は免れます。結果、相続人の手元には何も残りませんが、被相続人に属する一切の権利・義務からは完全に解放されます。

今般、「終活」という言葉が広く知れ渡っているように、人の死を明るく前向きにとらえる風潮が強まっています。それだけに、親子間で相続について話す機会を設けましょう。財産状況について、可能な限り親は子供に伝えておくのが相続トラブル回避への第一歩となります。

借金がある場合など、子供に心配を掛けたくない気持ちはわかりますが、よき理解者となるのが子供です。風通しのいい親子関係の構築に努力を惜しまないでほしいと思います。

最終更新日:2018年08月30日

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