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いざという時の防災対策 火災発生のメカニズムを知っておこう

2016年09月01日

平賀 功一

いざという時の防災対策 火災発生のメカニズムを知っておこう

平賀 功一の最旬コラムNo.90

いざという時の防災対策 火災発生のメカニズムを知っておこう

写真:アフロ

関東大震災では死亡者の9割弱の人が火災で命を落としている

1923年(大正12年)9月1日の正午前、相模湾の相模トラフと呼ばれる海溝を震源とするマグニチュード7.9の巨大地震「関東大震災」が発生しました。この地震による死者は10万5000余名、被害を受けた家屋は37万棟以上に達し、東京都・神奈川県を中心とする関東一円に未曽有の被害をもたらしました。その惨状を忘れず、後世に教訓を承継しようと、9月1日が「防災の日」として制定されました。

振り返ること93年前のこの日(大震災の当日)、東京付近では未明に激しい雨に見舞われたものの、お昼前には雨もあがり、曇りがちで蒸し暑い日だったそうです。土曜日ということもあり、当時は勤務も半日だったため、会社勤めの人は帰宅の準備をしており、また、小学校は二学期の始業式を終え、多くの生徒が自宅に帰っていました。

そんな平穏な日常のなか、午前11時58分に巨大地震は発生しました。各家庭では昼食の準備をしている最中で、台所の裸火(薪:まき)などが火元となって火災を誘発しました。この日は風が強かったため、強風にあおられて延焼速度が加速し、大規模な火災に発展していったのでした。

その結果、先の大震災では揺れそのものよりも、火災による二次被害で多くの犠牲者を出しました。全死者数の約87%(約9万2000人)が火災によって死亡したのです。当時の家屋は粗略な木造づくりであり、さらに密集して建てられていたことも被害の拡大につながりました。

関東大震災 (1923年9月) 写真は東京 日本橋。1923年9月1日(大正12年)関東大震災により荒廃した東京。簡易的な避難所が、生存者によって建てられた。マグニチュード7.9から8.4の間と推定されるその地震は、東京や横浜の港町、千葉、神奈川、静岡を荒廃させ、10万人を超える犠牲者を出した。(提供:MeijiShowa.com/アフロ)


それから、およそ一世紀。過去の教訓が住宅の不燃化を促進させ、今日の耐火住宅に結びついています。マグニチュード7.3の揺れが襲った阪神・淡路大震災(1995年)で焼死者が全死亡者の1割程度で済んだのは、関東大震災の教訓が活かされた結果です。「マンションが火災に強い」と言われるのも、難燃性に優れた鉄筋とコンクリートを組み合わせた建築工法が確立されたためです。

しかし、火災が危険であることは今も昔も変わりません。一瞬にして、われわれの生命と財産を奪います。そこで、防災の日をきっかけに、防災知識を身につけておきましょう。火災発生のメカニズムを知ることで、防火の知識向上に役立ちます。

「可燃物」「熱源」「酸素」がそろって初めて、モノは燃える

今回、本稿で取り上げる火災発生のメカニズムとは、たとえば「放火」「たばこの不始末」といった出火原因のことではなく、「燃える」(以下、燃焼と表現します)という現象がどのようにして起こるのか?―― その化学的な仕組みや条件を指します。

燃焼が起こるためには「燃焼の三要素」が同時に必要となり、この要素の中の1つでも欠けると燃焼は起こりません。その三要素とは「可燃物」「熱源」「酸素」のことで、モノが燃えるには燃えるための条件が整わないと燃焼は起きないのです。

可燃物とは「燃えるもの」のことで、住宅火災であれば建物本体や家財道具が該当します。建物も何もない更地に火を付けても、住宅火災は起こりません。燃える対象物が存在しないわけですから、当然です。

次に、熱源とは「モノが燃えるために必要な熱」をいいます。ストーブやライター、たばこの吸い殻などのほか、電源プラグのショートによる電気火花も該当します。簡単にいえば出火の火元(着火元)というわけです。火のないところに煙は立たないように、熱源なくして燃焼は起こりません。

さらに、三要素目として酸素もないと燃焼は起こりません。なぜなら燃焼とは酸化反応だからです。酸素と可燃物が結びつき、その可燃物が熱源に促されて酸化反応して燃焼は起こります。「可燃物」「熱源」「酸素」が同時にそろって初めて、モノは燃えるのです。

「燃焼の三要素」を取り除けば、必ず火は消える

写真:アフロ


燃焼の三要素が理解できたところで、ここからは消火の基礎知識になりますが、上述した発火のメカニズムを逆利用することで、今度はスムーズな消火活動が可能になります。

消火にも三要素が存在し、以下の3つの消火法とリンクします。消火の三要素とは「可燃物を取り除く」「熱源を奪う」「酸素を奪う」の3つで、燃焼の三要素を反転させた逆転の発想により消火法が確立されています。

<消火の三要素をベースとした3種類の消火法>

  1. 除去消火法(可燃物を取り除く)
    まだ燃焼を始めていない可燃物を、すでに燃焼している部分から切り離し、燃焼の拡大を中断させて消火する方法
  2. 冷却消火法(熱源を奪う)
    熱源から熱を奪い、燃焼物を発火点以下に下げることで消火する方法。大量の水を掛け、燃焼物を冷やして消火する。
  3. 窒息消火法(酸素を奪う)
    二酸化炭素などの不活性ガスや不燃性の泡を吹き掛けて燃焼物の表面を覆い、燃焼に必要な酸素の供給を絶つことで消火する方法

3番目の窒息消火法はイメージしにくいかもしれませんが、水を使っての消火を避けたい場合に利用される消火法です。パソコンのサーバー室や精密機器のある部屋などでは、火災が発生すると室内が真空(無酸素状態)になるよう装備されており、酸素を奪うことで延焼の拡大を防ぎます。放水によってパソコンや精密機器が故障しては困ります。そうしたリスクを回避すべく、コンピュータールームなどでは常備された消火法です。

総務省消防庁によると、2015年の総出火件数は3万9111件でした。2014年の4万3741件、13年の4万8095件と比較すると減少傾向にあります。生活の基盤である住宅がひとたび火災に遭うと、その修復には時間も費用も掛かります。防災の日を契機に、防災知識の習得に努めてほしいと思います。

最終更新日:2019年05月24日

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