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中古住宅購入の不安解消の一手「住宅履歴情報」とは?

2016年09月08日

平賀功一

中古住宅購入の不安解消の一手「住宅履歴情報」とは?

平賀 功一の最旬コラムNo.91

中古住宅購入の不安解消の一手「住宅履歴情報」とは?

「安心感の担保」なくして、中古住宅市場の流通促進は不可能

政府は8月24日、40歳未満の若者が中古住宅を取得し、同時に省エネ改修などのリフォームをした場合、その費用を補助する制度の創設を決定しました。既存住宅売買瑕疵保険への加入やインスペクション(専門家による住宅検査)の実施を条件に、戸当たり最大50万円を補助します。若年層の住宅取得を後押ししつつ、既存住宅流通・リフォーム市場の活性化につなげたい考えです。 

しかし、こうしたインセンティブ(誘因材料)にどれほどの効果があるのか?―― これまでも「すまい給付金」や「住宅エコポイント」と、類似の施策を講じてきましたが、いずれも一過性に終わり、飛躍的に中古住宅人気が高まった様子は見られません。 

新築住宅が選好され、中古住宅に二の足を踏む主たる理由は、構造や設備に対する消費者の「不安」にあります。中古住宅は新築時の品質や性能の違いに加え、その後の維持管理や経年劣化の状況によっても物件ごとに差が生じるため、こうした心理的な不安がマイホームの購入検討者を中古住宅から遠ざけます。 

国土交通省が実施した中古住宅購入に関する消費者アンケートでも、その評価について
  • 新築物件より問題が多そう:32.8% 
  • 心理的に中古住宅への抵抗がある:32.7% 
  • 後から欠陥が見つかると困る:29.6%
といった回答が寄せられています。つまり、安心感の担保なくして、中古住宅市場の流通促進は不可能なのです。その物件がいつ建てられ、どのようなメンテナンスをしてきたか……。住宅履歴情報が安心感の担保には不可欠となります。 

そこで、本稿では住宅履歴情報とは何なのか、どのような効果が期待できるのか、基本知識を分かりやすく解説します。 

良質なマンションライフの実現に住宅履歴情報は不可欠

住宅履歴情報とは、住宅の新築・修繕・点検や診断時における設計図書や施工内容、点検記録などの蓄積データをいいます。広義では土地建物の権利に関する情報やエネルギー使用履歴などを収集対象に加える場合もあり、「家歴書」や「いえかるて」といった名称で呼ばれることもあります。 

以下、分譲マンションを想定して話を進めますが、住宅履歴情報を蓄積・活用する主体者は、マンションの共用部分については管理組合、専有部分については区分所有者となります。 

通常、役員(理事)は2年ごとに交代してしまい、また、一定年数の経過した築後マンションでは区分所有者の入れ替わりも活発になります。そのため、どうしても過去の情報が断片化あるいは消滅してしまう危険があり、計画的な建物の維持管理や円滑な管理組合運営に支障を来たす可能性があります。適切な維持管理計画の策定において、住宅履歴情報はなくてはならない貴重な情報源なのです。 

2005年の耐震強度偽装事件から始まり、エレベーターでの圧死事故やガス湯沸し器による中毒事故まで、日常生活の安全を脅かす騒動が頻発したことも大きく関係しています。良好なマンションライフを実現するには、日常に潜む危険に対しても危機管理が求められます。 

そこで、新築時の設計図面から修繕や耐震診断、各種点検に関する情報を蓄積するほか、さらには給湯器や火災警報器・エレベーターなど、設備機器の製造番号や修理記録の情報も保存し、トラブル発生時の早期対応に役立てようとしています(下表参照)。 

今日では住宅履歴情報を一元管理できるサービスを提供する企業が登場するようになり、マンション管理組合の肩の荷を軽くしています。インターネットを活用し、WEB上で電子情報として整理や保存ができるようになったため、時間も場所も選ばず、誰もが住宅履歴情報にアクセス可能となりました。サービスの利用に当たり費用は発生しますが、蓄積や管理の手間は大幅に軽減されます。


分譲マンションに関する修繕履歴として記録に残したい項目/共用部分


分譲マンションに関する修繕履歴として記録に残したい項目/共用設備

住宅履歴情報が「品質保証書」としての役割を担う日は近い(?)

加えて、中古マンションの売却時にも住宅履歴情報は威力を発揮します。 

不動産売買において、まずは物件自体の性能や状態を出来る限り把握することが重要です。とりわけ中古住宅が消費者の信頼を得て、安全・安心に取引されるためには、売り主しか知りえない“不都合な事実”についても、仲介業者を経由して買い主に伝えられる必要があります。 

その中には自宅の空き巣被害や居住者の自殺といった心理的な瑕疵(かし=欠陥)も含まれ、買い主が購入の適否を決定する際の判断材料となるよう、本来、売り主に都合の悪い情報も蓄積されなければなりません。 

こうして住宅履歴情報がマイホームを客観的評価する有力な判断材料となることで、適切な資産価値の評価が可能となり、公正な価格形成の一助につながります。住宅の「品質保証書」としての役割を同時に担うのです。 

ただ、残念なことに住宅履歴情報の活用は定着するまでには至っていません。政府が先導役となり、有識者の知見も取り入れながら、国を挙げて仕組みの整備に尽力していますが、実務レベルでの活用は限定的です。 

国土交通省は今年度から実施する「良質な住宅ストックを形成する市場環境整備促進事業」の中に、住宅品質の向上や維持管理に必要なメニューとして住宅履歴情報を設定しました。長期間にわたって使用可能な住宅ストックの形成に寄与することが期待されます。安心感を担保するツールとして、住宅履歴情報が広く一般に利用される日が待ち望まれます。 

最終更新日:2018年08月30日

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