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便乗商法に個人情報の詐取 頻出する電力自由化トラブル

2016年12月13日

平賀 功一

便乗商法に個人情報の詐取 頻出する電力自由化トラブル

平賀功一の最旬コラムNo.100

便乗商法に個人情報の詐取 頻出する電力自由化トラブル

(写真:アフロ)

震災を機に問われた電力エネルギー社会のあるべき姿

11月下旬、経済産業省から福島第一原子力発電所の廃炉や賠償にかかる費用が総額で20兆円を超えるとの試算が公表されました。これまでの想定の約2倍に相当する金額となり、その一部は電力料金に上乗せされ、われわれ国民(電力需要者)にも負担を強いられそうです。 

その原因となったのが2011年3月の東日本大震災です。福島第一原発の放射能汚染事故は、私たちに電力エネルギー社会の“あるべき姿”について疑問を投げかけました。原発や化石燃料の依存度を抑制し、グリーンエネルギーの構成比率を拡大するなど、新しいエネルギー社会の創造を促しました。電力システム改革を断行する強力な誘発剤になっています。 

こうした流れの後押しもあり、ようやく2016年4月から電力の小売り完全自由化が実現しました。2000年3月には大規模工場やデパート・オフィスビルといった大口需要者を対象に、その後は中小規模工場や中小ビルへと対象を拡大し、そして今春からは一般家庭や個人商店なども電力会社を自由に選べるようになりました。

地域電力会社の市場独占を排除し、競争原理を導入することで、電力料金の引き下げや料金プラン・新サービスの登場が待望されます。資源エネルギー庁によると11月22日現在、368事業者が小売電気事業者として登録しています。

切り替えた世帯は全体の約3.3% 魅力より心配のほうが多い電力会社の変更

しかし、ふたを開けてみると4月の完全自由化によって電力会社との契約を切り替えた件数は10月31日時点で約209万件(電力広域的運営推進機関)でした。7カ月が過ぎ、全面自由化の対象となる世帯の約3.3%しか電力会社を変更していません。どの電力会社に切り替えるのが自分にとって最も適切なのか?―― 自らプランを比較して決断する難しさが、消費者の腰を重くしています。

(写真:アフロ)


それどころか、最近では注意喚起を促す情報が目立つようになりました。国民生活センターや経済産業省には多くの相談が寄せられており、警鐘を鳴らしています。同センターのホームページには、以下のような相談事例が紹介されています。

【電力の小売自由化に関する相談事例】
《事例1》
電力小売の全面自由化に伴いメーターの交換が必要と言われ、業者が来訪した。しかし、実際にはメーターの話は少しで、電気温水器の販売の営業を受けた。
《事例2》
大手電力会社の名前を出した電話勧誘を受け、よく分からないまま了承した。電気の契約をしたつもりではなかったが、翌月、大手電力会社とは別の会社が電気の契約書をもって自宅に来た。断ることはできないか。
《事例3》
契約先を変えると電気代が安くなると聞いたので、現在、契約している電力会社を切り替え、新しい小売電気事業者から供給を受けようと思い、契約の切り替えを申し込んだ。しかし、いったん契約を解除すると元のメニューには戻ることはできないと元の電力会社から言われ、どうしようか悩んでいる。
《事例4》
「大手電力会社から委託を受けて、各家庭の電気料金の無料相談をしているので訪問したい」と電話があった。その際、家族構成や電気料金などを聞かれたので答えた。しかし、約束の日になっても業者は訪れず、その後の連絡もない。個人情報を盗まれたようで心配だ。
《事例5》
マンションに住んでいるが、管理会社から一括受電契約への切り替えの協力依頼が来ている。文面上は「協力依頼」となっているが、切り替えが強制・義務と読めるような内容になっている。住人としてはこれに応ずる義務があるのか。

自由化にトラブルは付き物 最後は「知識武装」と「自己責任」の徹底が肝要

架空のメーター交換を口実に別の商品の勧誘を行う便乗商法が《事例1》です。きっぱりと断る勇気を持つことと、それでも契約あるいは購入してしまった場合は「クーリング・オフ」を活用しましょう。一定の条件はありますが、8日以内であれば契約の解除、あるいは購入商品の返品が可能です。

また、巧みな話術に圧倒され、気が付いたら了承していたというのが《事例2》です。民法上、契約は当事者の承諾のみで成立するため、たとえ口頭でも両者が合意すれば、法律上、契約は有効に成立します。《事例3》とも関連しますが、小売電気事業者は契約締結前に契約内容について説明することが義務付けられています。事業者から書面交付がなされますので、解約条件について契約書面を確認してみてください。

なお、「いったん契約を解除すると元のメニューには戻ることはできないと元の電力会社から言われた」点については、各事業者との契約内容によります。そのような内容で契約していたのであれば、従わざるを得ません。各人の個別判断で電力会社を変更するか・しないかを決めることになります。

次に、《事例4》は情報社会ならではの相談といえます。いまだオレオレ詐欺被害が増え続けている中で、個人情報が悪用される心配は尽きません。ただ、答えてしまった以上、打つ手はありません。電力会社の連絡先を聞いていれば、直接、問い合わせるのが一番です。同じ失敗を繰り返さないためにも、次回からは用心するようにしましょう。

そして、最後の《事例5》は分譲マンション特有の相談となります。「管理会社から一括受電契約への切り替えの協力依頼が、強制・義務と読めるような内容になっている」とのことですが、まったく心配はいりません。最終決定権者は区分所有者であり、総会決議を経て管理組合が切り替えるかどうか判断します。管理会社に決定権はありません。ご安心ください。

あいまいな返答や知識不足など、悪意を持った事業者は消費者の隙(すき)を突いてきます。被害に遭わないためには自ら知識武装することが欠かせません。新しい制度がスタートすれば、トラブルが発生するのは必至です。最後は自己責任との自覚を持ち、最適な電力会社を見つけてほしいと思います。

最終更新日:2018年08月30日

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