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建築パターンに応じた「二世帯住宅」の資金計画ポイント

2017年01月23日

平賀 功一

建築パターンに応じた「二世帯住宅」の資金計画ポイント

平賀功一の最旬コラムNo.102

建築パターンに応じた「二世帯住宅」の資金計画ポイント

(ペイレスイメージズ/アフロ)

シェアリングエコノミーをマイホームに応用したのが二世帯住宅

突然ですが、読者の皆さんは「シェアリングエコノミー」という言葉をご存じでしょうか。

シェアリングエコノミーとは直訳すると「共有型の経済」となり、たとえば車を会員間で共有するカーシェアリング、一棟の建物で複数の人が共同生活するシェアハウス、さらに家事代行やベビーシッターといった人手の請け負い(人的シェア)なども含め、モノやサービスを共有して効率活用を図る社会の仕組みを意味します。

今日、住宅市場では1軒あるいは1室単位で短期間、部屋を貸し出す「民泊」が、その代表例として大きく取り上げられていますが、住宅の飽和状態(家余り)が叫ばれて久しい我が国日本では、今後、空き家の利活用を筆頭にシェアリングエコノミーが定着する日はそう遠くないでしょう。

その中で、私が予想しているのが二世帯住宅の魅力の再認識です。少子・高齢化が社会問題となる中で、親世帯にとっては将来の健康不安(要介護)を心配して、また、子世帯にとっては自分の子供(親世帯から見た孫)の育児支援の期待などから、二世帯住宅が見直され始めています。金銭面では、親と子がそれぞれ単独で自宅を新築するよりトータルでの購入予算を低く抑えられるため、取得にかかる負担軽減にも貢献します。

このように要介護時の支援や子育てサポートといったマンパワーの親子間シェア、また、土地・建物を共有することによる建築費用のコストダウンなど、まさに二世帯住宅はシェアリングエコノミーの考え方と一致します。

ただ、ひと口に二世帯住宅といっても建築方法と登記方法には種類があり、それぞれのパターンに応じた資金計画の立案が求められます。建築方法・登記方法と、資金計画には密接な関係があるのです。そこで、今回は各パターンに応じた二世帯住宅の資金計画ポイントをご紹介します。

二世帯住宅には3種類の建築パターンと登記パターンがある

まず、建築方法には「完全分離型」「完全共有型」「部分共有型」の3パターンがあり、それぞれの特徴は【図表1】の通りです。

「完全分離型」は親子のプライバシーが確保しやすい半面、建築コストが相対的に高くなります。「完全共有型」は住宅設備が共有されることで、他のスペースに面積配分を広げられる一方、親子の生活スタイルのズレがお互いのストレスにつながりやすいといった心配があります。そして、両者の中間に位置するのが「部分共有型」です。

【図表1】二世帯住宅 3種類の建築パターン



また、登記方法にも「区分登記」「共有登記」「単独登記」があり、整理すると【図表2】のようになります。

【図表2】二世帯住宅 3種類の登記パターン



一部、建築パターンによって登記パターンに制約が生じ、「区分登記」できるのは「完全分離型」の二世帯住宅に限定されます。紛らわしいのですが、「完全分離型」の二世帯住宅は「共有登記」することも「単独登記」することも可能で、「区分登記しか認められない」わけではありません。混同しないようにしてください。 

  • 区分登記:完全分離型の二世帯住宅のみ登記可能 
  • 共有登記:3種類の建築パターンいずれも登記可能 
  • 単独登記:3種類の建築パターンいずれも登記可能 

二世帯住宅に威力を発揮するのが「親子リレー返済」と「親子ペア返済」

(写真:アフロ)

では、ここから建築パターン別に具体的な資金計画のポイントを見ていきましょう。

「完全分離型」の二世帯住宅では「区分登記」が認められるため、親と子がそれぞれ独立して住宅ローンを組むことができます。ひとつ同じ屋根の下で暮らしていても、区分登記されると住宅の戸数は「2戸」としてカウントされるからです。親世帯と子世帯の居住スペースが「別々の住まい」として扱われます。

そのため、親世帯のための住宅部分は親が自ら出資し、子世帯のための住宅部分は子供が自分たちで資金を工面することになります。つまり、「自分の分は自分で」といった独立採算制による資金計画が区分登記の二世帯住宅には適します。たとえば、親世帯の居住スペースは親が現金で支払い、子世帯だけが住宅ローンを組むことも可能です。

他方、「完全共有型」あるいは「部分共有型」の二世帯住宅では、空間的な所有関係に明確な線引きがありません。そのため、今度は「親子で力を合わせて」という考え方が威力を発揮します。具体的には「親子リレー返済」や「親子ペア返済」が利用されます。

親子リレー返済とは、その名の通り、親と子の二世代にわたって返済していく住宅ローンです。住宅ローンの契約本数そのものは1本となり、親が申込者、子どもが連帯債務者となります。

利点としては、申込者(親)の年齢にかかわらず、後継者(子)の年齢(融資の申し込み時点)をもとに融資期間を選べるため、出来るだけ返済期間を長期間にしたい場合や、また、収入合算によって借入額を増やしたい場合に好都合な住宅ローンです。

続いて、「親子ペア返済」とは1戸の二世帯住宅に対して親と子でそれぞれ住宅ローンを組み(ローンの契約本数は2本)、力を合わせて返済していく方法です。たとえば、建築費として3000万円の融資を受けたい場合、親が1000万円を借り、子供が2000万円を借りることができます。さらに、親の1000万円分は10年返済とし、子供の2000万円分は35年返済にすることも可能です。親と子の年齢や収入(返済能力)などに応じて、それぞれに条件設定できるのが魅力です。なお、利用にあたっては区分登記を融資条件にしている金融機関もあります。

想定される「リスク」を考慮した資金計画を立てよう

併せて、注意点も確認しておきましょう。

「親子リレー返済」「親子ペア返済」いずれも、すべての金融機関では取り扱っていません。また、親子同居に内在する潜在的なリスクとして「同居解消」というトラブル発生の可能性もあります。もし、親子間での対立がエスカレートして「同居」という前提条件が崩れたら、その後のローン返済はどうなってしまうのでしょうか?―― 残債の一括返済など請求されても対応できるはずがありません。

さらに相続発生時、トラブルが起きないかも気がかりです。たとえば、親の持ち分を誰が引き継ぐのか、どのように遺産分割するのか。円満解決できないと、残された子供同士でのバトル(争族)へと発展しかねません。骨肉の争いなど、現実のものとなっては困ります。

このように、二世帯住宅にはシェアリングエコノミーに共通する合理性や経済性がある半面、土地・建物と住宅ローンをシェア(共有名義)することによる悪弊も内包します。決して、いい事ずくめではありません。「失敗した」「こんなはずでは……」とならないためにも、想定されるリスクやトラブルを意識した住宅設計と資金計画を心掛けてください。

最終更新日:2018年08月30日

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