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不動産売買では大切! 豊洲問題で理解する「瑕疵担保責任」

2017年04月12日

平賀功一

不動産売買では大切! 豊洲問題で理解する「瑕疵担保責任」

平賀功一の最旬コラムNo.110

不動産売買では大切! 豊洲問題で理解する「瑕疵担保責任」

2016年11月7日に新東京都中央卸売市場となる「豊洲市場」の開場予定日を迎えたが、基準値を超える有害物質が見つかった為、政府は築地から豊洲への移転の延期を決定した。(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

「豊洲移転は都政の大きな流れで、逆らえなかった」/石原・元都知事 

昨年8月に小池東京都知事によって、豊洲への移転延期が正式決定してから8カ月が経過しました。ところが、事態は収束に向かうどころか、今年1月には地下水モニタリング調査で環境基準の最大79倍のベンゼンが検出され、再調査をしてみると今度は同100倍の有害物質が3月に検出されるなど、かえって泥沼化の様相を呈しています。


改めて疑問に思うのが、なぜ、土壌汚染されている豊洲をあえて移転先に選んだのか?―― 混迷は深まるばかりです。


そこで、その経緯(移転交渉の過程)を解明すべく、東京都議会が百条委員会(調査特別委員会)の設置を決定。3月11日から参考人の証人喚問が行われ、3月20日には石原慎太郎・元都知事への質疑が行われました。


しかし、到底、納得できる内容ではありませんでした。3月3日の記者会見で答弁した「知事就任前(前任の青島都知事)から豊洲移転の方向性は既定路線だった」との説明に変わりはなく、百条委員会でも「豊洲移転は都政の大きな流れで、逆らえなかった」と自らの主導を否定しました。


さらに、売り主である東京ガスが負担する土壌汚染対策費の上限を78億円とし、追加工事が発生しても東京都は費用請求しないという、「瑕疵(かし)担保責任の免除」が土地売買契約に盛り込まれている点について、「瑕疵担保については昨年初めて知りました。契約当時(=2011年3月)は東日本大震災直後で、混乱していました。大混乱の中にあって、担当からそういう報告を受けた記憶はありません」と釈明。石原氏の豊洲移転に対する関心の低さが如実に感じられます。


その結果、当初586億円と試算していた土壌汚染対策費が858億円まで膨らんだにもかかわらず、都は東京ガスに新たな負担を求められません。証人喚問で、当時の都中央卸売市場長の1人が「要求をのまなければ永遠に合意できないと考えた」「交渉をまとめることが第一だった」と説明しています。


そこまで譲歩してでも、東京都は土地を取得したかったわけです。はたして豊洲の土地に578億円(土地購入代)の価値があるのかどうか。全容が解明しない限り、正解は導けそうにありません。


売り主に瑕疵担保責任を問うには「瑕疵が隠れている」必要あり

さて、ここからが本題です。本稿では瑕疵担保責任についての正確な知識をお伝えしたいと思っています。土壌汚染された土地の売買をめぐり、東京ガスには瑕疵担保責任を負う義務があるような報道が散見されますが、上述した豊洲への移転問題に関する土地取引の場合、瑕疵担保責任は問われません。マスメディアは不正確な報道をしています。一体なぜなのでしょうか?――


売り主の瑕疵担保責任とは、売買契約において売買の目的物に隠れた瑕疵(欠陥)があった場合、売り主が買い主に対して負う法的責任のことです。東京ガスの工場跡地(売買の目的物)には土壌汚染という瑕疵があるのだから、売り主が瑕疵担保責任を負うのは当然と思われがちですが、法律上、東京ガスに瑕疵担保責任を問うには「瑕疵が隠れている」必要があります。つまり、「隠れた瑕疵」でなければならないのです。


ここでいう「隠れた瑕疵」とは、引き渡し前にすでに瑕疵が存在(内在)しており、引き渡し後、日常生活の中でやっと買い主が気付くレベルの瑕疵を指します。買い主が通常、要求される注意を払っても発見することができない程度の“隠れ具合”でなければなりません。


2016年11月7日に新東京都中央卸売市場となる「豊洲市場」の開場予定日を迎えたが、基準値を超える有害物質が見つかった為、政府は築地から豊洲への移転の延期を決定した。(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)


豊洲への移転問題では売買契約締結前に、すでに瑕疵(土壌汚染)の存在が明らかになっています。しかも、その事実を東京ガスは前もって東京都に告知しています。これでは「瑕疵が隠れている」という条件を満たしません。従って、東京ガスが78億円までしか土壌汚染対策費を負担しないことを「瑕疵担保責任の免除(あるいは放棄)」と表現するのは正しくありません。


中古マンションでの隠れた瑕疵は「雨漏り」「シロアリの害」「給排水管トラブル」

改めて、買い主が瑕疵担保責任を問えるのは、売買契約において売買の目的物に“隠れた瑕疵”がある場合です。引き渡し後、マイホーム購入者(一般消費者)が売り主に瑕疵担保責任を問う場合も条件は同じです。


そもそも瑕疵とは法解釈上、以下の3つの欠陥を指します。


瑕疵とは?

  • 目的物が取引上、通常有するべきものとされる品質や性能の欠陥
  • 当事者が契約上、予定した使用目的に対する適正の欠陥
  • 売り主が特に保有すると保証した品質や性能の欠陥


具体的には、土地の隠れた瑕疵としては地中にコンクリート塊や建築廃材などの埋設物が存在するケースや、土壌汚染された有害物質が地中に含まれているケースが典型例として挙げられます。


豊洲市場の地下水からは基準値を超えるベンゼンやヒ素が検出されました。その存在を売り主も買い主も知らないまま売買契約を締結後、買い主である東京都がその事実に初めて気付いた場合、瑕疵担保責任を売り主に問えます。契約の解除および損害賠償の請求が可能となります。


また、中古マンションの個人間売買のケースでは、契約実務上、売り主の瑕疵担保責任について、次のような取り決めをするのが一般的です。


売り主が買い主に対して負う隠れた瑕疵は、

(1)建物の専有部分における雨漏り

(2)シロアリの害

(3)給排水管の故障に起因する隠れた瑕疵に限るもの

とし、その瑕疵が敷地または共用部分に存する場合は瑕疵の責任を負いません。また、その責任の範囲は修復に限るものとし、買い主は契約解除または損害賠償の請求はできません。

個人間売買では売り主も一般消費者となるため、一方的に過度の瑕疵担保責任を押し付けても、現実問題、売り主がすべての責任を果たせる保証はありません。そこで、隠れた瑕疵の対象を3つに限定し、さらに責任範囲を瑕疵の修復に限ることでバランス調整を図っています。売り主に不利益となる契約を、売り主が好んで締結するはずがありません。隠れた瑕疵の対象を明示・限定することで、結果として、円満な中古マンションの売買契約につながります。


マスコミも不正確な報道をするほど、理解しにくい瑕疵担保責任。しかし、不動産取引では買い主保護に資する重要な取り決めです。これを契機に正確な知識の習得に努めてほしいと思います。

最終更新日:2017年04月12日


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