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震災から6年 地震保険の改正内容と加入時の注意点を再確認

2017年04月26日

平賀 功一

震災から6年 地震保険の改正内容と加入時の注意点を再確認

平賀功一の最旬コラムNo.111

震災から6年 地震保険の改正内容と加入時の注意点を再確認

浦安市における東日本大震災の被害(写真:アフロ)

「自らの身は自分で守る」という危機意識が、すべての出発点

地震と津波、そして放射能漏れ ―― こうした想像を絶する数々の爪あとを残し、わが国に甚大な被害をもたらした東日本大震災から、今年(2017年)3月11日で丸6年が過ぎました。震災の年(2011年)に小学1年生だった子供たちは今春から中学生になりました。年月の経過が感じられます。


とはいえ、いまだ被災地の復興は途上にあり、2月13日現在、全国で約12万3000人(復興庁)が避難生活を強いられています。今回の激甚災害では1万9533人の尊い命が奪われており、「全壊」「半壊」「一部損壊」を合わせて114万6324棟の建物が被害を受けました(3月1日現在/総務省消防庁)。


住宅被害といえば、「住みたい街」として人気だった千葉県浦安市も液状化の被害に襲われ、“浦安ブランド”は大きな痛手を受けました。さらに、液状化は湾岸エリアの高層マンションにも悪影響を及ぼし、マンション分譲業者は販売計画の見直しを余儀なくされました。いくら建物の耐震性能を高めても肝心の土台(地盤)が軟弱だと、住宅としての機能維持は困難であるという事実を、われわれに突き付けたのです。


不運にして、その後も巨大地震の衝撃は続き、2016年4月には熊本地震が発生しました。熊本地方では震度7を2回観測し、「前震」「本震」「余震」の三重苦に苦しめられるという前例のない試練に見舞われました。もはや「予想外」「想定外」という言葉は通用しなくなりました。近い将来には首都直下地震や南海トラフ巨大地震の発生が予測されており、その逼迫(ひっぱく)性は高まっています。自らの身は自分で守らなければならないのです。防災力を高め、危機意識を強く持つことが、安全確保への近道となります。


そこで、その第一歩として頼りになるのが地震保険です。

制度改正 損害区分間の支払割合の格差を縮小しようというのが狙いの1つ

地震保険とは「居住用建物」および「家財」を対象とし、地震・噴火、または、これらによる津波によって発生した火災や損壊などによる損害を補償する地震災害専用の保険です。火災保険に付帯する形で契約することになり、単独での加入はできません。


地震保険への世帯加入率は年々高まっており、日本損害保険協会によると2015年度は29.5%に達しています。阪神淡路大震災(1995年1月)のあった1994年度が9.0%、新潟県中越地震(2004年10月)のあった2004年度が18.5%、そして新潟県中越沖地震(2007年7月)があった2007年度が21.4%でした。この20年間で世帯加入率は3倍になっています。


同時に保険制度自体も累次の見直しが行われ、今年1月にも改正が行われました。1つ目が損害区分の見直しです。【図表1】のように、3区分から4区分へと細分化されました。



その目的は損害査定の迅速性を確保しつつ、より損害の実態に照らした損害区分とするためです。同時に、損害区分間の支払割合の格差を縮小しようという狙いもあります。改正後の損害区分は、地震保険期間の始期日が2017年1月1日以降となる契約から適用されます。

地震保険料の改定 全国平均では約5.1%の引き上げ、さらに広がる地域差

また、地震保険料も改定されました。今回、最も引き上げられたのが埼玉県のプラス14.7%(図表2)。逆に、最も引き下げられたのが愛知・三重・和歌山の3県でマイナス15.3%です。全国平均では約5.1%の引き上げとなりました。保険料は建物の所在地(都道府県)と構造によって異なっており、本改定によって地域差がより拡大する結果となりました。



建物の主要構造部に損害を受けないと、保険金の支払対象にならない

東日本大震災による地盤沈下 (ペイレスイメージズ/アフロ)


このように巨大地震の逼迫性に鑑み、適時、地震保険の見直しが行われてきたわけですが、6年前の東日本大震災では以下のような課題が浮き彫りになりました。実に気の毒な話です。


前述したように、千葉県浦安市では多くの分譲マンションが液状化被害を受けました。同市の報告によると「地盤改良を施していなかった地域のマンション(支持杭基礎建築物)では、建物周辺の地盤沈下によりエントランス周りに段差が発生。同時に、ライフラインが寸断し、復旧に相当な時間を要した。建物の周辺の地盤沈下による段差は最大50センチメートル程度に及ぶ場合もあった」といいます。


しかし、基礎や構造躯体にまで地震被害が及んだマンションは僅少だったため、多くのマンション(管理組合)が地震保険に加入していても、保険金は受け取れませんでした。なぜなら、建物の主要構造部(柱、壁、床、梁、屋根など)に損害を受けないと保険金の支払対象にならないからです。いくら建物周辺が地盤沈下しても、マンション共用部分の基本構造部にまで被害が及ばないと補償の対象にはならないのです。


これでは一体、何のための地震保険なのか?―― 誰もが同じ疑問を抱くはずです。


そこで、日本損害保険協会は迅速で的確な損害判定が行えるよう、液状化による損害に対する認定基準を2011年6月に追加しました。さらに、今回の改正に合わせて損害区分を細分化し、より実態に即した客観的な損害判定が可能となるようにしました(図表3)。「傾斜」または「最大沈下量」のいずれか高いほうの区分が判定時には採用されます。



しかし、この認定基準は木造および鉄骨造の建物(共同住宅を除く)を適用対象としており、マンションは含まれていません。一体なぜなのか、日本損害保険協会に問い合わせてみましたが、「そこまでは把握できていません」(広報)との返答でした。


今後、液状化で地盤沈下しても、分譲マンションでは地震保険が支払われない可能性があるのです。最悪、全損となり建て替えという話になっても、再建費用を地震保険金だけで賄うことは不可能なのです。


誤解のないよう、地震保険の恩恵を受けているマンションがあるのは事実です。再建の一助にはなっています。ただ、被災者の生活再建を資金面で“広く薄く”支援するのが地震保険の役割です。あくまで生活再建のための臨時費用的な意味合いの保険でしかないのです。


こうした商品特性を十分に理解した上で、地震保険への加入・不加入を各自、判断してほしいと思います。


参考サイト

最終更新日:2018年08月31日

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