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住宅市場に忍び寄る「2019年問題」と「2022年問題」

2017年06月20日

平賀功一

住宅市場に忍び寄る「2019年問題」と「2022年問題」

平賀功一の最旬コラムNo.115

住宅市場に忍び寄る「2019年問題」と「2022年問題」

(写真:アフロ)

止まらない「総人口の減少」と「高齢社会の進展」

2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、東京圏では各所で開発が進んでいます。盗用疑惑に揺れたエンブレム問題や、建設費用の積算根拠に国民の理解を十分に得られないまま見切り発車した国立競技場の建設工事など、いくつかの汚点は残しつつも、大会の成功を目指して本格的に動き始めています。


これに続けとばかり、大阪府は2025年に開催の国際博覧会(万博)の誘致を表明しており、1970年以来、2度目となる大阪万博の実現を目指しています。すでに政府も閣議了解しており、今後、立候補地間による誘致合戦が繰り広げられます。


ただ、こうした国家プロジェクトばかりに目を向けていていいのでしょうか。確かに、東京五輪や大阪万博は夢があり、経済波及効果も期待できるでしょう。しかし、東日本大震災を起因とした原発問題は終息する気配もなく、足もと、築地から豊洲市場への移転の適否すら判断できずにいます。


最も根が深いのが、総人口の減少と高齢社会の進展問題です。国立社会保障・人口問題研究所が今年4月に公表した「日本の将来推計人口(平成29年推計)」によると、2017年に約1億2650万人の総人口が36年後(2053年)には1億人を割り込み、9924万人になります。同時に高齢化率(65歳以上の人口割合)は27.8%から38.0%へと上昇し、およそ2.6人に1人が65歳以上という超高齢社会がやって来ます(下表参照)。


にもかかわらず、こうした構造的な問題への抜本的な解決策は見えておらず、尽力すべき課題の優先順位に疑問を呈さずにはいられません。


2019年には「総人口」に加えて「世帯数」も減少時代に突入

人口構成の偏在が住宅市場へも負の影響を及ぼすのは想像に難しくありません。同研究所の「日本の世帯数の将来推計(平成25年1月推計)」によると、わが国の世帯総数は2019年の5307万世帯でピークを迎え、その後は減少に転じ、2035年には4956万世帯まで減少します。


2015年に実施された国勢調査(総務省)によって「初の人口減少」が確認されており、すでに日本の総人口は減少時代へと突入しています。そうしたなか、唯一の救いだったのが世帯総数の増加です。理屈上、世帯総数が増加していれば住宅需要も比例して増加します。人口が減少し始めていても、マイホームが欲しいという家庭の数は減らないと考えられてきました。


ところが、その“最後の望み”が2019年で断たれようとしています。上述したように「人口」に加えて「世帯数」も減少時代に入るからです。住宅市場はマーケットの縮小を余儀なくされ、需要減による販売不振が想定されます。これが「住宅市場の2019年問題」です。

台頭する悲観シナリオ 2020年・東京五輪後の地価動向

 (ペイレスイメージズ/アフロ)

さらに追い打ちを掛けるように、その3年後には「2022年問題」もやって来ます。2022年問題とは、生産緑地法によって定められた「営農」継続の義務が2022年以降解除されるため、営農を中止した農地の所有者が土地を宅地化して売却。その結果、大量の宅地が不動産市場に放出される懸念のことを指します。


もともと、生産緑地制度は都市部に残存する農地の計画的な保全を図る目的で1992年に制定されました。生産緑地とは、市街化区域内の広さ500平方メートル以上の農地のことです。いったん生産緑地に指定されると、土地の所有者は固定資産税や相続税の優遇が受けられる半面、30年間の営農が義務付けられます。病気や死亡などによって営農が困難にならない限り、生産緑地の指定は解除できません。


それが2022年以降、“30年縛り”から解放された地主が土地を売却し始めることで、供給過多による地価下落リスクが顕在化します。その土地を安く仕入れたハウスメーカーなどが安価な建売り住宅を供給するという可能性(期待)はありますが、マーケットの視点からすると需給バランスの不均衡は喜ばしくありません。需給ギャップの広がりは市場のメカニズムを歪めます。


その悪しき典型例が深刻化した空き家問題です。増加する最大の原因は「家余り」――。マイホームの飽和状態が空き家を生み出しています。需給バランスの不均衡による悪弊が、歪んだ住宅市場を創り出しているのです。


オリンピック機運に下支えされ、2020年までは地価の緩やかな上昇が見込まれます。しかし「2019年問題」と「2022年問題」によって、悲観シナリオへと塗り替えられる公算は大きいと個人的には考えています。人口動態と住宅市場の浮沈には密接な関係があるのです。今後の地価動向を探るうえで、読者の皆さんには「2019年問題」と「2022年問題」に強い関心を持ってもらいたいと思います。


【参考サイト】

※1. 本記事は「出生中位・死亡中位」の推計結果を参考にしています。

最終更新日:2017年06月20日


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