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豪雨・土砂災害―住宅損壊などで受けられる公的支援金とは?

2017年08月04日

平賀功一

豪雨・土砂災害―住宅損壊などで受けられる公的支援金とは?

平賀功一の最旬コラムNo.118

豪雨・土砂災害―住宅損壊などで受けられる公的支援金とは?

九州北部豪雨 福岡県朝倉市で救助活動や捜索活動を行う警察官 2017年7月8日撮影(写真:ロイター/アフロ)

広島の土砂災害、鬼怒川の堤防決壊、今夏の九州北部豪雨、いずれも犯人は「線状降水帯」

自然災害に対して人間はいかに無力か ―― またしても我々は、その脅威にさらされる事態となりました。


7月5日、九州北部(福岡県と大分県内)で大雨特別警報が発令されました。大雨特別警報とは、台風や集中豪雨により数十年に一度の降雨量となる豪雨が予想され、命に関わる重大な災害の危険性が高まっているときに発せられる警報です。


豪雨が集中した福岡県朝倉市と大分県日田市付近では、警報発令後の正午から24時間で500ミリ以上の降雨量を記録しました。気象庁の発表によると、大雨の発生原因は大気の状態が非常に不安定な中で、雨雲(積乱雲)が連続して発生し、線状を形成したまま(=雨雲が列をなし、帯状の状態で)同じ場所に停滞したことによるもので、結果として短時間に局所的な豪雨となりました(文末のリンク参照)。


こうした線状に伸びた降水域を「線状降水帯」といい、74名が亡くなった「広島土砂災害」(2014年8月)も、テレビで鬼怒川の堤防決壊の様子が繰り返し報道された「関東・東北豪雨」(2015年9月)も、この線状降水帯が影響していました。


その後、7月23日には秋田県でも大雨が降り、さらに翌24日には新潟県の佐渡市で50年に1度の記録的な大雨となりました。もし、東京都心で同規模の集中豪雨が発生したら、都市機能は麻痺(まひ)し、経済活動への影響は計り知れません。


今夏の九州北部豪雨は閣議決定ののち、激甚災害に指定される運びです(7月24日現在)。被害額は、福岡県と大分県の両県を合わせ1400億円を超える見通しです。この場を借りて、被害に遭われた皆様にはお見舞いを申し上げます。陰ながら1日も早い生活再建を心から願っています。


以下、本稿では基本となる公的支援を3種類ご紹介します。九州北部豪雨の被災者ではない読者にとっても、万が一の際の予備知識として、支援内容を知っておくと安心です。 もし、自身が被害に遭った場合に同様の公的支援が受けられます。転ばぬ先の杖として、お役立てください。

自分が支給対象か、いくら受け取れるのか、早めに確認しておこう

被害に遭われたら、まずは各市町村の窓口で「罹災(りさい)証明書」を発行してもらいましょう。この証明書を取得して初めて、公的支援の申請が可能になります。そして、該当する被災の程度に応じ、公的支援を申請するという段取りになります。 


1.住宅が損壊した場合――【被災者生活再建支援金】

住宅が全壊・全流出した世帯、あるいは半壊や敷地被害などにより、やむを得ず住宅を解体した世帯など、豪雨により生活基盤に著しい被害を受けた世帯に対して被災者生活再建支援金が支払われます。


この支援金は住宅の被害程度に応じて支給される「基礎支援金」と、住宅の再建方法に応じて支給される「加算支援金」から構成されており、その使途、また、被災者の年齢や収入による制限はありません。対象となる世帯および支援金の額は下表の通りです。


■対象となる世帯

  1. 住宅が全壊した世帯
  2. 住宅が半壊、または敷地被害が生じ、住宅をやむを得ず解体した世帯
  3. 災害による危険な状態が継続し、居住不能な状態が長期間継続している世帯
  4. 住宅が大規模半壊した世帯


■基礎支援金

住宅の被害の程度(1)(2)(3)の世帯(4)の世帯
2人以上の世帯100万円50万円
単身世帯75万円37万5000円

■加算支援金

住宅再建の方法建設・購入補修賃貸
2人以上の世帯200万円100万円50万円
単身世帯150万円75万円37万5000円


2.災害によって亡くなった場合――【災害弔慰金】

豪雨により生計を維持していた人が死亡した場合、遺族に災害弔慰金が支払われます。


  • 死亡者が受給遺族(※)と生計を同じくする扶養者だった場合:最大500万円
  • その他の者が死亡した場合:最大250万円

※受給遺族(支給対象者)の範囲

  • 配偶者(事実婚を含む)、子、父母、孫、祖父母
  • 上記の遺族がいない場合、死亡者と同居または生計を同じくしていた兄弟姉妹


3.障害を負ってしまった場合――【災害障害見舞金】

豪雨により重度の障害(両眼失明、言語の機能喪失、要常時介護、両上肢ひじ関節以上の切断など)を受けた人に対し、災害障害見舞金が支払われます。

  • 生計を同じくする扶養者が重度の障害を受けた場合:最大250万円
  • その他の者が重度の障害を受けた場合:最大125万円


福岡県の災害窓口の担当者は注意点として、「災害弔慰金と災害障害見舞金は実施主体が市町村となり、各市町村の条例に基づいて実施されます。よって、お住まいの地域が実施対象になっているか、事前に確認しておくと安心です」とのこと。


また、「先に災害障害見舞金の支給を受けていた場合、災害弔慰金はすでに受け取った災害障害見舞金の額を差し引いた額が支給されます」―― つまり、いずれも満額が支給されるわけではありません。財源は市町村、県、国それぞれが応分して負担する仕組みになっているため、一定の上限を設けざるを得ないわけです。

九州北部豪雨 福岡県朝倉市 行方不明者の捜索を行う救助隊員 2017年7月7日撮影(写真:ロイター/アフロ)

「社会保障制度による支援」も上手に活用しよう

被災者には国の社会保障制度による支援も用意されており、加入している年金や雇用保険により給付が受けられます。


国民年金に加入中の人が死亡した場合、一定の受給資格要件のもと、「18歳までの子供がいる配偶者」、あるいは配偶者がいなくて子供だけの場合は「その子供」に対して遺族基礎年金が支給されます。また、サラリーマンなど厚生年金加入者には一定条件のもと、その人によって生計を維持されていた遺族に遺族厚生年金が支給されます。


さらに、勤務先が豪雨により事業を休止あるいは廃業したため、離職を余儀なくされた人に対しては雇用保険の基本手当(失業給付)が支給されます。通常、再雇用が予定されている場合は支給対象から外されるのですが、今回の災害では特例措置として、事業再開後の再雇用が予定されている場合であっても失業給付を受け取れます。


福岡労働局(厚生労働省)の試算によると、おおよそ以下の失業給付が受けられます。※以下、給与は各種控除前の額、賞与等は含まず。


【失業給付額】

  • 給与の年平均月額が15万円程度の場合:月額11万円程度
  • 給与の年平均月額が20万円程度の場合:月額13万円程度
  • 給与の年平均月額が30万円程度の場合:月額16万円程度


こうした公的支援制度は、豪雨に限らず、地震や津波・落雷など、あらゆる自然災害時に適用されます。もはや「異常気象」とは呼べないほど、記録的な甚大災害が頻発している中で、公的支援は生活再建に欠かせない重要施策です。

ただ、その制度を知らなければ申請できません。本稿が、その一助になれば光栄です。



【参考サイト】

最終更新日:2017年08月04日


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