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マンション管理組合の役員のなり手不足 その解決法とは?

2017年10月10日

平賀功一

マンション管理組合の役員のなり手不足 その解決法とは?

平賀功一の最旬コラムNo.122

マンション管理組合の役員のなり手不足 その解決法とは?

とあるマンションの集会室(ペイレスイメージズ/アフロ)

重責が課される役員の任務 精神面・体力面で高齢者からは敬遠されがち

かつては高嶺の花とされ、羨望の的だった分譲マンションでの生活が、その誕生から半世紀を経て、いまや「限界集落」ならぬ「限界マンション」と揶揄(やゆ)されるほどの難局に直面しています。


その主因とされるのがマンション管理の運営不全です。「マンションは管理を買え」と言われるように、管理組合の力量(運営能力)がマンションライフの質(住み心地)を左右します。管理の良し悪しは資産価値にも影響を及ぼします。にもかかわらず、それほど重要なマンション管理組合の運営が円滑に進行できなくなっています。その根底にあるのが、居住者の高齢化です。


おおよそ5年ごとに実施される国土交通省の「マンション総合調査」によると、平成25年度は60歳以上の世帯主年齢の割合が50.1%(60歳代31.1%+70歳以上18.9%)まで拡大しました。2世帯に1世帯の世帯主が60歳以上というわけです(図表1)。


(出所)国土交通省「平成25年度マンション総合調査」


マンション総合調査では役員を引き受けたくない理由についても質問しており、「高齢のため」が第1位となっています(図表2)。管理組合の役員を経験したことがある人なら分かるのですが、その任務は毎回の理事会に出席して、うなずいていれば済むような楽な仕事ではありません。


管理費等の滞納者からの未収分の督促、住民トラブルへの対応、建物修繕の準備・実行、また、巨大地震に備えた避難計画の策定や避難訓練の実施、さらに高経年マンションでは独居高齢者のケアサポートに至るまで、多岐にわたる課題に取り組まなければなりません。管理会社がお膳立てはしてくれますが、マンション管理の主体は管理組合です。自助努力が欠かせません。「管理会社が何でもしてくれる」というのは幻想です。


(出所)同上


それだけに、管理組合としては時間的な余裕があり(すでにリタイアしている場合)、また、人生経験も豊富なご年配者にも力を貸してほしいと考えています。とはいえ、精神的にも体力的にも身体能力が低下傾向の人に強要するわけにはいきません。その結果、役員のなり手不足が生じ、マンション管理を空洞化させます。


では、どうすればいいのか?――手をこまねいているわけにはいきません。考えれば打開策はあります。そこで、以下、3つの解決法をご紹介します。

資格要件を緩和し、役員に就任しやすいルールに変更する

まず1つ目は、役員に就任しやすくなるよう資格要件を緩和する方法です。


2011年7月、マンション標準管理規約が改正され、役員の資格要件について「現に居住する」という表現が削除されました。区分所有者でありながら居室(専有部分)を賃貸する、あるいは家族に住まわせる(単身赴任)などして、自身では住んでいない組合員を取り込めるようにするためです。


これまで「現に居住する」ことを必須条件としていたのは、マンション内で起こっている諸問題を肌で感じ取ってほしいという思いがあったからです。また、通常、月1回程度のペースで開催される理事会への足が遠のかない(欠席しない)ようにしてほしいという思いもありました。現に居住していないと、マンションの実態に即した機動的な初動対応ができません。


そこで、役員の資格要件を緩和してみてはどうでしょうか。管理規約を改正する手間はありますが、特に外部オーナー(=賃貸住戸)の比率が高い分譲マンションでは一定の効果が見込めます。企業でいう外部監査役のように、第三者的な視点で組合運営に参加してもらうのです。「現に居住していない」=「外部オーナー」だからこその新しい発想や斬新なアイデアが期待できます。専有部分を賃貸している区分所有者にも役員就任の機会を与えるのです。

自前主義にこだわらず、専門家の知識や経験を理事会運営に取り入れる

専門家の知識やアドバイスは大きなメリットとなる(写真:アフロ)


また、2番目として、区分所有者ではない「完全な第三者」を招き入れるのも一法です。具体的には、マンション管理士や建築士、あるいは管理コンサルタントなどの専門家に理事会のメンバーになってもらうのです。この方法も総会決議による賛成が得られれば、手続き上、実現可能です。


メリットとしては、プロの知識や経験を組合運営に取り込めます。役員が不得手とする大規模修繕工事やマンション会計への適時・適切なアドバイスが期待できます。管理会社の能力に不安や不満を感じている管理組合には心強い味方となるでしょう。


反面、デメリットとして「報酬」という新たな支出が発生するため、十分に居住者の理解を得る必要があります。たとえば、今後も区分所有者からの役員確保が難しく、加えて難易度の高い深刻な課題をいくつも抱えているようなマンションが検討対象となります。

発想を転換し、やる気重視の少数精鋭による役員編成で難局を乗り切る

さらに、3番目として役員が集まらないのであれば発想を転換し、無理に集めず「少数精鋭」で乗り切ろうという提案です。


マンション標準管理規約では、役員の人数について「おおむね10~15戸につき1名を選出すること」としています。また、「人数の範囲は最低3名程度、最高20名程度」とコメントしており、役員数が必要以上に多くなると合意形成に時間がかかり、かえって理事会運営が難しくなる恐れを指摘しています。


マンションの規模にもよりますが、個人的には理事長、会計担当理事、監事(=最低3名)さえ優秀であれば、あとは管理会社と二人三脚で何とか組合運営を維持できると考えています。無理に説得して役員になってもらっても、「名ばかり役員」では意味がありません。引き受けてもらったところで、毎回欠席では管理組合にとって無益です。それならば、役員の定足数そのものを柔軟化し、やる気重視の少数精鋭による役員編成で難局を乗り切るほうが合理的と考えます。


繰り返しになりますが、管理組合の運営能力がマンションの住み心地、引いては資産価値をも左右します。その運営主体となる役員、一人ひとりの力量が問われるのです。今後、居住者の高齢化はさらなる進展が予想されます。マンション管理を取り巻く環境が大きく改善される期待は薄いといえます。快適なマンションライフを維持・向上させるためにも、心当たりのある管理組合は役員なり手不足の早期解決に努めてほしいと思います。


<参考サイト>

※ページ内に「平成25年度マンション総合調査」に関する各種リンクがあります。 

最終更新日:2017年10月10日


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