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マンションの寿命を左右する建物設備の「法定点検」とは?

2017年11月14日

平賀功一

マンションの寿命を左右する建物設備の「法定点検」とは?

平賀功一の最旬コラムNo.125

マンションの寿命を左右する建物設備の「法定点検」とは?

(ペイレスイメージズ/アフロ)

われわれ人間に存在する2つの寿命 ――「平均寿命」と「健康寿命」

今般、「人生100年時代」と言われるほどの長寿大国となった、わが国日本。総務省の人口推計によると、今年(2017年)9月15日時点で90歳以上の人数は約206万人となり、初めて200万人を突破しました。総人口に占める90歳以上の割合は1.6%となり、アメリカ(0.8%)の約2倍となっています。(文末のリンク参照)。


ご存じのように、わが国の平均寿命は世界トップクラスです。厚生労働省によると、2016年は女性が87.14歳、男性が80.98歳となり過去最高を更新しました。男女とも世界第2位です。食生活・栄養状態の改善による生活環境の向上や、医療技術の進歩などが長寿命化を後押しします。


その反面、同省では特別養護老人ホームへの入所を待っている待機者が約36万6000人(2016年4月時点)いることも公表しています。気力・体力いずれも充実した元気なアクティブシニアがいる一方、自立した生活が困難な要介護者が年を追うごとに増加しています。われわれに超高齢社会の「負」の側面を訴えかけているのです。


こうした現状に一石を投じるべく、近頃、「健康寿命」という言葉を目にする機会が増えました。健康寿命とは「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定められています。さまざまな疾患や障害により、健康でいきいきとした生活が送れない期間を平均寿命から差し引いた「自分の意思で自由な行動ができる元気な期間」を意味します。ひと口に寿命といっても、今日では「平均寿命」と「健康寿命」が存在するのです。

マンションの寿命延伸に資するのが「建築設備の健康診断」=「法定点検」

なぜ、前段で2つの寿命を取り上げたかというと、こうした健康増進への機運を建築物にも反映・定着させてほしいと考えたからです。


健康寿命という概念が提唱された背景には、平均寿命と健康寿命の「差」を縮めてほしい。つまり、出来る限り健康な状態を維持し、1日でも長く充実したシニアライフを送ってほしいという願いが込められています。快適なシニアライフの実現に常日頃からの健康管理が不可欠なように、建物の健康寿命を延ばすためにも日々の管理が欠かせません。


そこで、建築物の寿命延伸に重要となるのが設備の“健康管理”です。建築基準法には「建築物の所有者、管理者または占有者は、その建築物の敷地、構造および建築設備を常時適法な状態に維持するよう努めなければならない」(第8条1項)と記されています。建物を構成する部材や材料は時間とともに劣化します。適時・適切な維持管理を行わないと、建物の性能は低下してしまいます。機能を充足させて長期使用に耐えるようにするためには、資材の維持保全が欠かせません。そのため、法律によって建築設備の点検(法定点検)が義務付けられています。


以下、分譲マンションを念頭に話を進めますが、主な点検・検査項目を一覧にしたのが【図表1】です。マンションは様々な材料や部品で構成されており、これらの資材は劣化や消耗の進行速度がそれぞれ異なります。よって、たとえ軽微な不具合でも放置しておくと、その部分だけでなく他の健全な部分にまで悪影響を及ぼす恐れがあります。部位の寿命を縮めてしまいかねないのです。計画的な設備の点検・検査が欠かせません。


建築基準法では、マンションのような特殊建築物に対して3年に1回の法定点検を課しています。地盤や接道に関する敷地調査から基礎、外壁、天井、開口部(サッシやガラス)などの不具合、さらに防火区画、避難経路、排煙、非常用照明といった緊急用の設備、さらに採光や自然換気の状態に至るまで幅広く定期点検を義務付けています。この検査は「特殊建築物定期検査」と呼ばれ、最も代表的な法定点検に位置付けられます。


また、同法では「建築設備定期検査」も義務付けており、

(1)換気設備

(2)排煙設備

(3)非常用の照明設備

(4)給排水設備の4設備を重点的に1年に1回

定期検査しなければなりません。


さらに、昇降機(エレベーター)についても1年に1回の法定点検を課しており、上述した3つの定期検査いずれも一級建築士、二級建築士あるいは専門の有資格者に状況を調査させ、その結果を特定行政庁に報告しなければなりません。

法定点検である以上、「実施しない」という選択肢は存在しない

(写真:アフロ)


さらに、マンションの火災対策として、消防法では消防用設備(図表2)の定期点検も義務付けています。たとえば、泡消火設備とは駐車場火災のための設備で、ガソリン火災は水のみでは消火しにくいため、水と泡原液を泡発生器で混合させ、水による冷却効果と泡による窒息効果の相乗効果によって消火します。


また、連結送水管とは中高層マンションの上層階で火災が発生した場合など、「ホースが届かない」といった事態に陥らないよう、マンション内部にあらかじめ設けられた送水用の配管です。1階のポンプ車から加圧した水を、連結送水管を介して火災階にある放水口まで送水することで、高層階でのスムーズな消火活動を後押しします。そして、こうした消防用設備は消防法により、「1年に1回(総合点検)」あるいは「6カ月に1回(その他の点検)」の法定点検が義務付けられています。



その他、浄化槽と給水設備についても1年に1回の点検や検査が義務付けられており、管理組合は専門の業者や機関に委託して点検してもらうことになります。


補足として「簡易専用水道」(図表1の最下欄)について説明しておくと、簡易専用水道とは水道事業者からの水をいったん受水槽に貯めた後、各居室に飲み水として供給する給水設備のことです。年1回、受水槽の清掃やメンテナンス、水質確認などが課されます。常に安全で衛生的な飲み水を確保するためには欠かせない、水道法で定められた法定点検です。


マンションの寿命延伸というと、誰しも大規模修繕工事を思い浮かべますが、建物設備の法定点検も忘れてはなりません。上述したように、管理組合はマンションの敷地、構造および建築設備を常時適法な状態に維持するよう努めなければなりません。法定点検である以上、「実施しない」という選択肢は存在しないのです。ご自宅のマンションがこの点に関して“適法”(法令順守の有無)かどうか、きちんと確認しておいてください。


<参考サイト>

最終更新日:2017年11月14日


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