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2018年を予測 どうなる?住宅・ゼネコン業界

2018年01月22日

平賀功一

2018年を予測 どうなる?住宅・ゼネコン業界

平賀功一の最旬コラムNo.127

2018年を予測 どうなる?住宅・ゼネコン業界

(ペイレスイメージズ/アフロ)

金融危機をもたらしたリーマンショックから今秋で丸10年

世界を震撼させた「リーマンショック」の勃発から、今年(2018年)9月で丸10年を迎えます。


思い返せば、米国発の世界的な金融市場の混乱によって日本の住宅市場では金融機関が融資態度を硬化させ、金融の目詰まりにより新興デベロッパーが“ドミノ倒し”のように倒産していきました。急激な信用収縮により2008年度には479社の不動産業者が経営破綻に追い込まれ(帝国データバンク「全国企業倒産集計」)、工事代金が焦げ付いた建設会社(ゼネコン)が共倒れに追いやられるという、不振の連鎖に見舞われました。


その後、政府の経済危機対策により、住宅取得にかかる贈与資金を500万円まで非課税にする軽減措置が講じられ、また、住宅金融支援機構による全期間固定型住宅ローン「フラット35」が100%融資の取り扱いを開始。さらに日本政策投資銀行を通じた業界への流動性供給など、さまざまなカンフル剤が矢継ぎ早に投入されました。


しかし、「アウトレットマンション」なる言葉が登場するほど、当時のマンション市場は混迷を深めました。破綻したデベロッパーの未分譲マンションが再販業者に買い取られ、あたかも“バーゲンセール”のような販売価格で投げ売りされました。こうした破格物件がアウトレットマンションと呼ばれ、市場に出回ったのです。


加えて、政権交代により民主党が政権与党の座についたことで、公共工事が大幅に削減されました。2009年9月、国土交通相に就任した前原誠司大臣は記者会見で「公共工事が景気の下支えに一定の効果があるのは事実」と述べる一方、「税金をどこに優先的に配分するかを考えた場合、公共工事を減らさざるを得ない」との立場を鮮明にしました。ゼネコンも厳しい経営環境へと追い込まれたわけです。建設不況への第一歩を歩み始めました。


(写真:アフロ)

活況に沸くゼネコン業界 きっかけは2011年3月11日と2013年9月8日

ところが「2011年3月11日」と「2013年9月8日」を契機に潮目が変わりました。何の日だか、読者の皆さんはお分かりでしょうか?―― 2011年3月11日は東日本大震災の発生日。そして、2013年9月8日は2020年の夏季オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、東京五輪)の開催地が東京に決まった日です。


政府は2020年度までの10年間を「復興期間」と定め、総額で32兆円規模の予算を確保することとしました。そして、2015年度までの前半5年間で25兆円強が費やされ、建設投資を牽引(けんいん)しています。


さらに、拍車を掛けたのが東京五輪の開催決定です。東日本大震災の被災地が復興した姿を世界に発信する「復興五輪」としての意味合いも重ね合わせながら、国家プロジェクトが本格的に動き出しました。メーンスタジアムとなる新国立競技場をめぐっては紆余曲折がありましたが、19年11月の完成を目指して建設工事が進められています。こうした「復興需要」と「五輪特需」に下支えされ、ゼネコン業界は活況に沸いています。

人口減少に伴う住宅・建設市場の規模縮小が、提携や買収を後押しする

ただ、その一方で先行きへの危機感を持っているのも間違いなさそうです。大手ハウスメーカーと中堅ゼネコンによる提携や買収が相次いでいるのです(下表参照)。昨年11月には、住友林業と熊谷組の業務・資本提携が発表されました。その狙いを両社は次のように説明しています。


「住友林業は、国内における非住宅分野の強化に加え、不動産開発事業などのグローバル戦略を推進する上で、ゼネコン機能の必要性を認識しております。(中略)熊谷組は、土木・建築の事業分野に加え、(中略)バイオマス発電をはじめとした再生可能エネルギー事業や海外事業の強化を掲げております。(中略)両社の戦略の方向性が一致し、お互いに企業価値の最大化が実現できるパートナーであると判断したため、本提携に至りました」(公表資料より抜粋)


一言でいえば「新たな事業分野への進出と市場の創出」を目指しており、その背景には、住宅・建設市場の人口減少に伴う縮小均衡への危機感がありました。加えて、2020年の東京五輪の後は建設需要が冷え込むとの予測から、事業を多角化し、収益基盤を強化したい狙いもあります。「ポスト2020年」を見据えた中長期的な戦略を描き始めているのです。住友林業は昨年12月、民泊事業への参入も表明しています。


同様の動きはパナソニックにも見られ、昨年11月、松村組の買収を発表しました。松下電器産業から社名変更し、ブランド名もパナソニックに統一した同社ですが、収益の柱を家電中心から住宅の分野にまで広げたいと考えています。そこで、昨秋にはパナホームを完全子会社化し、さらに集合住宅の設計・施工に強みを持つ松村組を取り込むことで、マンション分譲にも本格参入する計画です。“脱・家電”への意思表示と読み取れます。


【図表】近年のハウスメーカーとゼネコンによる提携・買収の事例

大手ゼネコンによる「入札談合」の疑いが浮上 どうなる2018年の住宅市場

そうしたなか、驚きのニュースが飛び込んできました。昨年末、総額9兆円の巨額プロジェクトとなるリニア中央新幹線の建設工事をめぐり、大手ゼネコン4社による入札談合の疑いが浮上したのです。


一部報道によると「主要工事のトンネルや新駅建設について、2011年のルートの正式発表前から受注分担を協議していた」(2017年12月18日付け朝日新聞デジタル)とされており、旧態依然とした内向き体質が改善されていないことを露見しました。


その背景には、東京五輪後に予想される建設需要の低減に対する危機感がありました。上述した中堅ゼネコンと大手ハウスメーカーによる提携・買収の理由が、そのまま大手4社にも当てはまるのです。スーパーゼネコンといえども、安泰ではないわけです。


(ペイレスイメージズ/アフロ)


以上を踏まえ、最後に2018年以降の住宅・ゼネコン市場はどうなるか展望します。


市場規模が縮小し、シェア争いが激化する中で、「競争」するのではなく「協調」したほうが有利に働くとの考えは変わらないでしょう。業種の垣根を越えた合従連衡が引き続き散見されると思われます。


また、2020年までは復興需要と五輪特需により、ゼネコン市場は好況を維持。入札談合事件による業界全体への影響は限定的と考えています。


ただ、建設需要の高まりによる職人不足を解消すべく、2013年度から国土交通省は建設労働者の日当の目安となる公共工事設計労務単価を断続的に引き上げています。その結果、技能労働者の賃金は上がり、建設資材のコスト上昇と相まって、最終的に建築価格の高止まりにつながっています。


首都圏新築マンションの平均価格は5551万円。東京23区では同6258万円まで高騰しており(2017年11月度/不動産経済研究所)、相対的に建売り住宅に割安感が出ています。駅近の利便性や充実した共用施設に執着しなければ、むしろ一戸建て住宅のほうが手にしやすくなっています。


購入時期に柔軟性があり、消費税率10%への引き上げを許容できるのであれば、建設需要が一巡する2020年以降の購入も検討に値します。物価安定目標2%の達成は相当先になるため、日本銀行は引き続き大胆な金融緩和を継続し、住宅ローン金利は低位安定を維持します。足もと、金利の先高観は感じられません。当面、借り急ぐ必要はないでしょう。


唯一、“高値づかみ”だけはしないよう、相場観を養い、販売価格には敏感でいてください。2018年の市場環境は、2017年と変わらないというのが結論です。

最終更新日:2018年05月18日

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