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民泊対策として、マンション管理組合がやるべき事とは?

2018年03月16日

平賀功一

民泊対策として、マンション管理組合がやるべき事とは?

平賀功一の最旬コラムNo.130

民泊対策として、マンション管理組合がやるべき事とは?

民泊をめぐるトラブルで筆頭に挙がるのが宿泊客による騒音。夜通し騒がれたら、マンションの隣接住民は迷惑千万だ。(写真:アフロ)

横行する違法民泊 実態調査によると6割超が「ヤミ民泊」に該当

2015年には日本を訪れる中国人が大量に買い物をする「爆買い」が流行語大賞に選ばれるなど、年を追うごとに訪日外国人客数は増えています。観光庁によると2017年には約2869万人が来日しており、過去最高を更新しました。政府は東京五輪が開催される2020年に4000万人の来日を目標に掲げており、インバウンド消費を起点とした景気拡大に結び付けたい考えです。


ところが、その実現を阻む課題が浮き彫りになりました。訪日外国人観光客の急増に対し、宿泊施設の整備が追いつかないのです。そこで、ひっ迫する宿泊需要の受け皿として、今般、ニーズが高まっているのが民泊です。民泊とは、住宅を活用した有償による短期間の宿泊を意味します。


政府は先鞭をつけるべく、国家戦略特別区域法に基づく旅館業法の特例、いわゆる「特区民泊」を2013年に制定。東京都大田区、大阪府と大阪市、北九州市、新潟市、千葉市を特区に指定し、旅館業法の許可を受けることなく事業が開始できるようにしました。


また、民間企業も商機と捉え、参入が相次いでいます。たとえばJTBや住友林業が民泊仲介サービスを手掛ける百戦錬磨(ひゃくせんれんま)と業務提携したり、楽天とLIFULL(旧ネクスト)が両社のシナジー効果を活用した民泊プラットフォームサービスの提供を開始。みずほ銀行は米国の民泊仲介大手Airbnb(エアビーアンドビー)と提携し、宿泊施設オーナーや周辺サービスを開始する事業者への投融資を展望しています。


しかし、またしても課題がありました。旅館業法の許可を得ず、無許可で営業する「違法民泊」が横行し始めたのです。厚生労働省が2016年に実施した民泊の全国実態調査によると、民泊仲介サイトから抽出した1万5127件のうち、物件の特定が不可あるいは調査中の7998件を除いた7129件中、4624件が無許可営業でした。確認できた7129件を分母とすると、6割超の物件が「ヤミ民泊」という計算になります。これではトラブルが絶えるはずはありません。早急な法制化が待望視されました。

適切な規制のもとで民泊サービスと観光産業の発展に寄与するのが狙い

(写真:アフロ)


そこで、民泊サービスの適正化と健全な民泊市場の発展に寄与するよう、2017年に「住宅宿泊事業法」が成立し、いよいよ本年(2018年)6月15日に全面施行されます。本法の概要は次の通りです。 


  • 住宅宿泊事業を行おうとする者は、事業を行おうとする住宅ごとに都道府県知事へ届け出なければならない。
  • 住宅宿泊事業者は各住宅において、「住宅宿泊事業の適正な遂行のための措置」(文末参照)を講じなければならない。
  • 住宅に住宅宿泊事業者(=家主)が居住していない「家主不在型」の場合には、上記措置を住宅宿泊管理業者に委託しなければならない。
  • 住宅宿泊事業として住宅に人を宿泊させられる日数は年間180日を超えてはならない。
  • 都道府県知事は住宅宿泊事業の適正な運営を確保するため必要があると認められるときは、住宅宿泊事業者にかかる監督(業務改善命令、業務停止命令、業務廃止命令、報告徴収、立入検査)を実施することができる。
  • 住宅宿泊管理業を営もうとする者は、国土交通大臣の登録を受けなければならない。
  • 住宅宿泊仲介業を営もうとする者は、観光庁長官の登録を受けなければならない。


民泊サービスは観光産業の発展を通じ、広く日本経済の活性化につながります。また、異文化交流の機会を提供する場としての機能も有しており、わが国の国際化にも一役買うと期待されています。


そのため、違法民泊の排除はもとより、公衆衛生の確保や住民トラブル防止に資することで、国内外からの観光客の宿泊需要に的確に対応し、これらの者の来訪や滞在を促進します。必ずしも規制一辺倒ではなく、適切な規制のもとで民泊サービスが提供され、もって健全な民泊市場の構築ならびに観光産業の発展に寄与するのが本法の目的です。

分譲マンションは管理規約で民泊の可否を明確化すべし

(写真:アフロ)


これにより、本年6月以降、同法の手順を踏めば分譲マンション内でも合法的に民泊事業が行えるようになります。旅館業法の許可は必要ありません。禁止を望むマンション管理組合は早急な対策を打たなければなりません。 


では、具体的に何をすればいいのでしょうか?――


上述したように、住宅宿泊事業を行おうとする者は事業を行おうとする住宅ごとに都道府県知事への届け出が義務付けられます。届け出の際、都道府県知事は「管理規約などで民泊が禁止されていない旨」を確認します。さらに、それを裏付ける添付書類として「専有部分の用途に関する管理規約の写し」の提出を求めてきます。管理規約に「区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業に使用することができる」と明記されているのを確認するためです。


なお、管理規約に民泊を営むことについての定めがない場合は、管理組合が住宅宿泊事業を禁止する意思のないことを確認できる証明書類の提出が求められます。証明書類の例として、ガイドラインには「総会や理事会で住宅宿泊事業を営むことを禁止する方針が決議されていない旨を確認した誓約書」または「総会および理事会の議事録」が挙げられています。管理組合に民泊反対の意思がないことを再三にわたって確認しようというのです。


このことから分かるように、管理組合が民泊を完全許容して初めてマンション内で営業が可能になります。裏を返せば、管理規約で民泊禁止を規定すれば営業はできません。つまり、管理規約を改正し、管理規約上、禁止の方針を明確化しておくことが最大の防衛策となります。 

民泊対策はスピード感を持ち、公平な視点で判断するのが重要!

そこで、管理規約を改正することになるわけですが、改正には総会決議による4分の3以上の賛成が必要です。反対がゼロということはないでしょう。熟議を重ね、まずは民泊を許容するのか否か納得いくまで話し合ってください。


そして、民泊を禁止する場合は、禁止の意見集約(4分の3以上の賛成)ができた段階で管理規約の改正作業に入ります。住宅宿泊事業法の成立に伴い、2017年8月に「マンション標準管理規約」が改正され、民泊を禁止する場合の条文が追加されました。下記の改正例を参考に、管理規約を改正してください。 


【民泊を禁止する場合の改正例】(マンション標準管理規約 第12条)

  • 区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。
  • 区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法の届け出を行って営む住宅宿泊事業に使用してはならない。


なお、6月15日の全面施行に先立ち、3月15日から届け出の受付が開始されています。管理規約の改正が間に合わない場合は、理事会あるいは総会で民泊を禁止とする方針だけでも決議しておいてください。決議内容を記した議事録があるだけでも、一定の対抗要件になります。


個人的には1つ同じ屋根の下で、民泊事業者と共存できれば理想と考えますが、トラブルなどのリスクを考えると禁止の方向へ動かざるを得ません。事実、マンション管理業協会の調査によると、回答した管理組合の80.5%が民泊禁止の決議をしており、容認派はわずか0.3%でした。8割超の分譲マンションが排除の方針を打ち出しています。共存への道は簡単ではなさそうです。


ただ、分譲マンションは区分所有者全員の共有財産です。居住者間で「利益」「不利益」があってはなりません。管理組合は公平・中立な視点で民泊と向き合う必要があります。一方に肩入れすることなく、冷静な判断のもと民泊対策に取り組んでほしいと思います。


【補足】住宅宿泊事業の適正な遂行のための措置とは?

  1. 宿泊者の衛生確保の措置
  2. 避難機器設置などの安全確保の措置
  3. 外国語による施設利用方法の説明
  4. 宿泊者名簿の備付け
  5. 騒音防止など、必要事項の宿泊者への説明
  6. 苦情などの処理
  7. 契約の仲介を委託する場合、登録を受けた旅行業者または住宅宿泊仲介業者へ委託
  8. 標識の掲示
  9. 年間提供日数の定期報告


最終更新日:2018年08月30日

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