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不動産投資での儲け話が一転、借金地獄に――売主が経営破綻して...

2018年06月26日

平賀功一

不動産投資での儲け話が一転、借金地獄に――売主が経営破綻してもローンは残る

平賀功一の最旬コラムNo.132

不動産投資での儲け話が一転、借金地獄に――売主が経営破綻してもローンは残る

(写真:アフロ)

融資審査の甘さとリスクの説明不足がサブプライムローン問題の元凶

女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」などの販売・管理を手掛けるスマートデイズが今春、経営破綻しました。東京商工リサーチによると負債総額は約60億3523億円です。


同社は経営再建を目指し、今年4月に東京地方裁判所へ民事再生法の適用を申請しました。しかし、不動産オーナーを中心に不透明な資金の流れを指摘する声があるなか、再生計画の作成メドが立たないといった理由により、民事再生の申し立てが棄却され、現在、破産手続き(会社の清算)に入っています。


折しも、今秋で2008年9月に勃発したリーマンショックから10年になります。その当時、米国では住宅バブルの勢いに乗り、非常に甘い審査で、しかも返済途中に借入金利が上昇するリスクも事前に十分説明しないまま、低所得者を中心に住宅ローンが貸し付けられていきました。その結果、借入金利の上昇と住宅価格の下落を契機に、返済に窮するローン利用者が急増し始めたのでした。これがサブプライムローン問題です。


サブプライム(低所得者)向けのローン債権で裏付けされた証券化商品を保有していたファンドや金融機関は、サブプライムローン問題を主因とする金融商品価値の急落によって、経営状態が一気に悪化していきました。その当時、米証券大手第4位だったリーマン・ブラザーズも例外ではなく、保有資産が急激に劣化して業績の改善見通しが立てられなくなったことで経営破綻に追い込まれました。未曾有の世界同時不況(リーマンショック)が現実のものとなった瞬間でした。


(写真:アフロ)

確信犯はスルガ銀行(?)「売り主責任」以上に問われる「貸し手責任」

それから10年。またしても不誠実な融資スキームが金融秩序を歪めようとしています。


スマートデイズが手掛けたシェアハウスのオーナーの大半がスルガ銀行から融資を受けていました。その同行へ今年3月、金融庁が立ち入り検査に入りました。シェアハウスの建設資金融資をめぐり、審査体制に不正の疑いが浮上したからです。東京商工リサーチも、スマートデイズ破綻の理由を「需給バランスが崩れて入居率が低下したことに加え、オーナーへ多く融資していたスルガ銀行の融資姿勢が昨秋頃から硬化したため、販売が大幅に落ち込み資金繰りが悪化した」と分析しています。


スマートデイズは長期の家賃保証を条件としたサブリース事業を売りにオーナーを勧誘。毎月の家賃収入がローンの返済原資となるため、多額の自己資金がなくても無理なくシェアハウスのオーナーになれると謳い、投資家を集めてきました。


ところが入居率は伸び悩み、十分な入居者を集められませんでした。そして、今年1月にはオーナーへの賃料の支払いを一方的に止めたことでトラブルが表面化。マスコミで報じられるようになったのも、この頃からです。その後、すぐに被害弁護団が結成され、徐々に真相が明らかになってきました。4月19日の弁護団による声明には、次のように書かれています(全文は文末のリンク参照)。


(前略)スルガ銀行によるサブリース事業への融資に重大な違法があることが明らかになりました。


 第1に、被害者が不動産販売会社などに提出した銀行融資のための預金通帳・口座の取引記録・源泉徴収票などの資料のコピーが、ほとんどの事例で偽造されていた事実がスルガ銀行および販売会社が開示した被害者名義の通帳などのコピーなどから明らかになりました。しかも、そのことにスルガ銀行の役員および同行横浜東口支店の支店長や担当職員が関与していたとしか考えられない事情が解明されつつあります。


 第2に、ほとんどの被害者がサブリース物件の土地購入や建築資金に必要のない年率7.5%前後のフリースタイルローンを組むこと、フリースタイルローンの一部およびサブリース賃料収入が入金されたら毎月一定額の定期積立をすることを融資条件とされ、実質的に不当に高利の借入をさせられています。(以下、省略)


第1の声明に関しては、5月15日に開催されたスルガ銀行の記者会見で、同行の米山社長は記者からの「改ざんや二重契約を把握したのはいつ頃か」との質問に対し、「改ざん把握の時期は難しい。アンケートで相当数の社員が認識していたのは判明したが、今後いつ頃からどういう原因で起こったかを調べたい」と答弁しています。暗に改ざんの事実を認めているのです。


(写真:アフロ)


一義的には長期家賃保証の実現可能性に確固たる裏付けがないにもかかわらず、オーナーとサブリース契約を締結。入居率の伸び悩みが追い打ちを掛け、結局、保証家賃の支払いを完全にストップしたスマートデイズの「売り主責任」は逃れようがありません。


加えて、シェアハウスのオーナーにも投資家としての「自己責任」が問われます。ノーリスク・ハイリターンの投資などあり得ません。


ただ、それ以上に問題視されるのが金融機関による「貸し手責任」です。米山社長は騒動の一因について「営業幹部が審査担当に圧力をかけた」と説明しており、「増収増益が続き、今期も達成しなければというプレッシャーに変わった。リテール(個人取引)部門に力が入りすぎ、審査よりも営業が強くなってしまった」と釈明しています。同行の営業収益至上主義が招いた騒動との認識を示しました。 

売り主が破綻してもローン契約は有効 債権放棄には応じない方針を表明

にもかかわらず、「売り主が経営破綻しても、オーナーとの融資契約は有効と認識している」とし、スルガ銀行は債権放棄に応じない方針です。


米山社長は次のようにも弁明しています。「融資自体は不正だったと認めるのか」との質問に、「改ざんや不正な取り扱いによって融資が多く引き出されたということであって、我々が不正融資したわけではない」と説明しています。スルガ銀行が、あたかも被害者のような受け答えです。


振り返れば、阪神淡路大震災(1995年)の時も、姉歯・元一級建築士による耐震強度偽装事件(2005年)の時も債務免除されませんでした。住宅ローンの利用者はマイホームを失ったうえに、残りのローンを返し続けなければなりませんでした。


(ペイレスイメージズ/アフロ)


最も気の毒だったのが「Wローン」を強いられた人たちです。耐震強度偽装事件ではヒューザーが手がけた耐震強度2分の1未満の分譲マンション11件が建て替えられましたが、その中の1件、東京・世田谷区のマンションでは、国などの補助を受けても一世帯あたり新たに約2000万円のローン(建て替え費用)が上積みされました。その結果、約3800万円の住宅ローンを借り入れて購入した住民は、Wローンの結果、毎月の返済額が15万円から23万円余りに跳ね上がりました。


あえなくヒューザーは破綻してしまったため、被害者は売り主であるヒューザーに救済を求めることができませんでした。マンションの購入資金を融資した金融機関も債権放棄には応じませんでした。


このことから分かるように、どのような境遇に追いやられても「借りたものは返す」のが社会常識というわけです。住宅ローンにしろアパートローンにしろ、借りるには覚悟が必要です。一連の騒動から我々は何を学ぶべきなのか?―― 住宅ローン呪縛(借金地獄)に陥らないよう、予期せぬトラブルが発生する可能性を常に想定しておくべきです。


最終更新日:2018年06月26日

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