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台頭する景気減速懸念 住宅ローン金利の「先高観」はゼロ

2019年04月17日

平賀功一

台頭する景気減速懸念 住宅ローン金利の「先高観」はゼロ

平賀功一の最旬コラムNo.137

台頭する景気減速懸念 住宅ローン金利の「先高観」はゼロ

写真:アフロ

世界的に景気減速の可能性が疑われる

今日、日本経済が景気後退局面入りしたのではないか?―― こうした観測がにわかに広がりを見せています。


内閣府が3月に発表した今年1月の景気動向指数(速報値)は一致指数が97.9となり、2018年11月、同12月と3カ月連続で低下しました。また、景気に関する政府の公式見解を示す月例経済報告も3月は景気判断を下方修正しました。中国経済の減速を背景とした先行き不透明感の高まりを受けて、わが国の輸出は鈍化し、生産用機械や電子部品などの生産減が足を引っ張っています。


振り返れば年明け、2019年は高度経済成長期の「いざなぎ景気」(1965年11月~70年7月までの57カ月)を超え、戦後最長をうかがう景気拡大が見込まれていました。大手上場企業は約半数が過去最高益を更新すると予想されていました。それが一転、悪い経済指標が散見されるようになり、にわかに景気減速懸念が台頭し始めています。


世界を見渡すと、GDP(国内総生産)世界第2位の中国は2018年の経済成長率が6.6%となり、1990年以来28年ぶりの低水準を記録しました。エスカレートする米中貿易摩擦が中国経済を直撃です。他方、その敵対国である米国(GDP世界第1位)も“無傷”では済まされず、同国もGDP成長率見通しを下方修正。2019年は2.3%から2.1%へ、翌20年は2.0%から1.9%へとそれぞれ見通しを引き下げました。景気に対する下振れリスクが意識され始めているのです。さらに、ユーロ圏に目を向けると、英国のEU離脱(ブレグジット)の成否が域内最大の懸念材料となっています。

米国は追加利上げを封印 長期金利は大幅に低下する

写真:アフロ


このようにグローバル経済は変調の時期を迎えています。主要国が静観を決め込むことは許されません。そうしたなか、先んじて臨機応変に対応したのが米国でした。同国の金融当局は3月20日、景気に配慮して政策スタンスを大胆に見直しました。


振り返れば、リーマンショック(2008年9月)を契機とする未曽有の金融危機に対処すべく、当時、米国は政策金利をゼロ近傍まで引き下げました。中央銀行(金融当局)が通貨の量を増減させたり金利を上下させたりすることにより、物価や雇用を安定させ、経済の持続的発展を目指すのが金融政策の目的です。その後、労働市場やインフレ率に改善が見られるようになったため、2015年12月から政策スタンスを「金融引き締め(利上げ)」に転換し、2018年12月まで断続的に金利を引き上げてきました。市場との丁寧な対話を心掛けながら、果敢に理想の金融政策を模索してきました。


これにより所得は伸び、雇用も堅調さを取り戻した米国経済。今後、内需主導の景気拡大が続くとみられていた矢先、一転、暗雲が垂れ込めてきました。米中の通商交渉に対する不透明感は払拭できず、金融当局は利上げスピードを鈍化せざるを得なくなりました。当初、2回としていた2019年の想定利上げ回数を0回(利上げ停止)へと軌道修正したのです。景気の下振れリスクが高まるなか、早くも市場には利下げ観測まで浮かんでいます。呼応するように、米国の長期金利は大きく下がりました(図表1)。


当分の間、現在の極めて低い長短金利の水準を維持する/日本銀行

「アメリカがくしゃみをすると、日本が風邪をひく」―― この言葉を体現するかのように、つられる格好で日本の長期金利も低下しました(図表2)。前述した景気減速懸念を債券市場が織り込み始めている証左と解されます。フラット35の3月の融資金利(融資率9割以下の最頻出金利)は1.27%となり、すでに4カ月連続で下落しています。


金融の番人と称される日本銀行は、3月に開催された金融政策を決める会合で「わが国の景気は輸出・生産面に海外経済の減速の影響が見られるものの、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している」と総括判断しています。また、先行きについても「当面、海外経済の減速の影響を受けるものの、緩やかな拡大を続けるとみられる」と楽観的です(文末のリンク参照)。


しかし、会合では金融政策を変更せず、現状を維持しました。政策金利については「10月に予定されている消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、現在の極めて低い長短金利の水準を維持することを想定している」と明言しています。


それも、そのはずです。日銀は物価安定目標2%を掲げ、その実現のために年間およそ80兆円の国債を買い続けています。2016年1月にはマイナス金利政策を導入するなど、直接的に長期金利に働きかけ、金利低下を促そうとしています。要は、中央銀行が長短金利を政策的にコントロールしているわけです。


まさに、“ここ”に住宅ローン金利が低位安定している理由がありました。日銀は消費者物価を2019年はプラス1.1%、翌20年はプラス1.5%(2019年1月時点)と予想しており、足もと、目標のプラス2%は達成できそうにありません。従って、2021年以降も異次元緩和を継続することになりそうです。利上げどころか、むしろ利下げ(追加の異次元緩和)のほうが現実的なのです。

住宅ローンの「借り時」はしばらく続く

写真:アフロ


以上より、長短金利に先高観はなく、当面、住宅ローン金利も低位を継続するでしょう。今後も住宅ローンの「借り時」は続くと個人的には予想しています。


現在、日銀は以下のような調節方針により、短期と長期の両方の市場金利をコントロールしています。ご存じ、短期金利は住宅ローンの変動金利に影響し、長期金利は同じく固定金利に影響を与えます。 


《日本銀行の金融市場調節方針》

<短期金利>

日銀の当座預金のうち、政策金利残高にマイナス0.1%のマイナス金利を適用する。


<長期金利>

10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、長期国債の買い入れを行う。その際、金利は経済・物価情勢などに応じて上下にある程度、変動するものとし、買い入れ額については年間およそ80兆円をメドとしつつ、弾力的な買い入れを実施する。


短期金利については「マイナス金利政策」の導入により、短期の政策金利はマイナス0.1%になっています。短期市場ではマイナス金利での取引が成立するようになっており、3月20日の短期金利(平均値)はマイナス0.059%でした。極めて低い水準まで低下しており、住宅ローンの変動金利に上昇余地はなさそうです。


同様に、長期金利についても利上げ余地は限定的です。条件を消費者物価の実績にひも付け、より強い金融緩和効果を追求しているからです。日銀は弾力的な長期国債の買い入れを通じて、長期金利を引き下げます。長期金利の水準がゼロ%程度になるようオペレーション(調節)しているのです。


今後、景気の減速が鮮明になれば、10月に予定されている消費税率の引き上げが再々延期される可能性があります。さらに一部からは、今夏の参議院選挙と同日に衆議院選挙も実施しようという“衆参同日選挙”の可能性までささやかれています。政治リスクも無視できません。


こうした不確実性が現実味を帯びるにつれ、日銀には追加の金融緩和が求められます。長短金利に、さらなる下押し圧力が加わるのです。住宅ローン金利にも波及し、先安観を演出します。低利融資の好機は、まだまだ続くでしょう。借り急ぐ必要は、まったくありません。 


参考サイト

最終更新日:2019年04月17日

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