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自分が払ったマンション管理費や修繕積立金はどう管理されている...

2019年10月01日

平賀功一

自分が払ったマンション管理費や修繕積立金はどう管理されている?

マンション管理の実務ノウハウ#4

自分が払ったマンション管理費や修繕積立金はどう管理されている?

写真:アフロ

分譲マンションでは億単位の巨額マネーが動く

マンション管理新聞社が2018年7月~12月に首都圏で新規分譲された民間マンションを対象に調査した管理費と修繕積立金の1平方メートル当たりの平均額は227円と109円でした。不動産経済研究所の「首都圏のマンション市場動向(2019年7月度)」によると、1戸当たりの平均専有面積は66.01平方メートルですので、首都圏新築マンションの新築時の管理費と修繕積立金(以下、管理費等)の平均月額は次のようになります。


【首都圏新築マンションの管理費と修繕積立金(平均月額)】

  • 管理費:1万4984円(227円×66.01平方メートル)
  • 修繕積立金:7195円(109円×66.01平方メートル)
  • 合計:2万2179円


このデータをもとに管理組合が1年間に受け取る収入額を試算してみました。たとえば総戸数100戸の分譲マンションだと、1カ月あたり2万2179円×100戸=221万7900円。この金額を12倍すると1年間で2661万4800円(221万7900円×12カ月)が収入として管理組合に入金されます。これが総戸数500戸だと年間1億3307万4000円、総戸数が1000戸になると1年間で2億6614万8000円もの巨額マネーが動きます。


管理組合の収入は、これだけではありません。駐車場や駐輪場の使用料、積立金の運用による配当金や分配金、さらに大規模マンションではプールやゲストルームといった共用施設の利用料も立派な収入です。


この収入はすべて管理組合の運転資金となります。こうしたお金を勘定科目ごとに仕訳けし、出入金に応じて記録しておかないと資金の収支が分からなくなります。上段で管理費等の収入額を試算しましたが、その額はわずか1年間の金額です。築年数が経過すれば、口座には多額の組合預金がたまります。ずさんな管理をしていると、管理費等が横領・着服される恐れがあるのです。いい加減な会計処理をしていると、修繕積立金が足りない事態が起こり得ます。これでは大規模修繕工事が予定通りに実施できません。適正な会計管理なくして、良好なマンション生活は維持できません。 

マンション会計報告で資金の使途や収支が分かる

写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート


とはいえ、いきなりマンション会計と言われても大多数の人はピンと来ないでしょう。無理もありません。普段、日常生活で使う「会計」とは意味が違います。飲み会で“お勘定”を意味する「お会計」とはニュアンスが大きく異なります。


通常、会計というと企業会計がイメージされるのではないでしょうか。「2018年度決算は増収増益」とか「自己資本がマイナスとなり、債務超過の状態」というように、企業の経営成績や財政状態を数値化して評価・報告する作業が企業会計です。


これに対し、マンションの管理組合は営利を目的とした団体ではありません。税制上は公益法人とみなされるため、その会計処理は公益法人会計を準用します。マンション会計とは、管理組合が有する金融資産の収支状況を区分所有者に説明すべく、一定のルールに従って集計・記録したマンションの経済状態を評価するための経理処理をいいます。会計報告を通じ、全区分所有者は管理組合資金の使途や収支を把握できるのです。 

管理費と修繕積立金は分けて管理

そのマンション会計には2つの特有原則があります。(1)区分経理の原則と(2)予算準拠の原則です。


平成30年度マンション総合調査(国土交通省)によると、管理費等を3カ月以上滞納している住戸があるマンションの割合は24.8%でした。およそ4棟に1棟のマンションで滞納が発生している計算です。もし、管理組合が滞納分を毎月、積み立てている修繕積立金の残額を一部流用して穴埋めしたら、その分、積立金の残額は減少します。こうした補てんを繰り返していたら計画通りに残額が増えません。長期修繕計画で予定されている大規模修繕工事の実施が不安定になります。由々しき事態と言えるでしょう。


そこで、いかなる場合も相互振り替えせず、常に別勘定にて会計処理を行おうというのが区分経理の原則です。ご存じ、管理費は日常管理に要する費用に充当される金銭、修繕積立金は計画修繕の費用に充当される金銭です。両者は金銭の性格がまったく違います。使用目的が異なります。管理費は管理費勘定で仕訳し、修繕積立金は修繕積立金勘定で仕訳しなければなりません。


こうした区分経理の原則を周知すべく、管理費等の出納方法には工夫が凝らされています(図表1)。


管理費・修繕積立金どちらも区分所有者の口座から一括で引き落とされ、まずは「(a)収納口座」に入金されます。その後、管理費・修繕積立金いずれも「(b)管理費用の保管口座」に一旦、移し替えられ、管理費は管理事務に要する費用(光熱費や管理会社への委託業務費など)を差し引いた後、そのまま残額は「(b)保管口座」に残されます。一方、修繕積立金は全額、「(c)修繕積立金用の保管口座」に移し替えられます。こうして目的別会計の徹底が図られます。 


【図表1】管理費と修繕積立金の収納・保管方法(出納の流れ)


第1段階:各区分所有者の指定口座から管理費と修繕積立金を一括で引き落とし

管理組合は集金代行業者に依頼して、各区分所有者が指定した預金口座から管理費と修繕積立金を一括で引き落とします。

    ↓

第2段階:まずは「(a)収納口座」に入金

通常、管理費等の引落口座は区分所有者の給与口座になります。そのため、管理組合が管理費等の引落口座を一方的に指定しまうと、区分所有者は毎月、給与口座から指定の口座に振り替えなければなりません。こうした手間を区分所有者に掛けないよう、収納専用の口座を用意しています。 

    ↓

第3段階:管理費を「(b)管理費用の保管口座」に移し替え

管理費は日常管理に要する費用に充当される金銭です。そこで、この(b)保管口座で管理事務に要する費用を控除します。控除後の残金は少額になりますが、このまま管理費は(b)保管口座で管理します。

    ↓

第4段階:修繕積立金を「(c)修繕積立金用の保管口座」に移し替え

修繕積立金は計画修繕の費用に充当される金銭です。将来に必要な資金となります。そこで、管理費不足の補てんに流用されないよう、修繕積立金専用の口座を用意して大事に長期保管します。

管理組合は限られた予算で最大の効果を上げなければならない

写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート


続いて、2つ目の予算準拠の原則に話を進めましょう。管理組合は企業と異なり利益を追求しない非営利団体です。管理組合の性格は公益法人や官公庁のそれに近いため、決められた予算内でいかに効率よく目的を達成するかが至上命題となります。


突然ですが読者の皆さん、ご自宅の家計を思い出してください。一部では副業が解禁されたとはいえ、毎月、入って来る収入は限られます。その決まった金額の中で、いかに上手に家計をやり繰りしようか考えた際、どんぶり勘定では月末に収支が赤字(預貯金の取り崩し)となる恐れがあります。そうならないよう、月初に「今月使えるのは、〇〇円まで」と予算決めし、その範囲内で効率的に消費しようと考えるはずです。


管理組合の運営もまったく同じです。無用な支出を避け、限られた収入で最大の効果を上げる必要があるのです。予算が非常に重要な役割を果たすのです。支出上限(予算)が明確に定まっていれば、実績と対比しながら無駄のない支出管理が可能になります。これが予算準拠の原則です。収支の差額を絶えず意識することで、計画的な金銭管理の実現を目指します。 

「決算」で、1年間の組合資金の収支結果が分かる

写真:アフロ


最後、マンション会計の決算について触れておきます。会計業務において予算と決算は不可分の関係にあります。


予算準拠の原則に基づき、収支管理してきた管理組合資金を貸借対照表(財政状態を表す計算書)などに投影させ、その結果を報告・評価する作業が決算です。会計年度(通常4月~翌年3月末までの1年間)における収入と支出の状況がどうであったのか、その結果を区分所有者に報告することで、当該年度の収支状況の良否が判断できます。管理組合会計が健全な会計であるためには、予算と決算の差異が少ないほど良いとされています。そのため、次年度の予算案作成にも決算結果は重要な意味を持ちます。今年度の決算結果が来年度の予算案の立案に役立つのです。


決算時の主な報告事項を例示すると、次のようになります。 


  • 貸借対照表で管理組合の財政状態(預貯金残高や借金・剰余金・未収金などの金額)を報告
  • 管理費の収支報告書にて、会計年度の収入と支出の内訳を報告
  • 修繕積立金の収支報告書にて、同じく会計年度の収入と支出の内訳を報告する。同時に、積立金の残高も伝える。


普段、区分所有者がマンション会計を意識する機会は少ないでしょう。会計の知識がなくても日常生活には影響しません。年1回の報告会(総会)で説明を聞く程度で、特段、困ることはありません。しかし、役員になると一定の知識が求められます。会計担当理事や監事になれば、必要に迫られ勉強せざるを得ません。


ただ、“仕方なく”勉強するというのは寂しい限りです。多くの居住者が終の棲家と思っているマンションで、お金の流れを知らないのは由々しき事態です。せめて自分が毎月支払う管理費や修繕積立金がどのように会計処理されているのか、知っておいてほしいものです。第一歩は関心を持つことです。突然、管理会社から管理費等の値上げを通告されないためにも、その適正額や過不足額を知ることから始めてください。 


最終更新日:2019年10月01日

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