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頻発する自然災害 管理組合はマンション保険で危機に備えよ!

2019年10月25日

平賀功一

頻発する自然災害 管理組合はマンション保険で危機に備えよ!

マンション管理の実務ノウハウ#6

頻発する自然災害 管理組合はマンション保険で危機に備えよ!

写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート

リスク実態に応じた保険料体系を取り入れたマンション保険が登場

世界に類を見ないほど地震が多発している、わが国日本。そのため、頻発する自然災害によって多くの被害が報告されています。そうしたなか、損害保険会社にも弊害が及んでいる実態が明らかになりました。日本損害保険協会によると、1995年1月の阪神淡路大震災では約783億円、2011年3月の東日本大震災では約1兆2833億円の地震保険金がそれぞれ支払われました。また、2016年4月の熊本地震では約3772億円、2018年9月の北海道地震では約338億円の保険金が支払われています(文末のリンク参照)。


自然災害は地震だけではありません。大型台風などによる風水害も深刻です。今年10月、東日本を中心に甚大な被害をもたらした台風19号では59河川が決壊し、10月24日現在、住宅被害は全壊・半壊・一部損壊が合計6401棟、床上・床下浸水は同6万2136棟(消防庁)に達しています。武蔵小杉(川崎市中原区)では、一部のタワーマンションが停電や断水に見舞われています。地震や火災には万全を期す高層マンションが、水害には弱かったことを露呈しました。


日本損害保険協会によると、こうした風水害によって2018年度は保険金支払額(風水害)が過去最高の1兆5694億円に達しました。その結果、損保各社の保険収支は悪化してしまい、収支の改善に結びつけようと、今年(2019年)10月から火災保険料が値上げされています。


しかし、保険料の値上げは契約者離れを意味します。収支の悪化を価格転嫁で穴埋めするのは、決して簡単な話ではありません。そんななか、メリハリを付け、リスク実態に応じた保険料体系を取り入れたマンション保険が登場しました。この保険はマンション毎の事故の発生件数に応じて保険料を調整するという商品です。保険料の算定に当たっては、計算期間内に発生した事故件数を事前申告し、この事故件数が少ないほど保険料の割引率が高まる仕組みです。よって、新築マンションは契約できず、「築2年6カ月以上」「総戸数20戸以上」などの加入条件を満たさなければなりません。事故件数が0件(無事故)の場合、最大57%が割引されます。


また、別のマンション保険では建物の管理状況に応じて保険料を割引する制度を導入しています。(1)長期修繕計画を作成しており、計画通り修繕が実施(または予定)されている、(2)共用部分に監視カメラが設置されている、(3)オートロックマンションである。または管理人が24時間常駐している、(4)1室あたりの事故件数が一定条件以下である ―― この(1)~(4)すべてを満たした管理組合には割引が適用されます。これまでにはなかった発想(着眼点)といえます。限られた予算での運営を強いられるマンション管理組合にとって、保険料負担の少ない商品は組合運営費の削減に直結するのです。 

管理組合が付保する保険は主に4種類 損害賠償責任にも対応する

写真:アフロ


ここで、突然ですが質問です。分譲マンションにお住いの読者のみなさんは、ご自身の管理組合がどのような保険に加入しているかご存じでしょうか。無論、自宅(専有部分)の付保状況は知っていても、共用部分や付属施設の状況までは知らないかもしれません。


そもそも、管理組合向けの保険にはどういった種類や特徴があるのか、その概要は把握できていますか。分譲マンションは壁、天井、床を境界として高密度に集積された住宅です。ひとたび事故や災害で建物に損害が生じると、原状回復には多額の費用がかかります。つまり、マンション保険との“上手な付き合い方”が求められるのです。下表に管理組合向けの代表的な損害保険をまとめてみました。商品ラインナップの把握が自身の生命と財産を守る危機管理の第一歩となります。 


【図表】代表的な管理組合向け保険とその補償内容


基本の基本として、まずは付保の分担について確認です。専有部分は区分所有者が各自の負担と責任において独自に付保し、共用部分は管理組合が契約当事者となり一括して付保します。前者は当人による任意加入なのに対し、後者は新規契約、更新、中途解約いずれも総会決議を経なければなりません。契約(補償)内容は区分所有者に直接の影響を及ぼすため、最高意思決定機関(=総会)での最終判断が求められます。また、保険料は管理費から支出され、保険金の請求および受領については理事長が区分所有者を代理するのが一般的です。組合資金は予算も使途も厳格に規定されているため、その使い道には区分所有者の納得と賛同が求められます。


こうして選択眼にさらされ、スタンダードとなったのが上記4種類の保険です。管理組合向け保険の代表格となるマンション総合保険は、偶発的な事故による被害をひと通り補償します。ただ、台風や暴風雨による洪水、土砂崩れや落石による損害を補償する「水災」がオプションになっているケースが散見されるようになりました。


近年、「ゲリラ豪雨」や「線状降水帯」が流行語大賞にノミネートされるほど、各地で記録的な集中豪雨が頻発しています。中高層マンションの場合、中層~高層階の住戸が浸水する心配はないでしょう。しかし、マンションでは電気や水道の機械室が1階や地階にあって、洪水が発生すると機能を停止し、ライフラインは供給ストップしてしまいます。当然、その修復や交換には多額の費用と時間が掛かります。決して自分の住戸が安全であればいいという話ではないのです。水害リスクを軽視すると、痛い目に遭う恐れがあるのです。 

誤って植木鉢を落とし、通行人にケガをさせても加害者は保険で救済される

写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート


管理組合向け保険は、特約で対物だけではなく対人被害も補償します。たとえば、7階のマンション居住者がバルコニーから誤って植木鉢を落とし、1階の通行人(非居住者)にケガをさせたとします。この場合、当事者は「7階のマンション居住者」と「ケガした通行人」です。よって、法律上、居住者が損害賠償請求されても管理組合は無関係です。あくまで当事者間で解決の道を探るのが本筋です。


ところが、特約で管理組合が個人賠償責任保険に加入していると話は変わります。この保険は居住者が日常生活に起因する事故により、マンションとは直接関係ない第三者に人的被害を与えた場合にも損害賠償を補償します。


もし、うっかり植木鉢を落としてしまった7階の居住者が年金生活者だったら、高額な損害賠償請求に応じられない(支払えない)可能性があります。この場合、最も気の毒なのは通行人(被害者)ですが、解決の糸口が見えずトラブルが長引くことは管理組合としても望みません。1つ同じ屋根の下で共同生活するマンション居住者が困っているのを見過ごすわけにはいかないのです。やや大げさですが、運命共同体としての“助け合い精神”が個人賠償責任保険への加入を促します。加害者に悪意がない以上、保険でトラブルが解決できれば管理組合としても助かります。


繰り返しになりますが、分譲マンションは壁、天井、床を境界として高密度に集積された住宅です。ひとたび事故や災害で建物に損害が生じると、原状回復には多額の費用がかかります。その金銭的な下支えとして、マンション保険が有効に機能するのは言うまでもありません。適正な保険金額(補償額)を設定し、過剰な保険料を支払わないようにしつつ、必要な保険を適宜、取り入れることで万が一への備えは完成度を高めます。 


参考サイト

最終更新日:2019年10月25日

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