ページトップへ

Yahoo!不動産おうちマガジン は家探しのヒントが満載の情報サイトです!

>
>
マンション管理の知識&意識レベルが確認できるチェックポイント...

2020年01月09日

平賀功一

マンション管理の知識&意識レベルが確認できるチェックポイント厳選35問

マンション管理の実務ノウハウ#9

マンション管理の知識&意識レベルが確認できるチェックポイント厳選35問

写真:アフロ

住み心地を良くするのも悪くするのも「マンション管理」次第 求められる当事者意識

災害対策としての難燃性の追及と、市街地を念頭とした土地の高度利用を目的として誕生した分譲マンション。それから半世紀余り、今では主要な居住形態として定着し、私有財産であると同時に社会資本(公共インフラ)としての性格も併せ持つようになりました。分譲マンションは地域コミュニティーを構成する共同体としての役割も担うようになったのです。


しかし、他方では襲来する「建物の老朽化」と「居住者の高齢化」という“2つの老い”に直面し、管理組合の機能不全が取り沙汰されるようになりました。分譲マンションは1つの建物が多くの人々によって区分所有されるため、どうしても全体としての合意形成が難しく、居住者の多様な価値観を意思統一するのは容易ではありません。加えて「専有部分」「共用部分」「専用使用権」「敷地利用権」といった権利関係が混在するため利用形態は複雑となり、構造上の技術的判断に専門知識が欠かせなくなっています。マンション管理を取り巻く環境は前途多難・課題山積となっているのです。


だからこそ「マンションは管理を買え!」との格言を思い出してほしいのです。管理の質がマンションの資産価値を左右するのは言うまでもありません。「面倒くさい」「あまり関心がない」「仕事が忙しい」「何をしたらいいのか分からない」等々、言い訳している暇はないのです。自分が先頭に立って管理組合を動かすのだという主体的かつ能動的な姿勢が不可欠となります。毎月、管理費を支払っているのだから管理会社に任せればいいといった他力本願的な発想は歓迎できません。当事者意識が最重要となるのです。


以下、マンション管理の実務ノウハウがどの程度、身に付いているか、チェックポイントをまとめてみました。このリストを通じてマンション管理への関心度合い(意識レベル)を確認してください。加えて、マンション知識の習熟度はどうか、その高低の判断にもお役立てください。 


写真:アフロ



【管理組合との関わり方】 

(1)マンション管理は「すべて管理会社が代行してくれる」と勘違いしていないか

(2)管理組合の役員の順番が回ってきたら、快く引き受けるか

(3)毎月支払っている管理費と修繕積立金それぞれの金額を正確に言えるか

(4)定期総会には毎年必ず出席しているか

(5)理事長をはじめ各役員とも交流があり、顔と名前を覚えているか


この設問ではマンション管理に対する関心度を見ています。前段で触れた当事者意識が高いのか低いのかを判定します。自己中心的な生活態度はコミュニティー崩壊に直結します。組合運営を管理会社がすべて代行できるはずがありません。「無知」「無関心」「他人事」という区分所有者“失格”の烙印を押されないよう、「マンション管理に積極的に関わる姿勢」=「高い意識レベル」を常に目指してください。


【管理組合の仕組み・運営方法】

(6)管理組合への加入は任意であり、自分で自由に決められると思っていないか

(7)「管理組合」と「自治会」を同じ団体だと誤解していないか

(8)「総会」と「理事会」それぞれの位置付け・役割を正しく理解しているか

(9)業務監査と会計監査を担う監事は中立性・独立性を担保すべく、理事会とは構成を異にした組織になっているか

(10)総会や理事会を開催した際、議事録を毎回作成し、かつ適正に保管しているか

(11)総会を開催するに当たり、開催の2週間前までに議案を記載した招集通知を発送しているか


まず、管理組合への加入についてですが、区分所有者本人に選択の余地はありません。管理組合は新築分譲マンションの契約者(区分所有者)が2人以上誕生した時点で、法律上、当然に成立します。そして、区分所有関係が生じた段階で区分所有者は必然的に管理組合員になります。


また、管理組合と自治会を混同してはいけません。両者は似て非なる団体です。管理組合が住み心地を追求し、共有財産の資産価値向上をミッションとするのに対し、自治会は周辺住民の親睦を図り、地域生活の向上を目指すのが目的です。自治体は明確な団体要件を備えない任意団体に他なりません。当然、加入への強制力はありません。


さらに、設問(11)で取り上げた招集通知の発送時期については、実は「区分所有法」と「マンション標準管理規約」で日数が異なります。前者が「会日より少なくとも1週間前」なのに対し、後者は「少なくとも会議を開く日の2週間前まで」となっています。区分所有法ではただし書きとして「この期間は管理規約で伸縮することができる」となっているため、余裕をもって「2週間前まで」とするのが一般的なのです。管理組合を適正に運営するには、こうした知識も必要となります。 


【分譲マンションの権利関係】

(12)権利形態が賃貸マンションは「所有権」、分譲マンションは「区分所有権」――この違いが理解できているか

(13)玄関の扉が「専有部分」「共用部分」どちらに該当するか、正確に管理規約に明示されているか

(14)バルコニーに緊急避難時、妨げとなるような大きな物置や観葉植物の鉢植えなどを置いていないか

(15)専有部分と敷地利用権を別々に売却(分離処分)する行為は禁止されているか

(16)専有部分のリフォームに管理規約や使用細則で一定の工事制限(禁止事項)がなされているか


やや専門的な話になりますが、同じ共同住宅でも賃貸か分譲かで所有形態が異なります。所有者がオーナー1人の賃貸マンションは「所有権」となり、複数の所有者が共同生活する分譲マンションは「区分所有権」になります。1つの建物に複数の所有権を成立させるための権利形態が「区分所有権」なのです。この権利のおかげで1部屋単位(専有部分)での売買や賃貸・相続が可能になりました。


しかし、「専有部分」(単独所有部分)という利用形態が誕生したことで、同時に共同所有部分となる「共用部分」も誕生しました。両者の区分け(線引き)は実に複雑です。 


写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート



設問(13)の玄関扉は「鍵および内部塗装部分を専有部分とする」と定められており、専有部分と共用部分が表裏一体となって混在する複雑怪奇な区分けとなっています。形式上、各管理組合が独自に設定して構わないのですが、マンション標準管理規約で例示している関係から、多くのマンションが同じように線引きしています。そのため、「玄関扉は鍵および内部塗装部分を専有部分」とする区分けが定着(デファクト・スタンダード化)するようになりました。“全員、右向け右”という大号令に従った結果です。


では、バルコニーはどちらに区分けされるかというと、共用部分に該当します。外部に向けて開放されており、構造上の独立性はありません。所有権の登記もできません。物置などをバルコニーに置く行為は慎まなければならないのです。


設問(15)の専有部分と敷地利用権の分離処分の禁止については大多数の人が知らないと思います。日本では土地と建物がそれぞれ別個の独立した不動産として取り扱われ、法制度上、土地だけを売買したり賃貸借したりが可能です。しかし、分譲マンションで分離処分を認めると権利関係がさらに複雑になり、管理組合にも運営上の不都合が生じます。分離処分を認める合理的な理由は見当たりません。むしろ、百害あって一利なしと言えるでしょう。

委託している管理会社が倒産したら、組合預金が全額返金されない可能性あり!?

写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート


【マンション会計】

(17)管理費と修繕積立金を別口座で管理する「区分経理」がなされているか

(18)管理組合の預金口座は、名義が管理会社ではなく管理組合の理事長になっているか

(19)毎月、管理費などの入出金状況が管理会社から理事長と会計担当理事に報告(収納・支出明細が提出)されているか

(20)予算案および決算書類が作成され、毎年、定期総会で区分所有者に説明、議決を得ているか

(21)敷地内駐車場の使用料は、管理費会計ではなく修繕積立金会計で処理されているか

(22)管理費などの滞納者に対して定期的に督促を行っているか


管理費は建物や設備の日常管理費に充当するための金銭で、他方、修繕積立金は計画的な修繕や将来の建て替えに備えた金銭です。その性格も目的もまったく異なるため、不足時に補填や流用しないよう、必ず別勘定で会計処理しなければなりません。


また、組合預金の口座名義が理事長になっていないと痛い目に遭う恐れがあります。というのも、かつて、ある分譲マンションでは口座名義が管理会社になっており、その管理会社が経営破綻したため、組合預金が全額返金されないトラブルがありました。「口座名義が管理会社」=「管理会社の所持金」と解釈され、精算時、他の債権者に配分されてしまったのです。慌てた管理組合は結果を不服として訴訟を提起し、裁判所で争う事態にまで発展しました。二度と同じ失態を繰り返さないためにも、すべての口座が理事長名義になっているか確認しておきましょう。


さらに、設問(21)の駐車場使用料の取り扱いについても補足しておきます。大多数のマンションが駐車場収入を日常管理費(管理費会計)として経理処理しています。もちろん、それはそれで間違ってはいないのですが、修繕積立金として処理したほうが安心でしょう。理由は簡単。修繕積立金は不足しがちだからです。管理組合として複数の収入源を確保しておきたいのです。 


【マンション保険と税務】

(23)切迫性が高まる巨大地震や風水害の襲来に備え、管理組合は火災保険や地震保険に加入しているか

(24)保険事故が発生した場合、保険金の請求および受領を理事長が全区分所有者を代理して行えるよう取り決められているか

(25)保険契約に当たり、負担する保険料や補償内容を事前に説明し、総会決議を経て付保しているか

(26)管理組合は非営利団体なので、たとえ敷地内駐車場を第三者に賃貸しても課税されないと勘違いしていないか

(27)収益事業により管理組合が収入を得た場合、納税申告は事業年度終了から2カ月以内に行うと知っていたか


管理組合という団体(法人化している場合を除く)は法的性質が不明瞭なため、管理組合の名前(名義)では銀行口座が開設できません。同様に固定電話や携帯電話も契約できず、代わりに管理組合を代表する理事長名義で口座開設あるいは電話契約しなければなりません。こうした取引の主体になれる資格を「当事者適格」というのですが、保険契約についても理事長が当事者適格を有します。その結果、保険金を請求あるいは受領できるのは理事長だけとなります。なお、受領といっても理事長が保険金を独り占めするわけではありません。理事長名義の管理組合口座に全額、振り込まれる仕組みです。


税務に関しては、たとえ非営利団体であっても収益事業から生じた収入には法人税が課税されます。税金とは縁がなさそうに思われる管理組合ですが、今後は新たな仕事として税金対策も必要になると心得ておいてください。 

建て替え適齢期を迎えた分譲マンションは早々に「終活」を始めるべし!

写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート


【定期点検・大規模修繕工事・長期修繕計画】

(28)関係法令で定められた建物・設備の法定点検を定期的に実施しているか

(29)法定点検、その他、保守点検の結果は報告書として点検ごとに保管しているか

(30)計画期間25年以上の長期修繕計画を作成し、おおむね5年に一度は見直しているか

(31)見直した修繕計画に連動させ、適宜、修繕積立金が不足していないか確認しているか

(32)大規模修繕工事の業者選定に当たり、コストダウンばかりに執着せず、施工品質やアフターサービスにも目くばせした選び方を心掛けているか

(33)大規模修繕工事は単に劣化部分を原状回復するだけではなく、性能や機能をアップグレードさせる改良工事も同時に行われているか

(34)専有部分である設備のうち、共用部分と構造上一体となった部分は管理組合がまとめて計画修繕できるよう管理規約に明記されているか

(35)マンションの建て替えは究極の選択ではなく、日常管理の延長だという考え方を全区分所有者で共有できているか


マンションには建物・設備が常に適法状態かどうか、建築基準法によって定期的に点検・報告する義務が課されています。その対象は地盤(敷地)や外構(フェンスや門扉)・接道の状態に始まり、柱や天井・屋根・外壁・階段などの基本構造、さらに防火設備や避難経路の安全確認、給排水設備やエレベーター点検に至るまで、老朽化や不備による事故を未然に防ぐべく、建築士などの有資格者によって幅広く点検されます。もしも報告書を提出しない、あるいは虚偽の報告をすると、管理組合には罰金が科せられます。


次に長期修繕計画についてですが、できれば計画期間30年で作成し、見直す回数も頻繁を心掛けてほしいものです。長期修繕計画は修繕積立金の金額を設定する根拠となる計画です。「気が付いたら資金ショートしていた…」では困るのです。長期修繕計画と大規模修繕工事は緊密かつ不可分の関係にあることを忘れず、マンションを劣化させない努力を常に怠らないでほしいと願うばかりです。


だからこそ、大規模修繕工事が重要な意味を持つようになるわけですが、業者選定に当たっては工事費の値下げばかりに固執せず、施工品質やアフターサービスにも気を配った選び方を心掛けてください。たとえば競争入札を導入するなど、“安かろう悪かろう”を避ける工夫が求められます。同時に、性能や機能をアップグレードさせる改良工事も合わせて行うと居住者の満足度が上がります。その他、高経年マンションにおいては床下に敷設された排水管に代表される「専有部分である設備のうち、共用部分と構造上一体となった部分」を管理組合がまとめて更新工事できるよう、管理規約にその旨を明記しておくと安心です。


最後、マンションの建て替えについて付言しておきます。誕生から半世紀余りが過ぎ、2018年末現在、築40年超の分譲マンションは総ストックの約1割(81万4000戸)を占めるまでになりました。これが国土交通省の推計によると、10年後には約2.4倍(197万8000戸)、20年後には約4.5倍(366万8000戸)に増大する見込みです。築後マンションが建て替え適齢期を迎えるわけです。修繕工事を繰り返して延命するか、思い切って建て替えるか?―― 管理組合には難題が突き付けられます。


それだけに、1日でも早く「終活」(末路問題への答え探し)をはじめてほしいのです。少しでも合意レベルを高められるよう日頃から情報収集に努め、日常の管理段階から建て替えに向けた備えをしておいてほしいのです。建て替えは究極の選択ではありません。マンション管理の“延長線上”に位置付けられて然(しか)るべきなのです。特別視せず、自分のこととしてマンションの建て替えに向き合ってほしいと思います。 


「マンション管理の実務ノウハウ」(全9回)はこちらから


参考サイト

マンションに関する統計・データ等(国土交通省)

最終更新日:2020年01月09日

キーワードを入力してください

キーワードから探す


本文はここまでです このページの先頭へ

Yahoo!不動産 おうちマガジンとは?

不動産にまつわるマジメな記事からおもしろ記事まで、家さがしが楽しくなる情報をお届け!新しい暮らしのヒントが満載のマガジンです。