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現代美術と猫の戸開け対策について

2016年11月09日

池内 万作

現代美術と猫の戸開け対策について

俳優・池内万作のおうちコラム

現代美術と猫の戸開け対策について

今回の住人の一人、もぐり(猫)

はじめに自己紹介やらなにやら

はじめまして。
池内万作と申します。
実はずいぶん前にこの「おうちマガジン」で「猫とヒト用コラム・猫のおうちマガジン」というのを書かせてもらってました。
「猫にとっての住宅とは、人にとっての住宅とは、そこから住宅の本質に迫る!」
そんな、ちょっとアカデミックな視点から始まり、結局アカデミズムはコソコソと勝手口からいなくなり、最後は猫と人のためにデザインされたお宅にお邪魔して、はしゃいで終わった、そんなコラムでした。

今回は、そんな楽しかった取材を増やし、猫のいる家に押しかけ、猫と人が幸せに心地よく暮らすコツみたいなモノを紹介出来たらいいと思っています。
結局、幸せが一番ですからね、猫も、人も。
(しかし「猫のいる家の訪問取材しかやりません!」と限定すると後々辛くなっていきそうな予感がするので、住まいに関する面白いことがあれば、それはそれで紹介していきたいと思っています!)

さてさて。
というわけで、記念すべき一回目は、猫のもぐりと写真家・現代美術家で、イケウチの友人でもある宇田川直寛さん(以下、宇田川くん)のおうち。
宇田川くんは、新進気鋭の写真家で、現代美術の作品を制作し、主な受賞歴は、「Foam Talent 2015」選出(2015年/オランダ)、「キヤノン写真新世紀」佳作・佐内正史選(2013年)、「1_WALL」最終選出(2013年)など。
ベルギー、パリ、ロンドン、サンフランシスコなどでも精力的に作品の展示を行っている芸術家なのです。
そしてもぐりは……猫ですね。それ以上でもそれ以下でもなく、猫です。

そんなもぐりと宇田川くんはどんなところでどんな暮らしをしているのでしょうか!?
そして、現代美術とは一体何か、現代美術家は何を思い、どんなことをしているのでしょう??
そんなことを、さっそく聞いてみたいと思います~。

この抱かれ方がお気に入りだというもぐり

もぐりと宇田川くんのおうち

左からもぐり、そしてモグモグ何かを食べる宇田川くんとイケウチ(筆者)


イケウチ「いいね~。落ち着くねえ~、この家」

宇田川くん「あざ~す」

イケウチ「築何年?」

宇田川くん「六十年くらいっすかね」

イケウチ「六十年! ってことは……1950年代か。凄いなあ。木造だよね?」

宇田川くん「それが、ブロック積んでそこに鉄筋通してるみたいなんですよ」

イケウチ「ええっ!? 冬とか寒くない?」

宇田川くん「むっちゃ寒いっす(笑)」

イケウチ「へえ~。でも和むねえ」

宇田川くんからは「相当きたなくてぼろい家」と聞いていましたが、昭和の気配を色濃く残した心地のよい一軒家でした。
作品を制作するのに騒音や周りのことを気にしなくていい、自分だけの引きこもり空間が作りやすいところが古い一軒家の利点ですが、風呂釜が壊れたり下水が詰まったりと家の維持修繕で意外にお金がかかるとのこと。
古い家を購入の際はその事も念頭に置いた方がいいのかも知れません。
そして、何より寒いんだそうです(笑)。

とはいえ、筆者イケウチも築五十年近い家に住んでいますから、こういう古い家が現役なのを見るとなんとも嬉しくなります。
木の柱、窓の木枠、古いガラス、クロスではない壁が凄く新鮮です。いい味を出しています。窓の外の緑も東京とは思えません。
そんなおうちに宇田川くん、奥さん、そして猫二匹が暮らしているのです。

左手には台所があり、ガラス戸の奥には宇田川くんの作業部屋が。

もぐりが来たいきさつ

初対面だというのにいきなりお腹を触らせてくれる愛想の良さ


宇田川くん「もぐりです」

イケウチ「おおお! 初対面だというのに(と、いきなりお腹タッチ!)」

宇田川くん「人と触れあうのが趣味みたいです(笑)」

イケウチ「へえ~。で、もぐりはどういう経緯でこの家に?」

宇田川くん「うちの奥さんの職場の前で倒れてたんですよ。仔猫で、死にかけてて。放って置くわけにもいかないし、病院に連れてって。ほら、病気の猫ってブサイクじゃないっすか?」

イケウチ「あー。毛もパサパサだし。目ヤニとかも……」

宇田川くん「そうなんすよ。こんな可愛くないヤツ引き取り手もないだろうし、『しょうがね~か!』って家に連れてきたら、キレイになって、どんどん太っちゃって(笑)」

イケウチ「いやいや、可愛いよ」

カメラマン「むっちゃ可愛いで」

宇田川くん「あざーす」

イケウチ「しかし、人懐っこいねえ」

宇田川くん「そうなんっすよ」

イケウチ「もう一匹、猫いるんだよね?」

宇田川くん「そうなんっすよ」

イケウチ「……影も形もないね」

宇田川くん「そうなんっすよ」

もぐりは六歳くらい。尻尾の短い日本猫で、後ろ足が長くてちょっとアンバランスなんだそうです

宇田川くんの仕事とは?

イケウチ「ところでさ、宇田川くんってカメラマンなの? それとも現代美術のアーティストなの? どっち?」

宇田川くん「一応写真家って事にはしているんですが、自分的には写真はアウトプットの一つなんですよね。手段というか」

イケウチ「写真はあくまでも手法であって、完成した作品がやりたいこと、ってこと?」

宇田川くん「うーん。完成品がやりたいモノ、見せたいモノというよりは、作りあげているその過程、作業自体が一番大事って言うか。その作業を記録として残すって意味で写真に撮る、そしたら写真として作品に残る……みたいな……」

イケウチ「つまり……モノを作る過程が楽しくて、作品はその結果で、その結果を人と共有する……そしてその手段が、写真、みたいな事?」

宇田川くん「ですかね~(笑)」

生活感の溢れる中、真面目な話をする二人


作品を作るアーティストが作品よりも「制作過程が大事」と言うと、なんだか無責任に感じますけど、よく考えると分かる気がします。
例えば俳優にしても、作品に残る自分の演じた姿はあくまでも結果であって、仕事のメインは『撮影現場に行って演じること』ですからね。

一人で完成させるアート作品と、様々な人間が制作過程に携わる映像作品を並べて比べるのは乱暴だけど、原点を見つめ返すと、絵を描くこと、歌うこと、演じること、そういう創造的な行為って「楽しい」から始まった事でしょうから。
「作品はあくまで結果で、大切なのは制作過程であり創造する行為自体だ」そんな考え方は、実は相当に本質を捉えているのかも知れないなあ~なんて思いました。
「仕事」と思っちゃうと忘れてしまう事って多いですからね。

話は「住宅」からだいぶ離れてしまってますが 宇田川くんには、前からもうちょっと聞いてみたいことがあったので、もうしばらくお付き合い下さい!

雑誌「IMA 2014 Summer Vol.8」のBook in Book「STEP OUT!」掲載の作品(IMA onlineより)

現代美術と猫

イケウチ「前から聞きたかったんだけどさ、現代美術家ってどういう職業なの、基本的に?」

宇田川くん「みんなだいたいバイトしてますよ。バイトやるか先生やるか(笑)」

イケウチ「じゃあさ、現代美術とフツーの美術ってどう違うわけ?」

宇田川くん「そうですねえ……『現代』にやっているから現代美術なんですよ」

イケウチ「ああ、つまり最先端というか、カッティングエッジ、みたいな?」

宇田川くん「そうですね。古い考え方かも知れないけど、もし美術は進化し展開し続けているモノだとしたら、従来通りの美術の表現方法を引き継いだ上でさらに新しいことをやろうというのが現代美術。従来通りの美術を引き継いで、その枠の中で新しい絵を描こうというのがいわゆるフツーの……っていうか美術ですね」

イケウチ「じゃあだんだん大変になっていくよね。『新しいモノの領域』ってどんどん小さくなっていくわけだから。真の意味での『オリジナル』はもうなくなってしまって、この先は模範品の再構築しかない、なんてことが言われてずいぶん経つけど……」

宇田川くん「そう言われるんですけど、でも、常にそうだろうなあって気がするんですよね」

イケウチ「常に、そう?」

宇田川くん「表現が行き詰まってない時代なんてないんじゃないですかね。(新しい)美術が作れて作れてしょうがないなんて時代は、ないんじゃないですか?」

イケウチ「新しいモノは常にあるって事ですな(感動)。そして現代アートってのは、表現の領域を広げるフロンティアみたいな役目もあると思うんだけど……」

宇田川くん「そうなりたいですけどね、やっぱり。でもまだ自分の立っているところって『先人がいたからいられるところ』にまだいるんですよね。オレがいるところは、最前線の境界線の、まだこっち側なんですよね」

イケウチ「そうなんだぁ……」

宇田川くん「それを越えたいんですよね」

そんな宇田川くんの作品が載っている冊子がこちら。

冊子に掲載されている宇田川くんの作品

次世代の写真表現を予感させる、日本人若手作家による写真展開催「LUMIX MEETS BEYOND 2020 BY JAPANESE PHOTOGRAPHERS #4」より

冊子をもぐりに見せているところ


イケウチ「……完全無視だね」

宇田川くん「でも、そういう距離間がいいんですよ(笑)。猫にはアートとか関係ないじゃないですか。本当に人間にしか分からない限定的なことを、自分はやってるんだなあ~って感じが」

最強の「猫の戸開け」対策

イケウチ「ほんじゃあ、現代美術の話も聞いたし、奥にある宇田川くんの作業場を見せてもらっていい?」

宇田川くん「マジ汚いっすけど、いいっすか?」

イケウチ「問題ないっす」

と、宇田川くんの作業場に移動することに。
しかし作業部屋には制作中の作品が置いてあったり、制作に使う薬品があったりするので猫は立ち入り禁止とのこと。
そこで気になったのが「猫の戸開け対策」です。
外に通じる扉、寝室、作業部屋と、どんな家にも猫には開けられたくない戸の一つや二つ、ありますからね。
多くの猫飼いが、スマートで抜本的な「猫の扉開け対策」を切望していることでしょう。

ちなみに、筆者のおうちでは、百円ショップで買ったつっかえ棒で戸を開かないようにしています。引き戸にガムテープを貼って猫の侵入を防いでいるおうちにお邪魔したこともあります。

こんなふうに大半のお宅が「猫が戸を開けられないよう、戸を固定する」といった方法で対処していると思うんですが……
宇田川くんはひと味違いました。
まさにコロンブスの卵、ピタゴラス的発想の転換。
新進気鋭の写真家が取ったのは非常に斬新でドラスティックなアプローチでした。

なんとなんと!
木材を枠に打ちつけたのです!

打ちつけられた材木が引き戸と、その枠の間の隙間を遮断

これならば猫が爪を入れる隙間がなく、猫が引き戸を開けるのは非常に困難となる

発想としては、バールで扉をこじ開けるのを防ぐために、ドアとドア枠の隙間を鉄板で覆ってしまう防犯扉と同じですね。
戸を固定するのではなく、開けるためのアクセスを遮断するのです。
これでは歯が立たない、手も足も爪も出ない。
まさに「困ったニャ~」なのです。

対策が功を奏し、入れないもぐり


イケウチ「これは、凄い(感動)。なんか見た目もいいよね。木と木で目立たないし」

宇田川くん「あざ~す」

近いうちに我が家でもこのシステムを導入して、家の猫にどの程度効果があるか検証してみたいと思います!!
結果はこのコラムでご報告いたしますのでお待ち下さい~。

あ、そうそう。
そんな宇田川くんのグループ展が近々行われます!!
パリ:2016/11/4(金)~11/13(日)
東京:2017/1/20(金)~1/29(日)
機会があれば足を運んでみたらいかがでしょうか~!
というわけで、すっかり長くなってしまったので、今回はここまで!
次回は、宇田川くんの作業場からお届けいたします~。
ではまた!
(文・池内万作 写真・池内みちよ)

【取材協力】
宇田川 直寛 (Naohiro Utagawa)

池内 万作
1995年映画『君を忘れない』で俳優としてデビュー。以後、映画・テレビを中心に活動中。代表作として「こちら本池上署」シリーズ(TBS)、映画「光の雨」、「この世の外へ~クラブ進駐軍~」、「犬神家の一族」等。

最終更新日:2017年01月30日

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