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空飛ぶ猫と客室乗務員の涙 村上邸その2

2017年04月20日

池内 万作

空飛ぶ猫と客室乗務員の涙 村上邸その2

俳優・池内万作のおうちコラム

床暖房が暖かくて心地よいせいか、猫が床の上にいる時間が長い。

床暖房が暖かくて心地よいせいか、猫が床の上にいる時間が長い。

前回までのあらすじ

こんにちは。

猫のいる家に押しかけては色々話を聞いている変な人間、イケウチです。

皆さまいかがお過ごしでしょうか?

今回も引き続き、六匹の猫と二人のヒトが住むおうち、村上邸からお届け致します。

前回は猫たちの里親であり、スクウェア・エニックス社で『FINAL FANTASY XV』のマーケティングを担当する村上瑠衣さんから、仕事や猫との出会いの話を伺いました。

今回は、瑠衣さんが最初に猫を飼い始めたイギリス時代の話を中心に伺っていきたいと思います。

それでは最後までお付き合い下さい!


床暖房が暖かくて心地よいせいか、瑠衣さんと筆者も床の上にいる時間が長い。

ウィンザーと三匹の猫たち

イケウチ「イギリスってどこに住んでらしたんですか? ロンドン?」


瑠衣さん「ウィンザーです」


イケウチ「ウィンザーってウィンザー城があるところですよね?」


瑠衣さん「そうです!」


イケウチ「えっと……すごい緑が多いところですよね、ウィンザー?」


瑠衣さん「ですね!」


以上が筆者のウィンザーに関する全知識でした(笑)。

というわけで調べたところ、ウィンザーはロンドンから西に三十キロほどの場所にあるテムズ川沿いの小さな町で、ロンドンからすぐの観光地として非常に有名なのだとか。

ウィンザー城は英国王室の所有で、エリザベス二世女王が実際に使っているおうちの(といっても城ですけどね)一つです。


ウィンザー城。瑠衣さんのウィンザー時代のおうち、ではない。(写真:アフロ)


瑠衣さん「庭の奥がすぐにテムズ川! みたいなど田舎に住んでて、フツーにこの子たちも外にいて、車で会社から帰ってくると、猫達が音を聞いてだっ~と出てくるみたいな、そんな生活を送ってました」


そんなウィンザーで暮らすうちに仔猫を引き取ることに。

それが初めて飼うことになったキキとジジ。

およそ一年後、瑠衣さんは雨の日に庭に一匹で迷い込んできてしまった仔猫を保護し、それが三匹目のミミとなります。

そして、この三匹がこの後ちょっとした冒険をするのですが、その前に話はちょっと別の方向に。


ウィンザー時代の瑠衣さんのおうち。芝が眩しい。


イケウチ「そういえば、ペット事情ってイギリスと日本でなにか違います? なんか、ペットショップはないって聞いたことあるんですけど」


瑠衣さん「ああ~。日本みたいにケージに入れて売ってるみたいなペットショップはまずないですよね。ブリーダーさんから買うか……あとは日本と一緒で、里親さんのサイトとか結構あるので……うちは近所の家でたくさん仔猫が生まれてしまって、それでキキとジジを引き取ったのが始めでした」


イケウチ「じゃあイギリスでペットを飼おうと思ったら、その辺で買うというよりは、足を運んで探したり、なんかのご縁で回ってきたり、みたいな?」


瑠衣さん「そうですね、そんな気がします。あと、『ブーム』的なモノはあんまないかもしれませんね、日本みたいに」


イケウチ「アレはわけがわからんですよね……」


瑠衣さん「ですよねえ! 最近多いみたいですよ。ブームだからって繁殖させて、それが崩壊して。結局それが猫屋敷になったり……」


あるいは、ペットショップで売れ残ってしまった「商品」がその後どうなるかというのは、非常に大きな問題になっています。

こういう問題はペットショップだけのモノではなく、過剰に純血種、子犬、仔猫を求める消費者側にもあるんでしょう。

確かに子犬や仔猫は可愛いですからね。欲しくなる気持ちは分かりますけどね。

だけど、生後わずかの、親の愛情やスキンシップを一番必要としている時期の子犬や仔猫が、独りぼっちでケージの中に閉じ込められ、商品として陳列されているのを見ても、筆者は「可愛い~」とはどうしても思えないんです。

もちろん愛情を持って扱っている、一度売ったら最後まで相談に乗ってくれる良心的なペットショップもあるので、「全てのペットショップが悪だ」なんて言う気は全然ありません。

でも、ペットショップ以外で売られている子犬や仔猫の他にも、居場所を必要としている犬や猫はたくさん存在しています。

もし小さな家族を新しく迎え入れたいと望むなら、里親を募集しているところも是非探してみて下さい!

イギリスから東京へ

筆者のパーカーのヒモは猫に大人気。


さてさて。

そんな緑の溢れるウィンザーでの暮らしも終わりを告げることとなります。

勤務先のスクウェア・エニックス社での本社勤務が決まり、瑠衣さんは十年以上暮らしたイギリスから日本に帰国することになったのです。

しかしウィンザーの家にはキキ、ジジ、ミミがいる。

さあ、どうしたものか……

そして、瑠衣さんの奔走が始まります。


瑠衣さん「本社に異動するって分かって、でも猫は一緒に連れて帰りたかったから、厚生労働省じゃなくって……農林水産省のページだったかな? もう、めっちゃ問い合わせとかして、すごく調べて。そうしたら書類もむっちゃ厳しいんですよ。それも全部用意しなくちゃいけなくて。あと半年近くかかるって書いてあったから『これはヤバイ、早く手続きを始めねば!』と思って」


イケウチ「えっ? 一体なにに半年もかかるんですか?」


瑠衣さん「血液検査してワクチンを二回打たなきゃいけないんですけど、二回目の注射をしてから半年は、猫を住んでいる国から出してはいけないって決まっているんですよ」


イケウチ「……ん??」


ウィンザー時代の三匹。


というわけで、ちょっと説明させて頂くと……

日本の検疫は海外から持ち込まれる有害な外来種や病気を防ぐ仕事です。

なので連れて帰るペットが病気などを持っておらず、入国することが安全であることを確認しなければなりません。

そこでワクチンの注射が義務化されていて、その注射を打ってから半年間何もなければ入国しても安全だとみなします、というわけなんです。

つまり、瑠衣さんのようにイギリスから猫を日本の家に連れて帰りたいのであれば、帰国半年前に注射を済ませ、その後半年間は猫をイギリスに留めておかなければならないということになります。

もしその規定の半年に達していなかった場合は……


瑠衣さん「入国出来ないんですよ。半年に足りない日数分、日本に着いてから成田やなんかの施設に預け置かなければいけないんですよ!」


イケウチ「ええっ~!!」


瑠衣さん「私はそこに入れるのが絶対にイヤだったんで、(猫に注射をしてから)半年はイギリスを出ないって決めて。だから会社にも、本当は夏に異動するように言われてたのを『無理です、秋まで待って下さい』って言って、三ヶ月くらい延ばしてもらったんですよ、実は(笑)」


イケウチ「うわあ……」


というわけで、皆さん。

もし、海外でペットと共に暮らしていて、一緒に帰国したいと思うのなら、帰国半年前には準備を始めて下さいね。さもないと空港の施設に預けなければならないハメになりますから。

それはそうと、ですけど。

なんていい会社なんでしょ(笑)。


猫を連れて帰るために奔走した瑠衣さん。

猫、空を飛ぶ

イケウチ「で、飛行機に乗せてイギリスから連れて帰って来たんですよね? 結構大変じゃないですか?」


瑠衣さん「凄い大変でした。前日にフライトを耐えられるかどうかの身体検査があったりして。そういうのを代行でやってるところに行って、一晩預かってもらって……

で、当日ですね。飛行機に乗る時って自分たちで預ける荷物をチェックインするじゃないですか? それと同じ感覚で、決められたサイズのケージに一匹一匹入れて、空港でチェックインカウンターに自分で持っていくんですけど、その時にチェックインカウンターの裏に連れて行かれて、一匹一匹X線探知機にかけられて……」


イケウチ「ああ、そっち系の検査が……」


瑠衣さん「そうなんですよ! 一匹一匹ケージから出して、私が一緒に抱っこしてX線に通して、ケージも通してって、三匹いたんでもう大変で~」


イケウチ「動物を麻薬の密輸とかに使うヤツもいるから……」


瑠衣さん「そうそう! だからケージの中も全部剥がされて」


イケウチ「うわあ~」


瑠衣さん「落ち着かせるために、この子たちが気に入っていたタオルとかを入れておいたんですけど、それも全部排除されて(笑)。しかも、ペットを連れて行くのは自己責任で、何かあっても航空会社の責任じゃありませんってサインさせられるんですよ~」


イケウチ「それはイヤですねえ~」


瑠衣さん「ただ、もう連れて帰るって決めたから。空港でサインして。見送って。号泣ですよ(笑)」


イケウチ「あはは」


瑠衣さん「でも、もしかしたら成田で息しないまま出てくるかも知れないじゃないですか? ワンちゃんを預けたら死んじゃったみたいな話を聞いていたし……ただ猫の方が適応能力が高いみたいで。狭いところも好きだし、大丈夫な子が多いって。

キキとジジは凄く鳴いてて~。にゃあにゃあにゃあにゃあ言ってたからまだ良かったんですけど、ミミは鳴くことも出来ずブルブル震えてて、もう心配で……」


しかし猫の入ったケージはカウンターの奥へと消えていってしまいました。

それを見送った瑠衣さんは、自らも機上の人となったのです。


瑠衣さんと三匹を載せて飛び立って行く飛行機(イメージです)。(写真:アフロ)

客室乗務員の涙

ロンドンから成田までのフライトは約十二時間。

その間、客室の瑠衣さんは貨物室の猫たちが気になって仕方がなかったそうです。


瑠衣さん「成田に着くまで、飛行機の中でもずっと客室乗務員さんに、『あの、すみません! 私、下に三匹猫乗せてるんですけど、大丈夫ですか!?』とか、乱気流とかあるたびに、『なんか今凄く揺れたんですけど、大丈夫ですかね!?』って訊いてしまって。

客室乗務員さんも『私達も行けないんですけど、でも大丈夫だと思います!』って答えてくれるんですけど、凄くうっとうしい客やったと思います(笑)」


イケウチ「いやいや、仕方ないですよお」


瑠衣さん「凄く気になって一睡も出来ず、成田に着いて。機内持ち込みの荷物を受け取って、係員の人に『ちょっとここでお待ち下さい』って言われて待ってたら、係員の人が連れてきて。

動いて生きてるの見たとたん『良かった~!』ってまた号泣で(笑)。その号泣している私を見て、『よかったですねえ~!』って機内で私がめっちゃ喋ってた客室乗務員さんが泣くっていう(笑)」


そして今は東京で暮らす帰国猫、キキ(左上)、ジジ(左下)、ミミ(右)。


瑠衣さん「と、そんなおもしろい光景が(笑)」


イケウチ「いやいやいや(笑)」


カメラマン「いい話だよねえ(笑)」


瑠衣さん「そこから成田空港の検疫所に連れて行って、検査して書類見てOKってなって、そのまま家に連れて帰ったんですけど、もうグッタリでしたね、この子たちは」


イケウチ「ちなみに……猫三匹の飛行機代っておいくらくらいなんですかね?」


瑠衣さん「飛行機代は安かったです。重量で計算するんで」


イケウチ「あ、完全に荷物扱いなんですね」


瑠衣さん「そうなんです。カーゴに入れたんで、私の渡航費より安かったです。けど、その前の注射とかが凄く高かったんで。凄かったですよ。たぶん三匹で百万近く……」


カメラマン「ええっ~!」


瑠衣さん「会社からも引っ越し費用がちょっとだけ、本当にちょっとだけあったんですけど、そんなもん、ほぼ猫に(笑)」


イケウチ「例えばなんですけど、イギリスに置いてくるってチョイスはなかったんですか?」


瑠衣さん「親にも言われたんですよ。『そんだけお金かけて、ホンマに連れて帰ってくるつもり? 大丈夫なん?』って。でも置いてくるなんて考え自体ないって思って。家族やから」


カメラマン「凄いなあ~」


瑠衣さん「三年前の事ですけどね。だいぶ昔のことのように思えますねえ~」


そう言って瑠衣さんは、懐かしそうに笑いながら仔猫の肉球を鼻に当てクンクンと匂いでおります。


「やはり、ホンモノの猫好きだ……」


と呟きたくなるのを、ジッと堪える筆者なのでありました。


瑠衣さんとユキ。


というわけで、今回はここまで。

次回は、イギリスと日本の住宅事情の違いや、瑠衣さんが日本に帰ってきてからのお話、そして瑠衣さんのお宅をキチンとご紹介致します。

実はこのお宅、今まで隠してきましたが、猫のために工夫が凝らされた凄いおうちだったりするのです!

それでは次回、お楽しみに!


(文・池内万作 写真・池内みちよ)


【取材協力】


池内万作(東宝芸能)
●テレビ朝日 毎週金曜よる11:15~「女囚セブン」出演中

1995年映画『君を忘れない』で俳優としてデビュー。以後、映画・テレビを中心に活動中。代表作として「こちら本池上署」シリーズ(TBS)、映画「光の雨」、「この世の外へ~クラブ進駐軍~」、「犬神家の一族」等。

最終更新日:2017年05月09日


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