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海に一番近い家。(写真:ガッツ)
イケウチ家、南へ!
なんとなんと!
今回は小笠原諸島は父島からのお届けとなります!
「東洋のガラパゴス」とも呼ばれる、あの小笠原ですね。
なんかよさそう~!
と思う人はたくさんいるでしょうが、どんなところかピンとこない人も多いんじゃないでしょうか。
というわけで、まずは簡単に場所などの説明を。
小笠原諸島は東京から南に1000kmほど下ったところに位置しています。
緯度は沖縄よりちょっと上。
日本とグアムのちょうど真ん中辺り。
気候的には日本で唯一オセアニア区に属する亜熱帯気候。
固有種が多いことから「東洋のガラパゴス」なんていわれるほど、日本の中でも本当に希有な場所なのです。
おがさわら丸。島への唯一の交通機関であり、ライフラインでもある。
しかも空港がないので、小笠原諸島には定期船「おがさわら丸」で行くしかありません。
所要時間はなんと片道24時間!
おそらく「一番遠い国内」ですが、住所的には東京都。
だから、走ってる車は品川ナンバーだったりします。
そんな小笠原ですが、第二次世界大戦終了後はアメリカ領となっていた時期もあり、
今年はちょうど返還50周年なんだそうですよ!
そんなわけで現在、返還記念イベントが各種行われており、筆者とカメラマンはそんなイベントの1つをお手伝いすることになり、小笠原にやってきたというわけ。
海に一番近い家
シェアハウス海(うみ)。(写真:ガッツ)
小笠原で音楽イベントを行う「ガッツさん」が紹介してくれたのは、父島の中心地から車で10分ほど行った扇浦にある、「シェアハウス海(うみ)」。
タイトルに「海に一番近い家」とありますが、これは決して誇張ではなく、本気で近いのです。
どれくらい近いかというと……
本当の海近物件。
これくらい(笑)。
小笠原に移住してきて3年目のKAIさん。(写真:ガッツ)
今回はこのシェアハウスを運営するKaiさんに「海に一番近い家」での暮らしについて、あれこれ聞いていこうと思います~。
それではさっそくおうちにお邪魔していきましょう!
まずはご挨拶
Kaiさんとベルギー在住のお母さん、千恵子さん。
お邪魔したのは「シェアハウス海」の1階、Kaiさんの住居兼オフィス。
今回はたまたま、千恵子さんがベルギーから遊びに来ていたので、一緒にお話しを伺うことに。
イケウチ「今日はすみません。よろしくお願いします~」
Kaiさん「こちらこそお願いします」
千恵子さん「巷の噂ではシェハウス関係のお仕事をなさってるとか……」
イケウチ「えっ、そんな噂がたってるんですか(笑)」
俳優をやったり、妻とウェブの音楽番組をやったり、文章書いたり、湯河原で床を張り替えたりと、いろいろやってはいますが、「シェアハウス」には手を出していないのではないかと……(笑)。
なんて自己紹介をすませつつ、おうちを紹介していただきました。
Kaiさんのおうち
机の上には趣味のDJ機材なんかもあったり。
写真右のドアが玄関となります。
玄関を入ったすぐ右側がkaiさんのオフィススペース。
モロッコタイル柄の床がなんとも涼しげですねえ。
スーツケースが4つあるのが非常に気になるが、聞きそびれたので永遠の謎となった。
玄関の左側にはキッチン。
オフィスと統一されたシンプルなデザイン。
「モノ増えたわね」「まあね」
なんて会話をKaiさん親子はしていましたが、そういうところはどこも同じようです。
なんでモノって自然と増えていくんでしょう。
自己増殖でもしてるんですかね、ホント。
フツーはあるものがない部屋。
部屋の中央はリビングスペース、その奥にはベッドが置かれています。
間仕切りのない非常に心地よい部屋です。
でも、もし外に海がなければ「都内の一戸建て」といっても分からないような作りともいえます(じっさいに「都内」なんですけどね 笑)。
ここが果たして小笠原らしいおうちなのだろうか?
わざわざ小笠原で取材するにしては「ちょっとフツーなんじゃ?」なんて思いが一瞬頭をよぎりましたが、ご心配なく!
そんな考えはすぐに、そして徹底的にひっくり返されることになります。
実はこのおうち、このロケーションを最大限に生かすための工夫が存分に施されているのです。
小笠原ならではの工夫
ここだけの話「ちょっとフツーじゃね?」なんて思っていた筆者。
イケウチ「この家を建てる時にこだわったポイントとかってあります? なんというか、小笠原ならではといいますか……」
千恵子さん「そうですね。この家の壁ありますでしょ。これね、角度がついてるんですね。だから、絶対に太陽の光が射し込まないようになってるんです」
尋ねると、千恵子さんがテキパキとした口調で説明をしてくれました。
わりと驚かされることの多い「おうちコラム」の取材ですが、今回はちょっと別格だったかもしれません。
イケウチ「……えっ?」
いきなりとんでもないことを言い出したので、一瞬訳が分からなくなりました。
太陽の光が射し込まない?
よく見ると、相当大きなガラス戸が並んでいるのに、暑くもなくまぶしくもありません。
千恵子さん「太陽が上って沈むまで、西日とか、ともかく直射日光が射し込まないようになってるんです」
イケウチ「ええっ!? 」
千恵子さん「家の角度も考えて建てられてるんですって。そのへんはこだわったところ。あと、窓にカーテンがないの分かります?」
イケウチ「(見渡し、いまさら)……ホントだっ!」
千恵子さん「カーテンレールすらない。この家、外から見ても中が見えないようになってるんです。中からは見えるんですけどね」
イケウチ「う、うそ!」
千恵子さん「『カーテンがない』ってみんな言うんだけど、デザイナーが『これはカーテンをつける家じゃない』って」
イケウチ「すごい……」
驚きの連続で思わず立ち上がる筆者。
試合開始直後に怒濤のラッシュでKOされた、そんな気分でした(笑)。
カーテンがないので景色は存分に楽しめて、プライバシーも確保できて、しかも直射日光が入らないように設計されている。
足し算じゃなく引き算のデザインというんでしょうか。
まさに小笠原ならではの工夫じゃないですか!
だけどカーテンがないなんてまったく気づかなかったなあ…
みなさんはいかがだったでしょうか?
前の前の写真で確認できるので、よかったらチェックしてみてください。
台風に強い屋根とシャッター
千恵子さんの説明が続く。
千恵子さん「あとはね、窓のシャッター。あと屋根ね。これは最大風速……いくつまでか紙に書いてくれてたんだけど……ともかく一番強い台風まで耐えられるヤツ。強風地域用だったかな」
イケウチ「強風地域用! そんなものがあるんですねえ……」
千恵子さん「シャッターすごくいいわよ。指一本でも上げ下げできるくらい。オススメ」
シャッターはよくガラガラって音で例えられるけど、これはカタカタカタって感じ。
信じられないくらい軽くて、開け閉めもスムーズ。
これで大型台風が直撃しても大丈夫っていうんだから、技術って進歩してるんですねえ。
最近は心配なことも多いですから。
こういうのを家につけといたら安心かもしれませんね。
さっそくシャッターを下げてみる筆者。
バルコニーにお邪魔
まったく見えない家の中。
気がついたら、家の外に出ていました(笑)。
Kaiさんと二人きりになりましたが、かまわず話を続けます。
Kaiさん「実は、台風が来ると結構大変で。3日間とか4日間ずっとシャッターを下ろしっぱなしで、暗闇の中でずっと過ごす時も」
イケウチ「あ、風でシャッター開けられないから?」
Kaiさん「そうなんです」
イケウチ「おおおお……」
やはり海に面していると大変ですねえ。
台風だけじゃなく津波とかも怖いし。
そうそう。
それと、小笠原では木材が採れないため、資材は全部本土から船で運ばないとなりません。なので建築コストも本土と比べたら割高になります。
資材だけでなく、島にないものは全て「おがさわら丸」で運んでこなきゃいけない。
小笠原には小笠原ならではの大変さがあるのですね。
そんな大変さもこの景色で霞んじゃいそうですけど。
バルコニーからの風景。
島で暮らす大変さや「足りないモノ」を書き出すとキリがないんですが、そんなことを上回る魅力が、多くの人をこの島に惹きつけているようです。
実際に移住者がすごく多いんですよね、小笠原って。
というわけで次回はKaiさんに、この家での暮らしや、なぜ小笠原に移住してきたのか、そんなことを聞いてみたいと思います~。
それでは次回もお楽しみに!
(文・池内万作 写真・池内みちよ)
最終更新日:2018年12月20日
俳優(東宝芸能)
池内 万作
1995年映画『君を忘れない』で俳優としてデビュー。以後、映画・テレビを中心に活動中。代表作として「こちら本池上署」シリーズ(TBS)、映画「光の雨」、「この世の外へ~クラブ進駐軍~」、「犬神家の一族」等。
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