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「民泊」の法律が変わるの? 教えて! これからの民泊の形

2017年11月30日

佐野 俊輔

「民泊」の法律が変わるの? 教えて! これからの民泊の形

民泊ビジネスのプロに聞いてみた

「民泊」の法律が変わるの? 教えて! これからの民泊の形

デンマーク・コペンハーゲンで借りたAirbnbの部屋。その国らしさを感じられるのも楽しみのひとつです。

気になる! 日本の民泊事情

ひと昔前に比べ、耳にすることが多くなった「民泊」。もともと、住宅を利用して宿泊サービスを指します。

私事ながら、海外旅行好きの筆者は、民泊情報サイト“Airbnb”を利用して、幾度となく現地に住む人の部屋に泊まらせてもらってきました。快適な部屋に、気のいいホストとの交流など、少なからずその楽しみを知っているつもりでいます。


異国・デンマークで借りた部屋の一角。誰かの日常は、別の誰かの非日常、なんですよね。


けれども、振り返ってみるとまことに残念なことに、日本では民泊を利用したことがないのです。……気になります、日本の民泊事情。


ニュースからは、「訪日旅行客が増えていて宿泊場所が足りていない、そこで民泊フル活用だ!」という景気のいい話が聞こえてきます。その一方、「民泊が行われている部屋をめぐる、宿泊者と住民とでトラブルが!」など、穏やかではない話も。

そうした中で、民泊のあり方を規定する新しい法律ができるのだとか。


民泊業界はいま、大きく動いているのでしょう。一般ピープルとしては「何が」「どうなるのか」気になるところですが、本当のところはよくわかりません。法律なんて言われると特にさっぱりです。ーーならば聞くしかないでしょう。随筆家・吉田兼好先生は690年ほど前にも「すこしのことにも先達はあらまほしきことなり」とおっしゃっているし、剣豪・宮本武蔵先生も(作家・吉川英治先生の小説の中で)「我以外皆師」とおっしゃっています。「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」というわけで、今回、日本の民泊事情に詳しいビジネスマンのお二人に、話を聞いてみました。

現在の法律は民泊の実情にあっていない

最初にインタビューに答えてくれるのは、メトロエンジン株式会社・取締役COO 相馬翔さん。同社は、Airbnbなどの民泊ホストを対象に、マーケティングツールなど民泊業務をお助けするサービスを提供しています。相馬さん自身、Airbnbを中心とした民泊事情に詳しく、今年7月には「できるAirbnb 初めてでも安心・安全に民泊を始められる本」を刊行。


メトロエンジン株式会社・取締役COO相馬翔さん。同社が展開する民泊専門メディア「Airstair」では編集長も務めます。


それでは、民泊のプロに突撃です!


――本日はありがとうございます。早速ですが、現在、民泊に関する新しい法律ができるようですね。


相馬さん

「民泊新法」、正しくは「住宅宿泊事業法」と言います。2017年6月に成立、2018年6月に施行されることになっています。

シェアリングエコノミーの流れを受けて生まれた「民泊」については、これまで明確な法律がありませんでした。宿泊に関するものとしては「旅館業法」がありますが、できあがったのは1948年(昭和23年)です。インターネットもシェアリングエコノミーもない時代にできたので、現実とは乖離しているのです。そうしたことを受けて、実情に則った法律が新たにできる、ということです。


――民泊新法、ポイントはどんな点にありますか?


相馬さん

大きなポイントは、民泊として営業できる日数が、「上限180日になる」という点です。

もうひとつは、企業も民泊ホストして参入できるようになる点です。

企業は、建物を一棟丸ごと民泊施設にして、民泊ホストとして営業できるようになります。大型開発をして、コスト安く提供できるようになる。すると、個人の民泊ホストは厳しい状況になる可能性があります。競争が激化して、個人のホストは減っていくとみられています。


――それは厳しいですね。


相馬さん

いまは、「民泊戦国時代」と言えるかもしれません。弊社調べでは、2014年の民泊ホストは3,000件程度でした。現在は53,000件ほどとなっています。需要と供給があっているかどうか。ただ、日本を訪れる外国人旅行客が増加していることもあるので、伸びしろはまだあると考えられます。

 


――海外の民泊と比べて、日本の民泊の特徴などはありますか?


相馬さん

民泊というのは「個人対個人」のサービスなんですよね。その民泊を大きく分けると以下の3つになります。

1)丸々貸し切り

2)個室

3)シェアルーム

海外の場合は、基本的に家が広いので、空いている自分の家の部屋を貸す、2)の形が多いですね。反対に日本は、投資対象として民泊を捉え、1)の形になっていることが多いです。

私も民泊ホストになれる?

――民泊新法にあわせて、民泊のホストになってみたい!と目論むのは無謀ですか?


相馬さん

そんなことはありません。民泊新法では、施行の3か月前から事業者登録ができるようになります。もし自分の家に空いている部屋があれば、検討してもいいと思います。いまから貸す部屋を探してもいいと思います。


――では、その際に何か注意すべき点はありますか?


相馬さん

各自治体の「条例」に注目することでしょうか。遅くとも2018年6月には民泊新法が施行されますが、それにあわせて、各自治体が「条例」を制定することがあります。「上乗せ条例」なんて言われるものですね。例えば民泊新法が「民泊営業日は年間上限180日」と決めても、自治体が「年間上限30日」と決めてしまえば、そちらの厳しい方にあわせなければなりません。


――それは要チェックですね。

では、民泊新法を待たず、いまから民泊をはじめることはできますか?


相馬さん

現状では、民泊の運営を行うには、原則としては旅館業法の許可を取得する必要があります。民泊は駅から10分以内など、アクセスがいい部屋が人気です。ただ、駅から遠くても部屋自体に魅力があれば、その限りではありません。

ただ、「民泊」の運営方法も、実際は様々な形があります。

短期なものでよければ、「イベント民泊」なんて形もあります。需要が増える特定のタイミングで部屋を有償で貸し出すことができるのです。国内ですと、自転車イベント・ツール・ド・東北や、青森のねぶた祭など、その期間に合わせて、地方自治体が募集しています。

または、「特区民泊」、正式名称「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業」があります。2泊3日以上という条件で東京大田区や大阪府、新潟市、北九州市などで展開されています。


(ペイレスイメージズ/アフロ)

大事なのは宿泊ゲストからのレビュー

――民泊をやっていくうえで、大事にすべきことなどはありますか?


相馬さん

「レビュー」を大事にすること、ですね。民泊では、宿泊ゲストからの「レビュー」が何よりの指標となります。ですから、5つ星(最高点)を獲得すること。Airbnbでは優秀なホストを「スーパーホスト」として認定する制度がありますから、それを目指すのがいいでしょう。そのためには、宿泊者や宿泊予定者のメッセージになるべく早く返信することなども求められます。

それから、自分が貸し出す部屋の紹介ページを作り込むこと。宿泊予定者はそのページ見て決めるので、写真やタイトルを整えたうえで、価格を設定するように。

利用者は外国人が多いので、英語対応ができるとなおよし、です。

いまは出張で利用する宿泊者もいるので、デスクやwi-fiなどの環境を整えるのもいいですね。Airbnbでもそうした項目があります。

民泊ホストの代行サービス会社も増えてきているので、運営が大変であれば、自分ひとりで全部やる必要もありません。

ともかく、何はともあれ「レビュー」が大事です。いまからやるなら、レビューが多く集められるという、先行者利益を得ることもできるでしょう。


――相馬さんからご覧になって、民泊ホストの魅力というのはどのへんにあると思われますか?


相馬さん

海外の宿泊ゲストも多いので、「国際交流ができる」点ですね。いまでは、お子さんが家を出られたシニアが交流のために民泊をされているケースもありますね。

当初のころは特にデザインも凝っており“イケてる”サービスだったので、利用者自体のレベルも高く、そうした人の「話を聞ける面白さ」もありました。

あとはやはり、「お小遣い稼ぎができる」点ですね。さらに、貸し出す部屋が複数あれば、宿泊ゲスト同士の交流を図ることもできます。

民泊はもともとCtoC(個人と個人)のビジネスです。だから、個人の民泊ホストは職業や趣味を公開して、宿泊ゲストとつながっていくのが何よりも楽しいことだと思います。


(写真:アフロ)


――なるほど。それでは最後に何かあればお願いいたします。


相馬さん

民泊に関しては、いまは過渡期なのかな、と思っています。LCC(低価格の運賃で運航サービスを提供する航空会社)も、最初はいろいろ言われていましたが、いまはかなり定着しています。民泊もそのようになっていくのではないでしょうか。


――用途にあわせて宿泊者が宿泊方法を柔軟に選択していく、というイメージでしょうかね。

ありがとうございました。

「民泊」+「時間貸し」という選択

勉強になるとはこのことでしょうか。しかし別の角度からもお話を聞いてみたいですね。というわけで、行きましょう。

お次にインタビューに答えてくれるのは、株式会社スペースマーケット・貝塚健マーケティング部部長です。同社は、部屋や会議室などの「空いているスペース」を時間単位でwebを通じて貸し借りできるサービスを提供しています。さらに、民泊新法の施行にあわせ、民泊施設を含む宿泊施設を提供したい人と利用したい人をつなぐ新たなプラットフォーム、「スペースマーケットSTAY」を開設する、とのこと。


株式会社スペースマーケット・貝塚健マーケティング部部長。「民泊ホストにとって、『民泊+時間貸し』の2通りの貸し出し方が、ソリューションとなる」と語る。


それでは、仕入れたばかりの民泊新法の知識を持って、民泊ビジネスのプロ(二人目)へ突撃! 


――貝塚さんからご覧になって、民泊新法は業界にどのような影響を与えると思われますか?


貝塚さん

現状、法律的にはグレーな状態で民泊施設を提供しているホストも多いと思いますが、民泊新法施行によって民泊市場全体が健全となり、新規参入するホストや企業も増えるでしょう。これによって、市場全体が大きくなり、人々の時間や場所の使い方、旅行のあり方などが大きく変わるのではないかと期待しています。

ただし、民泊新法が施行されると、民泊ホストは年間上限180日の規制がかかることになります。つまり、年間180日を超えて民泊を提供することができないわけです。365日フル稼働を前提にしていた民泊ホストからすると、収益が半分になってしまう、ということです。

では、残りの185日をどうするか。これは民泊ホストにとって、大変悩ましい問題です。そこで、スペースマーケットでは、「民泊+時間貸し」という2通りの貸し出し方を組み合わせて、効率的に運用することを提案しています。実際、スペースマーケットでは「住宅」の時間貸しがとても人気で、パーティーや撮影、会議など様々な用途で利用されています。


――なるほど。有効活用、ですね。では、そもそも論ですが「民泊」と「時間貸し」の違いはどこにあるのでしょうか?


貝塚さん

いい質問ですね。よく聞かれる質問です。旅館業法に沿ってお答えすると、「宿泊」があるかどうか、ですね。宿泊があるかどうかは、つまり「寝具を提供しているかどうか」ということになります。


――なるほど。そんな違いがあるのですね。

それでは、民泊の魅力はどこにあると思われますか?


貝塚さん

「シェアリングエコノミー」でしょう。(個人と個人がやりとりすることで)いままで体験できなかった深い体験ができるようになります。ホストとのコミュニケーションの楽しさもあります。

民泊ホストも、宿泊するゲストもお互いにレビューを書かれるので、そうした意味でお互いの「透明性」もあると思っています。

またホテルと比べて多様性があること、値段が安いことも魅力のひとつです。


(写真:アフロ)


貝塚さん

選択肢が増えることは、いいことだと思っています。いまや、時間や場所の使い方が変わってきています。企業のオフサイトミーティング(会社の外へ出て行う会議)などでも、日帰りから宿泊に変化しているところもあります。「泊まってゆっくり話そう」と。企業に限らず、パーティーや忘年会、家族旅行なども多様化し、自分たちならではの楽しみ方をカスタマイズする人たちが増えています。

また、民泊や時間貸しによって、日本全国にある、空き家などの遊休資産を安全に利活用できるようになります。社会問題化している空き家問題の解決の一手段にもなると思っています。


――なるほど。民泊が社会問題の解決法にもなるんですね。

ありがとうございました。


さて、いかがだったでしょうか。複雑に見えた民泊事情、少しクリアになったのではないかと思います。

ともかく、2018年6月に行われる民泊新法の施行、楽しみですね。注目しながら、待つことにいたしましょう!


(インタビュー・記事・写真 佐野俊輔)


最終更新日:2017年11月30日


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