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<北欧>両親からの贈り物 小さな部屋の巨大なソファベッド

2018年02月16日

佐野 俊輔

<北欧>両親からの贈り物 小さな部屋の巨大なソファベッド

北欧デンマーク〈座る〉紀行 #9

<北欧>両親からの贈り物 小さな部屋の巨大なソファベッド

インテリア知らずの不粋な38歳男が、お洒落インテリアデザインの本場・北欧デンマークを中心に、シックで小粋でハイカラな椅子やらソファやら、理想の〈座る〉を追うこの企画。前回「最終回」とお伝えするも、舌の根乾かぬうちに早々にカムバック、リターンズ企画として再登場です。


家の中で快適に過ごしたい北欧の人たちにとって、〈座る〉という行為は、日々暮らすうえで欠かせないはず。そんな仮説をもとに、「市井の人たち」を先生に見立て、インタビューを通じて、そのポイントを教えてもらいます。インテリアのプロではない彼らの、リアルな暮らしぶりをあらためてご覧ください。


今回は、コペンハーゲン郊外に住むデイヴィッドさんにアタック。さてさて、どんな〈座る〉に出合えるでしょうか。


【取材概要】

今回の先生:デイヴィッド・ヤコブセンさん(22歳)

素敵ハウスの場所:デンマーク コペンハーゲン

素敵ハウスの築年数:42年

木々に囲まれたフラットな集合住宅

シェラン島に位置する、デンマークの首都・コペンハーゲン。デイヴィッドさんの素敵ハウスは、コペンハーゲン中央駅から電車に乗ること20分、駅から10分ほど歩いた静かな場所にありました。


薄暗がりの中に浮かぶ家の光。カーテンをしないのも非常にデンマーク的。隣の家ともつながっています。

1か月ほど前に切られたという庭の大木。楓のような形の美しい切り株です。


ユラン半島の地方都市フレデリシアから首都コペンハーゲンに移り住んだデイヴィッドさん。現在は科学の勉強をしつつ、ある家族の家で、ひと部屋間借りさせてもらっています。しかし、この部屋に住むまでに、紆余曲折あったとのこと。

「最初の部屋は1週間しか居られなかったんだ。とても気に入っていたのにね、一緒に住んでいた人から、『この部屋はもう使えないから出て行ってくれ』と言われたんだよ。仕方がないから、新しい部屋を探した。1か月住んだあとにまた同じことになって。フルタイムの仕事があったのに、いきなり首も切られたりした。散々だよ。それから、この部屋にたどり着いたんだよ。でこぼこ道を行く経験っていうのは、なかなかないことだから、いい経験にはなったけど……」。

「たどり着いたらいつも雨降り」(※1)というべきか、「たどり着いてもいつも雨降り」というべきか。

幸いなことに、いまはパートタイムジョブで、ハンディキャップを持つ人たちの支援をしている、とのこと。


(※1)ご存じシンガーソングライター・吉田拓郎さんの名曲。1972年発表ですが、疲れた現代人にこそ必要な気がします。心の置場、捜したいですよね。


ほかの部屋はご家族が使われているので、玄関のみをパシャリ。この場所だけで、4枚もの絵画やイラストが! 

部屋を占拠するソファ

それでは早速インタビュー開始です。

声をお聞かせできないのが残念ですが、デイヴィッドさんの「バス」ボイスが部屋に響きます。


――あなたの好きな椅子、もしくはソファについて教えてください。


デイヴィッド

このソファだね。リラックスできるナイスなソファベッドだよ。背もたれの高さもいいんだ。小さい部屋だからね、ソファにもベッドにもなるというのはとても便利だよ。大きなクッションもお気に入りのポイント。

値段も3,000DKK(デンマーククローネ)(1月下旬現在、1DKK=約18.16円。換算で約54,500円)だから、安くはないけれども、めちゃくちゃ高いわけじゃないのもいいよね。

この部屋に引っ越したときに、オーフスに住む両親がプレゼントしてくれたんだ。部屋を見た彼らが「デイヴィッド、あなたには寝る場所が必要ね」と言ってね。

僕に十分なお金はない。それでも、両親は金銭的なサポートはしない。家賃を出してくれるようなこともない。その代わりに、子どもを助けるようにと、何かを選んで贈ってくれるんだ。僕の兄は、巨大なテレビをもらっていたよ。

白い部屋に映えるダークグレー。なお、部屋の半分を占拠しています。

“ちょうどいい感じ”の背もたれを実現する、大きなクッション。


――このソファ、どんな風に使っていますか。


デイヴィッド

ここに座ってパソコンをしたり、映画やテレビを観たり、ゲームをしたり。足も伸ばせるからとてもいい。長く座っているとリラックスして何もしなくなっちゃうから、「何とかしなくちゃ!」と思うけどね。ははは。

起きているときのデイヴィッドさんの定位置。


ソファベッドだから、夜にはここで寝るんだ。

「こんな風に引っ張り出すんだ!」と実演してくれるデイヴィッドさん。外からわからないほど、システマチックです。

寝姿実演中。寝るときも見守っていると思われるぬいぐるみに気をひかれます。ちなみに、折り畳み式の椅子(二脚)が気になったので「退かしていいですか?」と尋ねると、即答で「ダメ」と言われました。無造作に見えるけど、実はインテリアとして機能しているとか……?


――デイヴィッドさん、さっきから気になっていたのですが、このぬいぐるみは一体……?


デイヴィッド

名前は特にない。“ボーム・バムセン”だね。読んで字のごとく“茶色の熊”だよ。僕が生まれたときからずっと一緒なんだ。予定よりも6週間も早く生まれてしまって、しばらくカプセルの中にいたんだけどね、その間にお父さんとお兄さんが近くの玩具屋さんで買ってきてくれた。おじいちゃんが撮ったビデオにも僕と一緒に彼が写っているんだ。

トルコ、エジプト、ギリシャ、ポルトガル、旅行のときも連れて行ったよ。いまや彼はソファの一部になっているけれどもね。

デイヴィッドさんの暮らしを見守る茶色い熊くん。顔がちょっと上向きなのが可愛い。

そんな彼を抱きしめるデイヴィッドさん。大きな体に、小さなぬいぐるみ。人は、こんなにも穏やかな表情になれるのですね。


――さてさて、私は理想の椅子やらソファやらを探しているのですが、どうやったら見つかりますか。何かアドバイスがあれば教えてください。


デイヴィッド

何はともあれ、座ってみることだよね。これはシンプルなアドバイスだよ。アーティスティックだったり、デザイン優先だったりする椅子やソファもあるけれども、ね。それから、柔らかすぎるものは避けること。ある程度硬さがあって、安定するものがいいよ。

お金があれば、新品を買えばいいけども、そうでなかったら、“ゲンポゥス・ブティック”、つまりリサイクルショップに行くといいよ。“ゲンポゥス・ブティック”だよ、“ゲンポゥス・ブティック”!

(※私がうまく発音できないので、面白がって何度も繰り返したデイヴィッドさんでした……)

取材終盤に、ピアノの演奏。「この曲知ってる?」と言って彼が弾いたのは、日本の名作RPGゲーム・ファイナルファンタジーの曲でした(私はドラクエ派だったので残念ながら存じ上げず)。ジャパニーズカルチャーの“浸透力”の強さを感じる瞬間です。なお、彼は映画にも精通しており、古今東西の作品問わず、大変博学なのでした。

恒例のおまけ、素敵ハウス探索

それでは最後に、デイヴィッドさんの素敵ハウスの素敵ポイントをご紹介。

薄い布が張られた照明。何だろう、何故だか懐かしい。日本的な空気がほのかに漂います。

壁に掲げられたアートパネル。右はお母様からの贈り物。家族が大好きなヤコブセン家らしい飾りもの。「家族は、木の枝のように、同じ根を持っている」。

部屋の内側にあるドアノブ。非常にデコラティブです。さらにその下には鍵が。デンマークの家の鍵(ロック)はいまだにこうしたレトロな形のものが残っています。

玄関の呼び鈴。こちらも非常にデコラティブです。プレートの蜘蛛の巣はご愛敬、ですかね。

【今回の学び】

理想の〈座る〉を求めた9回目、いかがだったでしょうか。今回の取材を通じた〈座る〉の学びをあらためて。


1.贈り物にソファを選ぶ

「ソファを贈る/贈られる」という話は、はじめて耳にしました。贈り物と聞くと小物が頭に浮かぶ私にとっては大変な驚きです。しかし、毎日使うものが贈り物だと、贈ってくれた人のことをいつも想うことができそうですよね。“Out of sight, Out of mind(「見えなくなるものは忘れられる」)”とは言いますが、これだけ大きければ、視野に入るのは容易そうです。


2.ソファに誰かと座る

デイヴィッドさんのソファには、茶色いぬいぐるみの熊くんがいました。ひとりだけど、ひとりじゃない、そんな状況だって、自分でつくれるのかもしれません。誰かと一緒に座れる人はその人と、座れない人はぬいぐるみでもいいのでしょう。昔、「可愛いはつくれる!」というCMがありましたが、その論法でいけば、「幸せはつくれる!」ですね。


――ところで、デイヴィッドさん、どことなく、映画監督のクエンティン・タランティーノさんに似ていましたね。そういえば、映画好きだって言っていたような。人は好きなものに似るんでしょうか? 

あらためて、皆さんが素敵な椅子やソファに出合えることを祈っています。また会える日まで、ごきげんよう!


(取材・文・写真 佐野俊輔)

最終更新日:2018年02月16日

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