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今回はマンション用地の「仕入れ」についてご説明したいと思います。
新築マンションの分譲においては建設用地を買収することを指しますが、「どこでもいい」というものではないため仕入れは実に大変な仕事です。
Ryuji / PIXTA(ピクスタ)
数十世帯が入居するマンションは大型の建物になるため、建築にあたってのハードルは戸建に比べるとはるかに高くなります。
500世帯以上の地権者を森ビルが執念でまとめ上げ、約17年かけて再開発を完了させた六本木ヒルズのような事例は例外中の例外で、通常はマンションが建てられるような土地を入手できて初めてマンション事業がスタートします。
PIXTOKYO / PIXTA(ピクスタ)
不動産業においては分野が変われば「仕入れ」の意味が変わってきますが、新築マンションの分譲においては新たなマンション用地を買収することを「仕入れ」と呼びます。
筆者が在籍していた会社では各支店に置かれた事業部が仕入れを担当していましたが、期間としては短かったものの筆者も事業部に在籍していた時期があります。
マンション事業を継続していくためには、販売活動を行いながら来期以降の売り物件も常に一定数以上準備しておかなければならないため、仕入れというのは大変に重要な仕事です。
部長、課長といったレベルになれば独自のルートから土地情報を入手することも可能ですが、そういうものを持たないヒラの部員はひたすら足で情報をかき集めなければなりません。
土地の情報が一番多く集まるのは地域に根差した不動産会社であるため、担当エリア内の業者を何度も訪問して人間関係を築き、とっておきの情報を他社に抜かれないように努めていました。
入手した土地情報の中で有力なものについては事業部長から支店長、役員へと上げられていきます。
モデルルーム分も含めて採算がとれることfreeangle / PIXTA(ピクスタ)
有力な土地については建築プランを立てて建築費を試算しますが、概算であればほんの数日で数字が上がってきたような記憶があります。
その地域の相場から算出した坪単価で販売した場合、モデルルームに要する経費を含む販管費を加えても一定以上の採算が取れることが必要です。
規模が小さい場合は周辺に別の土地があること
ABC / PIXTA(ピクスタ)
利益を出しやすい大規模物件に対し、総戸数が30戸前後の中小規模の物件の場合は単独で事業化してしまうと利益を確保するのが困難です。
たとえそのような場合であっても、近隣で別の土地を合わせて仕入れることができればモデルルームを共有化することができます。
それによって販管費をコストダウンできれば利益を確保できるため、ゴーサインが出されます。
駅から遠くても大規模物件が可能ならゴーサインが出る
m_betsy / PIXTA(ピクスタ)
利便性が命のマンションでは、最寄り駅から徒歩10分以上になるとどちらかというと敬遠され、バス便となると論外になります。
しかし数百戸という規模をもつ大規模物件になれば共用部分を充実させることにより不便さをカバーさせることができるため、「なんでこんな場所に?」というような案件であってもゴーサインが出される場合があります。
よっちゃん必撮仕事人 / PIXTA(ピクスタ)
仕入れにおいて購入希望者が入札を行って買主を決定する場合と、売主と買主が1対1で売却交渉を行う相対(あいたい)取引の2通りのやり方があります。
入札の場合は高めの価格を設定しなければならないため利益の確保が難しく、なるべくなら相対取引で進めたいというのがマンション業者の本音ですが、そういう美味しい話は滅多にあるものではありません。
以前にも書いたことがありますが、マンション業者はマンションを売ることしか知らないため、土地を買ってマンションを建てて売るというサイクルを回し続けないと倒れてしまう自転車操業のような世界です。
全国各地でマンションの建設工事が行われていますが、その陰で土地を仕入れるために足を棒のようにしている人たちがいることを知ってください。
最終更新日:2018年10月10日
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