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土砂災害警戒区域に指定されると建築制限を受けるの?

2019年11月07日

日刊Sumai

土砂災害警戒区域に指定されると建築制限を受けるの?

土砂災害警戒区域に指定されると建築制限を受けるの?

ここ数年、日本各地で大雨等による土砂災害などの甚大な自然災害が発生しています。

国は、国民の生命と身体を守るため2000年5月に土砂災害防止法を制定し、2001年4月に施行しました。土砂災害防止法は、土砂災害の恐れがある区域を明らかにして警戒避難体制の整備、一定の開発行為の制限等を推進するものです。

この法律によって指定される「土砂災害警戒区域」と「土砂災害特別警戒区域」では、建築の制限等に大きな違いがあるといいます。 例えば自分の住む地域が「土砂災害警戒区域」に指定された場合、建築制限は受けるのでしょうか? 宅地建物取引士の高幡和也さんに教えてもらいました。

土砂災害警戒区域とは?

ysnature / PIXTA(ピクスタ)

土砂災害防止法(正式名称「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」)は1999年6月の広島市、呉市等における大規模土砂災害を契機として制定されたものです。

国土交通省によると土砂災害警戒区域とは、「急傾斜地の崩壊等が発生した場合に、住民等の生命又は身体に危害が生じるおそれがあると認められる区域」としています。

この区域に指定されると当該市町村によって危険の周知、警戒避難体制の整備が行われます。

具体的には、各市町村の地域防災計画において、警戒区域ごとに警戒避難体制(情報の収集・伝達、予警報の発令及び伝達、避難、救助等)に関する事項や、災害時要援護者(高齢者等で自力避難が困難な方)の円滑な警戒避難を実施するため土砂災害に関する情報等の伝達方法を定めます。 このほか、土砂災害ハザードマップによって周知の徹底をすることになります。

Mills / PIXTA(ピクスタ)

また、警戒区域内の土地や建物の売買等を行う場合、宅地建物取引業者はその土地建物が警戒区域内である旨について重要事項の説明を行うことが義務付けられています。

このように土砂災害警戒区域については、危険の周知や避難体制の整備などに一定の義務が生じますが、「建築の制限や開発行為についての制限」は設けられていません。

例えば、自宅等が土砂災害警戒区域の指定を受けても、その他の関係法令を順守すれば、区域内での建築工事や開発行為(宅地造成など)、土地建物の売買等について土砂災害防止法による制限は受けません。

土砂災害特別警戒区域とは?

Yo / PIXTA(ピクスタ)

国土交通省によると土砂災害特別警戒区域とは、「急傾斜の崩壊に伴う土石等の移動等により建築物に作用する力の大きさが、通常の建築物が土石等の移動に対して住民の生命又は身体に著しい危害が生ずるおそれのある崩壊を生ずることなく耐えることのできる力を上回る区域」としています。

土砂災害特別警戒区域内では、土砂災害警戒区域で行わなければならないことに加え、住宅・宅地分譲や社会福祉施設、幼稚園、病院等の特に防災上の配慮を要する者が利用する施設を建築するための開発行為(特定開発行為)は、都道府県知事の許可が必要となります。

また、土砂災害発生時の土石等の移動・堆積の力に耐えられるよう、居室を有する建築物の構造が規制されます。 実際に急傾斜地の崩壊等が発生した場合は、都道府県知事はその住民(建築物の所有者など)に対して、特別警戒区域から安全な区域に移転する等の土砂災害の防止・軽減のための措置について勧告することができます。

これ以外にも、宅地建物取引業者には特別警戒区域内の宅地や建物の売買等を行う場合、特定の開発の許可について重要事項説明を行うことなどが義務付けられています。

スイマー / PIXTA(ピクスタ)

このように土砂災害特別警戒区域では、建築工事や特定の開発行為については一定の「制限」を受けることになります。

一方、特別警戒区域内の施設設備に対する防災工事や区域外への移転等に対しては、独立行政法人住宅金融支援機構の融資を受けられたりする等の支援制度もあります。

土砂災害警戒区域と土砂災害特別警戒区域との大きな差は、それぞれの区域内における行為制限(建築や開発)の有無と、支援制度の有無にあります。

いずれも住民の生命と身体の安全を守るためのもの

Graphs / PIXTA(ピクスタ)

土砂災害警戒区域や土砂災害特別警戒区域に指定される場合、これらを指定する都道府県は、当該市町村長の意見を聞いたり、関係住民には説明会などを開催して伝えます。 ただし、両区域の範囲については、法で定める地形上の基準により客観的に定まるものですので、関係住民の意見等により区域を変更することはありません。

両区域に指定された場合の地価下落の懸念や、その指定基準の要件(がけの傾斜30度以上や高さ5m以上、渓流の勾配等、その他)についてはいろいろな意見がありますが、いずれの区域指定も住民の生命と身体の安全を守るための対策です。 現在の居住地付近がいずれかの区域に指定された場合は、その目的と内容をしっかり理解し、減災に役立てましょう。

また、これらの区域に指定されなかった場所なら、絶対に土砂災害が起こらないという保証はどこにもありません。

いつ起こるか分からない土砂災害から自らの身を守るためには、都道府県や市町村が提供している各種ハザードマップや、居住地付近の地形特性などを日頃から十分に認知して、万が一に備えることが大切です。


【参考】 ※ 国土交通省「土砂災害防止法の概要」 ※ 国土交通省「全国における土砂災害警戒区域等の指定状況」 ※ 神奈川県土砂災害情報ポータル「よくある質問」

最終更新日:2019年11月07日

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