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リゾナーレ 八ヶ岳が再生するための行った工夫とは?

2014年12月02日

TKO-M.architects

リゾナーレ 八ヶ岳が再生するための行った工夫とは?

リゾナーレ 八ヶ岳(その2)

リゾナーレ 八ヶ岳が再生するための行った工夫とは?

ピーマン通り

なにが変わった?

その1でも書いたようにリゾナーレ 八ヶ岳はもともと会員制リゾートだった施設の運営を星野リゾートが引き継いだものです。ではどのように変えたのかをハードを中心に見てみたいと思います。星野リゾートでは開業当初からいる従業員を解雇せず、一緒に今までのやり方を考えさせる事から始めるようです。それはホテル自体のコンセプトは間違っていないかという根本的な部分から、悪い所はどう変えるか・良い所はどう延ばすかという具体的な事までです。そこで働く人の中から生み出したアイディアを自らが実践することでやる気も変わるという訳です。

大人のためのFamily Resort

今までは会員制という事もあり、高級感を売りにして大人のカップルを中心にターゲットを定めていました。それを「親も子も楽しめるリゾート」としてターゲットを小学生以下の子供がいる家族連れに大きく方向転換したのです。そこで最初にハード的な変更をしたのが「ピーマン通り」と名付けられた石畳の回廊です。両側には3階建ての客室があったのですが、ピーマン通りに面する一階の客室をすべて物販や飲食などの店舗にリニューアルしたのです。それは設計者であるマリオ・ベリーニが意図した「中世イタリアの山岳都市」というコンセプトを受け取り、あるべき姿に戻したと言っても良いかもしれません。前経営者は設計者の意図をくむ事より、客室数を増やす事を重視したのかもしれませんが、星野リゾートはそこをまず再生させたのです。

ピーマン通り俯瞰


閉鎖的空間から開放的非日常空間に

「ピーマン通り」は“八ヶ岳の素敵な暮らし”をテーマに、八ヶ岳ならではの地域性が感じられるお店が軒を連ねます。この地域でとれた野菜を利用した飲食店やこだわりのパン屋、近くの森の材料を活かした雑貨屋さんなど、近所の人も日常使いで気軽に利用する空間へと変容したのです。週末には採れたての野菜や果物を売る農家の方が回廊にマルシェを開いたり、周辺のワイナリーが集まり、その土地のワインをテイスティング出来るイベントを催したりと季節にあわせた様々な企画をホテル側は考えているようでした。そうする事でホテル利用者はもちろん、他のホテル利用者・地元の方もふくめ誰もが普通にショッピングする場となって、相互コミュニケーションが生まれる本当の山岳都市になっていったのです。

様々な店舗やマルシェが出店しています


設計の意図を解説します

この「ピーマン通り」、建築的にとても良くできているのです。きっとマリオ・ベリーニは訪れた人が楽しく歩ける街路空間を実現するため、様々なイタリア山岳都市の街路商店街を観察・分析し、その要素を抽出して設計に反映したのではないかと思います。
エントランスゲートをくぐると左側はゆっくりとカーブしながら曲がっていく建物が見えます。右側は直線的に進み、アイストップとなるベリーニタワーの所で折れ曲がっています。その折れ目のタワー横には小さな広場がありカフェのように広場まで客席がはみ出しています。つまり道の左右の建物は平行に配置されているのではなく、通路が広場とタワー横で一番幅広くなるように設計しているのです。折れ曲がる場所に自然と人が溜まる事を設計者は知っていて、あえて広場や広い通路を設計しているのです。
もっと驚くのはエントランスからゆっくりと引き込むように下り坂になっている点です。広場が一番低くなっており、そこを過ぎると逆に上り坂となって「ピーマン通り」が終わります。来た道を振り返ると一番高い所から通路全体が見返せるよう演出されているのです。
左側の少しずつ湾曲する建物は視線を奥へと引き連れ、また一階外壁の横目地ストライプはより効果的に奥行きを強調することで先への期待感を感じさせます。そして雨天でも濡れずに通れる軒先があることで、店舗、屋根付き回廊、マルシェ、通路というレイヤーが発生し、様々な大きさの空間が生まれています。
このように様々な建築的仕掛けがあることで楽しい回廊空間が実現しているのです。

私がマルシェでパンを買っていると、奥の方の階段から家族連れが降りてきました。ホテル宿泊客なのですが、まるで本当の外国の商店街に来てしまったような感覚に陥った瞬間でした。

左側と右側の屋根付き回廊。左はゆっくりとカーブ、右は直線なのが分かります


ピーマン通りの終点から見返す(坂になっています)


テーマパークとは違う理由

この「ピーマン通り」は明らかに日本古来のものではなく、急に空から降って来た異空間です。しかしテーマパークにある表層だけの張りぼて空間がもつ嫌な違和感はありませんでした。この異世界は、街路スケールやその空間演出、本物の素材と技術など隅々まで考え抜かれた空間でした。異空間であってもそこに嘘は無かったのです。
ぜひリゾナーレ 八ヶ岳に足を運んで頂き、誰でも入れる「ピーマン通り」を5感で感じて頂ければご理解して頂けるはずです!

ピーマン通り平面図



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最終更新日:2018年09月28日

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