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お金持ちじゃなくとも相続トラブルは発生する 「相続」事前準備...

2019年02月15日

Yahoo!不動産編集部

お金持ちじゃなくとも相続トラブルは発生する 「相続」事前準備の重要性

よくわかる初めての「相続」#1

お金持ちじゃなくとも相続トラブルは発生する 「相続」事前準備の重要性

写真:アフロ

他人事ではない「相続」のお話。家族の数だけトラブルがある

読者の皆さんは「相続」という言葉に、どのようなイメージをお持ちでしょうか。


親側からすると「まだ元気だし、当分、先の話」「資産家ではないので、相続税が課される心配はしていない」など、自分とは無縁と思っている人が大半でしょう。あるいは「今から自分の死を考えろというのか。縁起でもない」と不愉快に感じる人も中にはいるかもしれません。


他方、子供側からすると「うちの兄弟は仲がいいので、もめることはない」「相続と言われても何をしたらいいのか分からないので、すべて税理士にお願いするつもり」、さらには「自分たちから話を持ち出すと、親の機嫌を損ねそうで気掛かり」「そもそも両親がどのような資産を持っているか知らない」という人も少なくないはずです。


しかし、高齢社会白書(平成29(2017)年版)によると、2012年時点で約462万人だった65歳以上の認知症患者数が2025年には約700万人になると推計されています。高齢者の約5人に1人が認知症に罹患する計算です。そのせいか、ある司法書士は「判断能力の低下した認知症の母親と同居している長男が母の預金を勝手に引き出し、使い込む恐れがある」と指摘します。


その遠因とされるのが「家督(かとく)相続」です。家督相続とは兄弟が何人いようとも、長男がひとりで全財産を引き継ぐという考え方です。残された一家の長が単独で相続権限をすべて掌握してしまうのです。


時代とともに制度は見直され、今日では兄弟間の遺産分割は均等に改められました。それでも長男が親の財産管理を任されるケースが多く、事実、「本来は5000万円ある相続財産を次男と三男(男の三人兄弟で相続)には4500万円と嘘をつき、差額の500万円を長男が独り占めしようとした」という相続トラブルがありました。次男が父親から生前、遺産金額を聞かされていたため、500万円の不足に気付き、長男を問い詰めたのでした。今なお、こうした分割協議の不調が兄弟間トラブルを誘発する可能性が多分にあるのです。

報われない介護? 一生懸命がんばった妻に遺産をもらう権利はあるのか

ペイレスイメージズ/アフロ


さらに、加速する高齢化も相続トラブルの増加を助長しています。総務省によると総人口に占める15歳未満の子供の割合は12.3%。44年連続で減少しているのに対し、65歳以上の割合は27.8%と過去最高を記録しています(2018年5月公表の概算値)。少子高齢化の進展が相続の機会拡大につながるのは想像に難しくありません。


読者の皆さんの周囲でも、長男の妻が義理の両親(長男の実親)を介護している家庭を目にする機会は少なくないのではないでしょうか。しかし、現在の法律では長男の妻に遺産相続権は認められていません。長男の妻と義理の両親との間には血縁関係がないからです。いくら献身的に義理の両親の面倒を見ても、法律上、当然に相続権は主張できません。


そのため利害関係人で話し合い、たとえば慰労金といった名目で遺産の一部を長男の妻に割り振るケースはありますが、長年の苦労が十分に報われたと感じる妻は多くない印象です。「嫁として介護するのは当然」といった扶養義務に対し、妻が不快の念を抱くのも無理はありません。

お金持ちじゃないから大丈夫!? 相続トラブルが発生する金額はいくら?

こうした長男に采配が集中しがちな相続権限の帰属傾向や、義理の両親を介護しても金銭的な対価が十分に得にくい仕組みが災いしてか、家庭裁判所へ遺産分割の調停を申し立てる人の数が年を追うごとに増えています。


興味深いのは、資産総額別の割合です。【図表】は話し合いで解決できずに調停・審判による遺産分割を家庭裁判所に申し立て、決着した遺産分割事件の割合を資産総額別に円グラフ化したものです。資産総額5000万円以下が全体の4分の3(約75%)を占めており、同1000万円以下でも約33%と全体の3分の1に達しています。


【図表】資産総額別 遺産分割事件の割合

司法統計年報(2016年度)より作図(出典:裁判所ウェブサイト)


要は、少ない金額でも、もめる時はもめるのです。感情のもつれが、トラブルを増幅させているのです。相続とそのトラブルは大富豪だけの話ではなく、自分の身にも起こりうることが、お分かりいただけるでしょう。「相続」を「争族」にしないためには、家族間の“風通し”(良好なコミュニケーション)を良くしておくことが先決といえます。

そもそも相続とは何か――きっかけは「近い身内の死」と覚えておく

ここで改めて、そもそも相続とは何なのでしょうか?――


相続とは人の死亡をきっかけに、その人の財産をその人と一定の関係にある人が引き継ぐことをいいます。死亡により生じる財産上の権利・義務の承継が相続というわけです。そして、死亡した人を「被相続人」、財産を受け継ぐ人を「相続人」といいます。資産の世代間移転が主目的ですが、内助の功に対する謝意や遺族の生活保障といった意義も相続には含まれます。


不幸にして、飛行機事故で乗り合わせていた親(被相続人)とその子供(相続人)が同時に死亡した場合、両者の間で相続は発生しません。なぜなら、相続人は被相続人が死亡したときに生きていなければ相続の権利を得られないからです。この場合、子供に子供(親の立場からみた孫)がいると、その子が代わって財産を相続します。これを「代襲相続」といいます。


では、行方不明により生死が不明の場合はどうなるでしょうか。


特殊なケースとして、被相続人に「失踪宣告」がなされた場合にも相続は開始します。失踪宣告とは、生死不明者に対して法律上、死亡したものとみなす効果を生じさせる制度です。不明者の生死が7年以上明らかでないとき、家庭裁判所の宣告により7年を経過した日に死亡したとみなされます。

円満相続への近道は、ずばり「事前対策」にあり

写真:アフロ


さらに、相続には「一次相続」と「二次相続」があるのをご存じでしょうか。相続は被相続人の死亡という事実に基づいて、その瞬間に当然に発生するのですが、その際、父と母が同時に死亡するのはまれです。


たとえば父に先立たれた場合、母と子供が父の遺産を引き継ぐのが一次相続で、その後、母も亡くなり子供たちが残された財産を受け継ぐのが二次相続です。父と母の順番が逆でも取り扱いは変わりません。


税法上、配偶者には被相続人の財産形成に貢献している点を考慮して、税額軽減の特例が用意されています。この特例が一次相続では活用できても、相続人が子供だけの二次相続では活用できません。その結果、二次相続のほうが税負担が大きくなりやすく、子供たちは納税資金の確保に苦労することとなります。二次相続までを考慮した対策が求められるのです。


近頃は「終活」も活況で、われわれ日本人の死生観に変化が感じられます。「相続は時代を反映する」とは、よく言ったもので、少子高齢化による弊害が相続の姿を変えつつあります。


前段で触れた「判断能力の低下した認知症の親の預金を子供が勝手に引き出し、使い込む恐れ」を筆頭に、晩婚化や非婚化の増大によって子供のいない世帯も増えており、その結果、本人(被相続人)が遺産を承継させたいと思える人(遺志を受け継いだ相続人)が見つからないケースが珍しくなくなっています。特に、おひとりさま(生涯独身者)の相続は深刻化が予想されます。人口構成の偏在が、相続を“受難の時代”へと導こうとしているわけです。


今後、終活により自身の終期を前向きに受け入れる準備ができている人と、無知・無関心、まるで他人事のような意識の低い人が併存するようになり、円満で円滑な相続の実現に「差」が生じることでしょう。相続を考えることは、自身の終期と家族のその後を考えることに他なりません。残された相続人にとっても骨肉の争いを回避する術(すべ)となります。「相続」を「争族」にしないためにも、本稿を参考に当事者意識を心がけてください。事後ではなく、事前対策(入念な準備)こそが円満相続への第一歩となります。

(文:平賀功一)


【参考サイト】

最終更新日:2019年02月15日

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