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相続の対象となる財産・ならない財産 相続人になれる人・なれな...

2019年02月22日

Yahoo!不動産編集部

相続の対象となる財産・ならない財産 相続人になれる人・なれない人

よくわかる初めての「相続」#2

相続の対象となる財産・ならない財産 相続人になれる人・なれない人

写真:アフロ

「SNSのアカウント」は相続の対象となる財産になるのか?

ドイツの連邦裁判所から2018年7月12日、興味深い判決が言い渡されました。故人が利用していたフェイスブックのアカウントを司法が「遺産」とみなしたのです。


各種報道によると、ドイツで列車にはねられて死亡した15歳の少女の母親が、娘が死に至った理由の手がかりを見つけようと、生前、少女がフェイスブックに残したメッセージを閲覧できるよう、同社にアカウントへのアクセスを求めました。ところが、フェイスブック側は母親のアクセスを認めませんでした。故人のプライバシー保護を優先したのです。


そこで、母親は訴訟を提起。連邦裁判所は判決として、SNSのアカウントは日記や手帳と同様に故人の「遺産」に相当すると判示しました。アカウントの所有権は相続人に移行されるべきだとし、母親にアクセス権の相続を認めたのでした。


これはドイツでの判断に過ぎませんが、今後、日本国内においても「デジタル情報」をめぐる相続上の取り扱いに影響を及ぼすことは想像に難くありません。時代とともに相続財産の対象は変化しているのです。「デジタル遺産」という言葉を目にする機会は、ますます増えていくでしょう。相続財産は有形・無形を問いません。相続対策を実施するにあたり、いずれデジタル情報も被相続人(亡くなった人)の遺産になりえるとの認識を持つようにしてください。


さて、シリーズの2回目では「相続の対象となる財産・ならない財産」「相続人になれる人・なれない人」について解説します。まずは前者の「相続の対象となる財産・ならない財産」から見ていきましょう。

金銭に見積もることができる「経済的価値のあるものすべて」が相続の対象

ペイレスイメージズ/アフロ


相続の目的は、被相続人が有していた財産の円滑な承継です。そして、被相続人の死亡により生じる財産上の「権利」「義務」すべてが相続の対象になります。国税庁が毎年公表している相続財産の種類別内訳(平成28年分)を見てみると、「不動産(土地と建物)」が43.5%と4割超を占め、「現金・預貯金等」が31.2%、次いで「有価証券」が14.4%となっています。やはり相続財産といえば、不動産や現金、株式が主流となるわけです。


ただ、上述したように相続財産には被相続人が生前に保有していた「権利」と「義務」の両方の財産が含まれます。権利とは「プラスの財産」、義務とは「マイナスの財産」と言い換えできます。と同時に、相続の対象とならない財産もあります。分かりやすく具体例を示すと、下表のようになります。



相続というと、どうしても豪邸に住む大金持ちのイメージが付きまといますが、相続は人の死亡によって当然に開始する特性上、人間は必ず死を迎えることを考えると、その人の住まいが賃貸のマンションやアパートであろうと、相続は発生します。


その際、賃貸住宅の借主である父親が不幸にして死亡してしまった場合、一緒に生活していた母親や子供に「出ていってほしい」と相続の発生を理由に貸主から退去通告されたら、残された家族は困ってしまいます。


そこで、遺族が路頭に迷わないよう借地権や借家権は相続が認められています。賃貸借契約は父親の死後も有効に承継され、引き続き残された家族(相続人)は住み続けることができます。


また、マイカーや貴金属・美術品、さらに、ゴルフやリゾートマンションの会員権が相続財産の対象になるのは理解しやすいでしょう。加えて、特許権や著作権、商標権も相続できます。金銭に見積もることができる経済的価値のあるものすべてが相続の対象になるのです。

借金や連帯保証人など「マイナスの財産」も相続の対象となる

写真:アフロ


反面、もらって嬉しくないのが「マイナスの財産」です。住宅ローンの返済中に借主が亡くなった場合、その相続人が返済を引き継がなければなりません。未払いの税金や保険料、被相続人が分譲マンションの区分所有者であれば、管理費や修繕積立金の滞納もマイナスの財産として扱われます。マイナスの財産を引き継いだ相続人は、同時に返済義務も引き継ぐことになります。


さらに、注意したいのが保証債務です。保証債務とは、借金をしている人が返済できなくなった時に、その人に代わって返済(肩代わり)する借金を意味します。要は、連帯保証人の地位というわけです。


得てして、自分が連帯保証人になっていることを家族に知らせるのはまれです。遺産を調べているうちに見つかることも珍しくありません。しかし、時すでに遅し。借り手側が完済するか、あるいは貸し手側が債務を免除しない限り、相続人は保証人の呪縛から解放されません。相続人自身には何の罪もないのですが、相続した以上は保証債務を履行する義務を負わなければなりません。財産に関する法律上の地位のすべてが相続人に承継されるからです。


ただ、例外があり、被相続人固有の権利は承継されません。この権利を「一身専属権」というのですが、弁護士や税理士、医師などの資格、不動産関連では不動産鑑定士や宅地建物取引士など、一代限りで認められた権利は相続できません。

車やバイクの運転免許証も同様です。また、公的年金や生活保護の受給権も、当人(被相続人)が生きている間の生活保障を目的とする性格から、相続できません。相続したくても相続できないのが被相続人固有の権利なのです。


なお、冒頭で触れた「デジタル情報」について、2019年2月現在、国内では取り扱いに関する明確な規定がありません。トラブルの増大が予想されるだけに、早急な法整備が求められます。

胎児や養子にも相続権あり! 被相続人の遺志が最優先される

ペイレスイメージズ/アフロ


続いて、後半では「相続人になれる人・相続人になれない人」について見ていきましょう。


生前、被相続人が有効な遺言を残し、その遺言で法定相続人以外の人に財産を渡したいと記載しておけば、一定の制約はあるものの、その人に遺産を渡すことができます。相続の本質として、遺産の分割は故人の希望が最優先されるからです。つまり、被相続人の遺志により、誰にでも財産を渡せるのです。


とはいえ、「長い間、献身的に介護してくれたヘルパーさんに全財産を渡す」「愛人との間の隠し子に財産の半分を与える」と遺言されても、家族は黙っていません。分配の公平性に疑問符が付くからです。遺族の生活保障という相続本来の意味合いにも合致しません。被相続人の意向は尊重しつつ、利害関係者間のバランス調整が欠かせないのです。


そこで、民法ではバランスの均衡を図り、遺言書による相続分を除いて法定相続人が得られる財産(遺留分といいます)をきちんと保障しています。また、無用なトラブルを回避できるように法定相続人の範囲と順番を定めています。法定相続人になれるのは、被相続人の配偶者と一定範囲内の血縁関係者になります。一定範囲の血縁関係者とは、(1)被相続人の子、(2)直系尊属(父母もしくは祖父母)、(3)兄弟姉妹です。また、法定相続人になれる順番も定められています。配偶者(内縁の妻は不可)は常に相続権を持っており、血縁関係者の順番は次のようになります。


  • 第1順位:被相続人の子
  • 第2順位:被相続人の父母、祖父母などの直系尊属
  • 第3順位:被相続人の兄弟姉妹


第3順位までの人に、法定順位に従って順次、相続権が与えられます。優先度に応じて、相続財産の承継額も多くなるよう民法で定められています。


その民法では第1順位となる子供の範囲も規定しており、胎児はすでに生まれているものとして扱い、相続権を認めています。不幸にも、死産した場合には適用されない決まりです。


また、養子も相続人になれます。法律上、実子とみなされるからです。そのため、養子も実子と同じ相続分(相続割合)を持つことになり、しかも、実親と養親の双方について相続権が認められています。養子の親権は実親と養親の両者にあるためです。

認知症や精神障害などで「判断能力が不十分な人」は相続人になれるか?

写真:アフロ


その一方、相続人としての不適格者には相続権を与えないようにすることができます。


相続人となるべき人が故意に被相続人を殺害したり、詐欺または強迫によって遺言書を書かせたりした場合には相続人としての資格を失います。これを「欠格」といい、この相続の資格を失った人を「相続欠格者」といいます。欠格事由がある場合には何ら手続きを要さず、当然に相続権が喪失します。


また、被相続人が推定相続人(相続人となるべき人)から虐待や侮辱などの行為を受けた場合、あるいは推定相続人に著しい非行があった場合、被相続人は家庭裁判所に相続権の剥奪を請求できます。これを「廃除」といい、それによって相続権を失った人を「相続廃除者」といいます。この廃除は遺言によって行うこともできます。

 

さらに、認知症や精神障害などで意思能力が不十分な人は相続人になれるか?―― 最後に触れておきます。


結論から申し上げると、相続人になれます。ただ、意思能力が不十分な相続人を交えて遺産分割協議をしても、その効果は無効または取り消すことができるものとして扱われます。そのため、家庭裁判所に選任の申し立てをし、選ばれた成年後見人や保佐人といった代理人に意思表示してもらう必要があります。成年後見人とは法律行為の代理や財産の管理、身の回りの世話などを行う人です。分配の公平性が揺るがないよう、代理人の力を借りながら円満相続の実現を目指してほしいと思います。


(文:平賀功一)


【参考サイト】

最終更新日:2019年02月22日

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