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“争族”回避の有効ツールとなる「遺言」――その必要性と特徴を...

2019年03月08日

Yahoo!不動産編集部

“争族”回避の有効ツールとなる「遺言」――その必要性と特徴を知る

よくわかる初めての「相続」#4

“争族”回避の有効ツールとなる「遺言」――その必要性と特徴を知る

写真:アフロ

すべてに優先される遺言 相続人には内容を執行する義務がある

言葉は時代(世相)を表すとは、よく言ったものです。辞書を引いても「争族」という言葉は出てきませんが、おそらく読者の皆さんの中で、その意味を知らない人はいないでしょう。多くの人が「争族」=「遺産分割によるトラブルが原因で手続きが円滑に進まない相続」と理解しているはずです。こうした認知度の高さが「多発する争族」の現状を代弁しており、誰もが身近な出来事と感じていることを裏付けます。


事実、相続人同士では解決できず、家庭裁判所に調停や審判を申し立てる件数は年間1万5000件前後で推移しています。およそ10年間で約3万件増えています(図表1)。遺産分割とは、換言すれば「財産の取り合い」です。利害が絡む以上、親子や兄弟といった親しい間柄であっても摩擦を生じるのは不思議ではありません。どのような家庭、家族関係においても争族に陥る可能性は常に潜在しています。


(出所)最高裁判所「家庭裁判所における家事事件の概況および実情ならびに人事訴訟事件の概況等」※文末の参考サイトも参照


そこで、無用なトラブルを未然に防ぐべく、有効となるのが遺言です。遺言とは死ぬ前に故人が残した最後の言葉(意思表示)です。相続分あるいは遺産分割方法を指定したり、財産の処分に関する事項を書き込むことができます。一定の方式さえ守っていれば、内容についてはどのようなことを書いてもかまいません。


なぜ、遺言が“争族”回避の有効ツールとなり得るのか?―― それは、遺言の効力が法定相続分(法律に定められた分割割合)や遺産分割協議(相続人同士による話し合い)に優先するからです。たとえば、次男が実家の所有権を引き継ぎたいと望んでも、遺言に「実家の所有権は長男に譲る」と記載されていれば、その内容が優先されます。親の遺志を尊重し、その思いを実現させようと次男であれば考えるはずです。結果、譲歩しようという心理が働き、遺言の内容に従うようになります。


このように、遺言には強い効力が備わっています。相続人には遺言を執行(実現)する義務が課されています。そのため、遺言の作成には厳格さが求められます。年齢が満15歳以上であり、意思能力(物事に対する判断能力)が要求されます。

3種類ある遺言 実用性は「公正証書遺言」に軍配!

写真:アフロ


遺言には(1)遺言者が直接自らの手で書く「自筆証書遺言」、(2)証人の立ち会いのもと、公証人が内容を筆記して作成する「公正証書遺言」、(3)遺言したという事実は明確にしたいが、内容は知られたくない場合に利用する「秘密証書遺言」の3種類があります。そして、それぞれのメリット・デメリットを整理したのが【図表2】です。



この中で最も簡単に作成できるのが自筆証書遺言です。筆記用具や用紙に制限はなく、書式は縦書きでも横書きでもかまいません。外国語による記述も可能です。さすがに鉛筆の使用は控えるべきですが、手軽に作成できるのが魅力です。


反面、簡便さの裏返しとして紛失や改ざんのおそれがあります。こっそり引き出しにしまっていると、相続人に発見されない可能性も出てきます(下段の改正内容も参照)。


そこで、遺言の執行をしっかり担保したい場合には公正証書遺言が有効です。公証役場で証人2名以上の立ち会いのもと、遺言者の口述を公証人が筆記し、その筆記内容が正確であることを遺言者および証人が確認します。しかも、その遺言は公証役場に保管されるため、紛失や改ざんのリスクがありません。煩雑な手続きを伴いますが、実用性の面では公正証書遺言に軍配が挙がります。


3番目の秘密証書遺言は「遺言した」という事実は明確にしておきたい一方、その内容は知られたくない場合に利用します。証人に立ち会ってもらい、公証人も登場しますが、その役割は遺言者が自分で作成した遺言書の存在を証明してもらうことにあります。遺言の内容までは証人も公証人も確認しないため、秘密にすることができるのです。遺言の内容を誰にも知られないまま、執行は確実なものにしておきたいときに活用します。

形式の緩和で「自筆証書遺言」がより手軽に! 

写真:アフロ


遺言は、誰に対しても自由な配分で財産の行き先を指定できます。被相続人(亡くなった人)自らの意思で「どの財産を」「誰に」「いくら」承継するか決められます。すべての財産の具体的な分割方法を指定できるのが遺言です。


今後、さらなる高齢化が進展する中で、争族の発生は高止まりが予想されます。ますます遺言の必要性が高まります。こうした社会的背景を受けて2018年7月、相続に関する改正法が成立しました。自筆証書遺言が見直され、使いやすくなります。主な改正点は次の2点です。


主な改正点

  1. 添付資料となる「財産目録」は自筆が不要になる(2019年1月から実施)
  2. 法務局に遺言を保管できるようになる(2020年7月までの間に実施)


自筆証書遺言は全文を自書しなければいけません。添付資料も同様です。ただ、これでは遺言者の負担が大きいため、別紙となる「財産目録(財産一覧)」はパソコンなどにより作成してもかまわなくなります。また、一覧そのものの作成に代えて、登記事項証明書や預貯金の通帳などのコピーでも対応できるようになります。この改正は2019年1月から実施されます。


さらに、自筆証書遺言を法務局に保管できる制度も創設されます。自宅での保管は遺言の紛失や改ざんのおそれがあり、しばしば有効性をめぐる相続トラブルが問題になってきました。改正後は遺言の原本を法務局に預けられるようになります。これにより家庭裁判所での検認(遺言を開封して内容を確認する作業)が不要となり、使い勝手の向上が見込まれます。この新制度は2020年7月までの間に実施されます。


遺言は“争族”回避のための必須ツールです。遺言の有効活用こそが、円満相続実現の近道となります。家族関係が複雑なとき、家庭不和の場合、あるいは法定相続人以外の人に財産を渡したいとき、一人暮らしで相続人がいない場合など、特に遺言は役に立ちます。その必要性と特徴を理解することで、相続トラブルの軽減が期待できるのです。


(文:平賀功一)


【参考サイト】

最終更新日:2019年03月08日

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