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実家の家を相続 「不動産」はどう遺産分割すればいい?

2019年03月22日

Yahoo!不動産編集部

実家の家を相続 「不動産」はどう遺産分割すればいい?

よくわかる初めての「相続」#6

実家の家を相続 「不動産」はどう遺産分割すればいい?

写真:アフロ

相続人の1人でも遺産分割に反対すると、分割協議は成立しない

相続とは人の死をきっかけに、その死亡により生じる財産上の権利・義務すべてを相続人が承継することです。近年、わが国では長寿命化により「人生100年時代」と言われる一方、その裏では「多死社会」とも呼ばれるようになっています。すでに人口動態は出生数より死亡数のほうが多く、誰もが相続を「自分のこと」として捉えなければならない時代に直面しています。それだけ相続が身近になっているということです。もはや他人事ではなくなっています。


その相続をもめごとなく終了させるには、滞りなく遺産分割を済ませる必要があります。遺産分割とは、相続財産を各相続人に分属させる手続きを指します。トラブルの原因が遺産分割に起因する場合が少なくないため、「どの財産を」「誰に」「いくら」承継させるか?―― すべての相続人が結果に納得いくよう善処する努力が求められます。


ここで遺産分割の流れを確認しておくと、次のような順番で手続きは進められます。


遺産分割の流れ

(1)遺言がある場合は、その内容に従って分割する

(2)遺言がない場合は、相続人全員による話し合いで決める

(3)話し合いで決まらない場合は、家庭裁判所で解決を図る


遺言で指定された相続割合は優先的に扱われます。そのため、財産の分割方法が遺言に具体的に記されていれば、その指定内容に従って遺産分割します。しかし、遺言がない場合は話し合いで決めなければなりません。遺言がなく相続人が複数いる場合、相続財産は“相続人全員の共有”になるため、1人でも分割協議に参加しない、あるいは分割割合に納得しない人がいると協議は成立しません。満場一致が求められるのです。こうしたハードルの高さが遺産分割協議の一致を難しくします。


いったん亀裂が生じてしまうと、修復は容易ではありません。家庭裁判所に調停(調停委員を介した当事者間による任意の話し合い)の申し立てをし、調停でも決着しない場合は審判(通常の訴訟における判決と同じ)に移行して裁判官による分配を図ります。


地方の住宅を相続しようにも資産価値がゼロに等しければ、建物の修繕費や固定資産税などの負担(出費)が大きくなるため、誰しも相続に難色を示します。故人に住宅ローンなどの借金がある場合、その返済を引き継ごうとは思わないでしょう。遺産分割が一筋縄でいかないのは、“お荷物”となる財産を押し付けられたくないからです。誰だって面倒は引き受けたくありません。

遺産分割による相続分を調整する仕組み「相続の放棄」「遺留分」「寄与分」

写真:アフロ


そこで、相続税法には上例のような“押し付け”を回避したい人への救済策が用意されています。その代表格が「相続の放棄」です。相続の放棄とは相続人としての権利(相続権)を完全に捨てる行為であり、各相続人が自分の意思で自由に決断できます。他の相続人の合意は不要です。


ただ、相続権を完全に失うため、初めから相続人ではなかったものとみなされ、「財産の一部だけは相続したい」といった希望は聞き入れられません。当然、遺留分(下段参照)も認められません。そして、相続の発生から3カ月以内に家庭裁判所で手続きをしなければなりません。かなりスケジュールはタイトになります。


また、遺言により相続財産をもらえなかったり、もらえても僅少であるなど、相続人の間で不公平が生じた場合、相続財産の一定割合を請求できる(保障される)権利も各相続人に与えられています。その保障分を「遺留分」といい、たとえば母がなくなり、相続人が父と長男および次男の3人とすると、母が遺言で「すべての財産を長男1人に相続させる」と言い残していても、遺留分により父は相続財産の4分の1、次男は同じく8分の1の取得が約束されます。上段で「遺言により指定された相続割合は優先的に扱われる」と説明しましたが、遺留分は侵害できない決まりになっています。つまり、遺言より優先されるのです。遺留分は相続人が主張すれば必ず確保される最低限の財産取得分となります。


補足として、遺産分割には「寄与分」という仕組みもあります。存命時、被相続人(亡くなった人)の経済的援助や療養看護を行って被相続人の財産の維持・増殖に努めた人(特別寄与者)に対し、貢献に相当する特別の対価(寄与分)を与え、その分だけ特別寄与者の相続分を増加させる制度になります。親の介護に尽力した子供に対し、その貢献度に応じた特別手当を付与するイメージです。

受難の時代を迎えた相続の現状 遺産分割の4つの方法で解決を図る

ペイレスイメージズ/アフロ


2025年には団塊の世代すべてが後期高齢者(75歳以上)となり、わが国は超高齢社会に突入します。やがて年を取った親は介護施設へ移ることになり、放置された実家は空き家へと姿を変えます。ご存じ、すでに日本の空き家総数は約820万戸(2013年)に達し、20年間で1.8倍に増加しています。建物を取り崩せば費用がかかり、子供たちは相続したがりません。受難の時代が待ち受けています。


その解決法として、相続の遺産分割には4つの方法があります(図表1)、空き家の相続は換価分割できれば理想です。売却処分することで、空き家を引き継がなくて済みます。相続分に応じた売却代金の分配だけを手にできるのです。


とはいえ、タダでも引き受け手が現れないのが現実で、“負”動産となった空き家は処分に苦しみます。悩ましいのは、相続財産は相続人全員の共有になるため、「相続したくない」と言っても誰かが相続しなければなりません。全員そろって「NO」とは言えないのです。お互いに押し付け合っていては、いつまで経っても遺産分割は進展しません。



ここで「共有による分割」と「代償分割」について補足(用語解説)しておくと、たとえば相続人が3人いるのに相続財産が自宅しかない場合、その自宅を3人の共有名義にして引き継ぐのが「共有による分割」です。仲良く3人で相続するわけです。


ただ、3人でいっしょに住むならまだしも、そこに住むのが1人だけの場合、共有名義は意味をなしません。単独名義にするのが自然です。

そうすると、今度は残りの2人が相続財産をまったく取得できず、不公平が生じます。そこで、自宅を相続した相続人が自ら金銭(代償金)を支払うことで不公平を調整する方法が「代償分割」です。相続財産ゼロとなった相続人の相続分を代償金で満たそうというわけです。換金・分割しにくい不動産を相続するのに代償分割は有益な方法となります。

相続の放棄はメリットとデメリットを天秤にかけて判断しよう

写真:アフロ


話を元に戻して、“負”動産となった空き家や郊外に立地する高経年の賃貸アパートなどの処分 ――。維持管理の面倒や予見される入居率および家賃の低下をかんがみれば「共有による分割」も「代償分割」も最適ではありません。相続そのものを拒否する「相続の放棄」が脳裏をよぎります。


課題は、上述したように相続の放棄は相続権を捨てるため、他に取得したい遺産があったとしても認められません。メリットとデメリットを両天秤にかける必要があります。また、相続財産は相続人の共有財産という性格上、相続を放棄した本人は共有者から除外されますが、他の相続人は引き続き共有関係にあるため、結局、他の相続人が空き家を相続しなければなりません。それならと相続人全員がそろって相続を放棄したとしても、今度は被相続人(亡くなった人)の父母や兄弟姉妹に相続権がスライドするだけで、抜本的な解決にはなりません。“押し付け合い”の域を出ないのです。


まれに自治体への寄付を検討する人がいますが、収益を生まない不動産は引き取りません。資産価値のない空き家に対する絶対的な処分方法はないに等しいのです。こうした遺産分割に内在する数々の不都合な事実が円満な相続を阻害します。見方を変えれば、遺産分割を制する者が相続を制するのです。争族の誘因となる遺産分割の知識を蓄え、来るべき相続に備えてください。


(文:平賀功一)


最終更新日:2019年03月22日

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